リベラル書籍紹介#10 『地図で読む「国際関係」入門』眞淳平
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リベラル書籍紹介#10 『地図で読む「国際関係」入門』眞淳平

この連載ではY-SAPIXのオリジナル科目「リベラル読解論述研究」で使用した書籍について、担当する職員が紹介していきます。

今回は9月期の中1リベラルの授業で使用した『地図で読む「国際関係」入門』です。

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『地図で読む「国際関係」入門』眞淳平
(ちくまプリマ―新書、2015)

新聞を開くと、あるいはインターネットを立ち上げると、日本や世界の様々なニュースが飛び込んできます。アメリカがアフガニスタンから自軍を撤退させた後にタリバンが政権を取った、気候変動の背景には地球温暖化がある、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種率は先進国と発展途上国とで格差が生じている……これらの問題は国外の問題と見えるけれども、実は私たちの日本における生活に深く関わっているかもしれません。逆も然り。日本国内の問題と見えることも、実は国際的な問題の一部分なのかもしれません。国内外の問題は、グローバル化の進んだ現在、いずれも非常に複雑で密接に絡み合っているものと思われます。そして、今回の書籍はまさに、それらを理解するための基礎知識を提供してくれます。本書で扱われているのは日本をはじめアメリカ、新興国諸国、EU、発展途上国各国といった国や地域、グローバリゼーションという情勢や現在生じている世界的な問題、国際機関や非政府組織といった国際主体という様々なテーマです。

それでは、私たちが住んでいるこの日本について、本書ではどのようにまとめられているでしょうか。実は日本については、第1章と終章とで扱われているのですが、ここで皆さんに質問です。

日本の抱えている問題といえばどのような問題を思い浮かべますか?

国際的な問題としては、やはり同盟を結んでいるアメリカとの関係や、あるいは近隣諸国との関係でしょうか。その通り、本書第1章ではまさに、東アジアの国際関係と、それとの関連でアメリカとの関係が説明されています。それでは国内の問題としては何が思い浮かぶでしょうか。少子高齢化や格差社会といったここ数年来議論されているテーマが思い浮かぶかもしれませんし、あるいは現在進行中の問題として、新型コロナウイルス感染症による医療崩壊がいち早く思い浮かんだかもしれません。本書の終章では「日本の課題を考える」というタイトルのもとに国内外の課題が挙げられており、国内の課題として「超高齢社会のモデルケースを作る」「貧困の連鎖を断ち切る」「iPS細胞を使った臨床手術が始まった」といったテーマが挙げられています。

つづいて国外に目を転じてみましょう。上述の通り、本書では国や地域だけでなく、情勢や国際主体といった多様なテーマのもと、国際関係が説明されていますが、ここでは第6章「グローバリゼーション」にフォーカスしたいと思います。が、それに先立って再度皆さんに質問です。

「グローバル化が進展している」と耳にして
どのような状況を思い浮かべますか?

現況からして「感染症の世界的な蔓延」と答える人が多いかもしれませんね。また、それによって一昔前になってしまったかもしれない「海外旅行に行きやすくなった」「海外からビジネスや観光で日本に来る人が多くなった」というイメージや、海外の報道機関から情報を入手したり、あるいは輸出入が盛んになったりというイメージでしょうか。そのとおり、グローバル化とはヒト・モノ・カネ・情報が地球規模で移動することであり、本書では自由貿易のメリットデメリットや世界金融危機などカネの移動の説明に紙幅が割かれています。「紙幅が割かれて」といってももちろんそれだけが説明されているのではなく、ヒトの移動の急激な増加がもたらした危機として「感染症の拡大」にも言及されており、また本稿執筆者が個人的に深く感じたのはグローバル化の進展による仕事の進め方の変化として挙げられていた、「時差を利用して、アメリカ企業とインドのIT企業が、インターネット経由で分業し、素早く課題に対処したというケース」(p. 158)。一緒に挙げられていた「先進国の企業などが、途上国に投資をし、現地に工場を建てることで、仕事の分業をはかること」(ibid.)は「産業の空洞化」としてつとに知られていることと思いますが、前者のようなケースも今後一般化していくのかもしれないと思わされた次第です。

本書の特徴は「地図で読む」というタイトル通り、地図をふくんだ図表が多用されていること。文字だけで説明されるよりも各国のデータが分かりやすく理解できます。一方で2015年初版という事情から、イギリスがEUに加盟しているなど若干古いと思われる記述も残ります。しかしこのような古さは、その当時のありようを知ることで、現在をさらに深く理解するための基盤となることでしょう。現代社会と地理が得意になる第一歩として、ぜひ本書に目を通してほしいと思います。

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▼リベラル読解論述研究とは

大体月に1冊のペースで幅広い内容の課題図書を読み、授業内でテーマについて討論し、最終的に小論文にまとめ、添削されることでより良い表現を学んでいく、という、読解力、思考力、表現力、論述力などを総合的に鍛えることができるY-SAPIXのオリジナル授業です。

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