見出し画像

リベラル書籍紹介#29『池上彰の憲法入門』池上彰

この連載ではY-SAPIXのオリジナル科目「リベラル読解論述研究」で使用した書籍について、担当する職員が紹介していきます。

今回は、中学1年生が5月期で使用した『池上彰の憲法入門』です。


『池上彰の憲法入門』池上彰 (ちくまプリマー新書、2013)

この書籍は、題名通り日本国憲法について詳しく学ぶための入門書です。この書籍を今から初めて読もうとしている人はおそらく、憲法について「そもそも憲法とは何のためにあるものなのだろう」「なぜ私たちは憲法を学ぶ必要があるのだろう」などと思っているかもしれません。しかし著者は、冒頭「はじめに」の副題、すなわち一番初めに目にする部分ですでにそのヒントを教えてくれています。

“憲法は実は身近なもの”(本書、3ページ)

先日アップされたnote記事にもありましたが、この言葉通り、憲法というものは、あらゆる場面で私たちの生活を支える基盤となっています。また、私たちは生きるうえで進学に就職、結婚や葬式、さらに老後の生き方などさまざまな選択を迫られる場面に絶えず立ち会います。そしてその自由を保障しているのも憲法なのです。憲法というと、聞いたこともないような堅苦しい用語や言い回しが並び、難しい印象があるかもしれません。しかしこの書籍では、それらの用語をできるだけわかりやすい言い回しに変え、憲法が私たちにとっていかに「身近なもの」であり、私たちの生活を守ってくれているかがわかります。憲法は自分たちの生活の基盤となっているものである。それを頭に入れておけば、憲法の細かい内容が少しずつ理解できることでしょう。


■【必見】リベラルアーツを追究する授業がこちら!


また、この書籍が投げかけるもう一つのテーマは「憲法改正を考える」ということです。
前述の通り、私たちは憲法によって日常生活を支えられていますが、その前提には、憲法が簡単に改正されないようになっている、という仕組みがあります。憲法は法律の根拠であり、国民を守るためにあります。それが簡単に変更できるようでは、国民の生活は混乱に陥ってしまうことでしょう。

しかし、この簡単に改正できない仕組みが現代の日本にはそぐわなくなっている、という意見があります。戦後78年、その間に国際情勢や社会の仕組みは大きな変化を見せました。それにもかかわらず、日本国憲法は制定されてから一度も改正されたことがありません。そのような憲法が、本当に現代に生きる国民の生活を支え、守り続けることができるのか。ここに改正の議論がなされる理由があります。

著者は同じく「はじめに」の項目にて、憲法改正が求められている動きについて説明しています。つまり、この書籍が書かれた目的は、憲法の細かい内容を知るだけでなく、憲法を改正する必要は本当にあるのかどうかをよく考えてほしい、ということまで含んでいるのです。

テキストでは、この二つの目的を達成することを目標とし、日本国憲法がどのようなものか理解したうえで、憲法改正をすべきか否か自分の意見を具体的に述べる課題を出題しました。憲法というものが、自分たちの身近な生活と昨今話題になっている政治や国際問題、両方と深く結びついていることを、この書籍を読んでぜひ知ってほしいです。


■過去の記事はこちらから

■大学受験、選ぶなら。


みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!

Y-SAPIXでは、大学受験に関する情報を発信しております。週ごとの定期配信で、お手軽に情報を入手したいという方は、こちらのボタンから「メルマガ会員登録(無料)」へお進みください!