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リベラル書籍紹介#33『文系と理系はなぜ分かれたのか』隠岐 さや香

この連載ではY-SAPIXのオリジナル科目「リベラル読解論述研究」で使用した書籍について、担当する職員が紹介していきます。


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今回は、高校生9月期で使用した『文系と理系はなぜ分かれたのか』です。

『文系と理系はなぜ分かれたのか』隠岐 さや香(星海社新書・2018)

本書では、「文系」「理系」というカテゴリーが成立した歴史的過程や、その分類が人々の生活や社会制度とどのように関わっているか、そしてその両者の連関についての現状が述べられており、それらを踏まえて、「文系」と「理系」の関係がいかなるものであるべきかが論じられています。


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日本では、「文系」「理系」の間に大きな断絶があると考える人が多いのではないでしょうか。
高校生の皆さんは、大学受験に向けて文理の進路選択に悩むこともあるのではないかと思います。また企業社会でも「理系は専門性が重視されるが、文系はそこまで重要とされない」などというような意識が漠然と存在したりします。他にも、理工系における女子学生数の向上が叫ばれたり、あるいは「白人は数学の才能がある」などという人種差別の意識が生まれたりするなど、文理の区分がジェンダーやアイデンティティと結びつくケースも見られます。

海外でも、日本ほど強い区分がなされるわけではないものの、学問を二分法的に捉える見方は少なからず存在するようです。
しかし、現代では分野を超えた学際的教育が奨励されたり、教養教育の重視傾向が進んだりするなど、学問の一体化が志向される向きもあります。
京都大学総合人間学部や広島大学総合科学部などの創設も、そうした学域横断的な教育が求められる潮流の先駆けといえます。
皆さんの中にも、こうした学部に対して「文系の学問も理系の学問もどちらも学べる!」と強い魅力を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

現代社会は極めて複雑な様相を呈しており、一つの分野の知見のみでは何か問題が起きても十分に対処することができません。問題が大きければ大きいほど、その解決のためには多様な視点からのアプローチが求められることになるでしょう。しかし、だからといって長きにわたる歴史的経緯を経て専門分化の意識が形成されてきた中で、諸学を一つに統一するというのもそう簡単ではないと著者は述べます。
私たちは、この課題に対してどのように向き合っていくのが望ましいのでしょうか。
今後の社会に向けて、学問はどうあるべきなのでしょうか。
リベラル読解論述研究の授業では、こうした問題について生徒も教師も一緒に意見を提出しながら検討します。
この記事を読んでくださった皆さんも、今後の学問のあり方についてぜひ一度考えてみてください。


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