【国語力を高める100冊】 #10「教養」/『教養としての大学受験国語』石原千秋 ちくま新書
大学入試で出題される評論文は、基本的には、「である」調で書かれています。#4「話す」(『日本語からの哲学』)でも取り上げましたが、文体としての「である体」の特徴は、表現主体の一人称に読み手を同化させることで、知の共同体の構築を目指すことでした。そして、当然ながら、この知の共同体に参入するためには、書き手と問題意識を共有していなければなりません。たとえば、「無意識の発見は近代的主体への挑戦だった」という文章を目にしたときに、辞書的な意味でのみ理解する場合と、近代思想に関する背景