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リベラル書籍紹介#34『 西洋美術とレイシズム』岡田 温司

この連載ではY-SAPIXのオリジナル科目「リベラル読解論述研究」で使用した書籍について、担当する職員が紹介していきます。


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今回は、高校生10月期で使用した『西洋美術とレイシズム』です。

『西洋美術とレイシズム』岡田温司(ちくまプリマー新書・2020)

西洋美術とレイシズム。芸術と人種差別。
一見、全く異なる二つの領域は、どのように絡まり合っているのでしょうか。


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『西洋美術とレイシズム』は、古くから伝わるキリスト教美術に、黒人への人種差別の意識が宿っていることを、剔抉(てっけつ)してみせた本です。キリスト教絵画は、旧約聖書をレイシズム的に解釈し、多くの芸術作品を生み出してきました。著者は、聖書の記述と西洋美術の二つのテクストを交差させながら、聖書の記述にはない作為をえぐり出し、キリスト教絵画からレイシズム的要素を見事に取り出しています。その分析は圧巻の一言です。

芸術にレイシズムが貼り付いているのだ、と言われると、多くのひとが驚くことでしょう。しかし、レイシズムというのは、意外と身近なところにあるものです。そもそも、「科学レイシズム」という言葉がある通り、科学もまた、ひと昔前は、聖書の記述が真実であること、白人が黒人よりも優秀であることを「科学的」に証明しようとした歴史があります。レイシズムが、「芸術」の仮面を被り、「科学」の仮面を被って、私たちの前に存在しているのだとしたら、私たちはどのような心構えでいるべきでしょうか。

二〇二〇年、米国で、黒人男性のジョージ・フロイド氏が、白人警官に頸部を膝で押さえつけられて窒息死するという事件があり、このことがきっかけでBLM運動(Black Lives Matter(ブラック・ライブズ・マター)。人種差別に抗する大衆運動)が拡大しました。米国においては、レイシズムは非常に根深い問題です。はたして、レイシズムは無くすことができるのか、そもそもレイシズムはなぜ発生するのか、そして、日本にもレイシズムはあるのか。そういった現代社会の病理であるレイシズムについて、じっくり考えてみましょう。


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