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入試分析の部屋

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大学入試問題に関する情報を発信しております。受験生・保護者様・学生・社会人・教育関係者の方々など、多くの方々にとって気軽に読めるをコンテンツを目指しております。改めまして、よろし… もっと読む
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記事一覧

2023年度 一橋大学・日本史

2023年度 一橋大学・日本史

一橋大学は例年,第1問を前近代,第2・3問では近現代史が出題され,ほとんどが論述問題です。分野で言うと,社会経済史が多いという特徴がありますが,2023年度は政治・経済・社会からバランスよく出題されました。

一橋大学の日本史の,他にはみられない特徴として,大問1つにつき400字の解答用紙が与えられますが,小問ごとの字数指定はないので,受験生は自分で小問一つ一つの字数配分を決める必要があります。以

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2023年度 慶應義塾大(医・経済・商)・数学

2023年度 慶應義塾大(医・経済・商)・数学

〇医学部例年通り、大問4つの出題でした。近年は易化傾向が続いており、今年は昨年よりも更に易化しました。分量は昨年と同程度であり、本学部の過去問へ対応できるよう準備を重ねてきた受験生であれば、余裕を持って解き進めることができたと考えられます。大問ごとの難易度の差は小さいものの、要求される計算量にはある程度のばらつきがあります。したがって、速く正確に解く能力が高い受験生ほど有利になるセットであったと言

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2023年度 京都大学・日本史

2023年度 京都大学・日本史

京都大学は例年、記述式の問題が70点、論述問題が30点の配点で出題されます。

論述問題は2題で今年は「院政期から鎌倉時代にかけての宗教・文化の受容層の広がり」、「日独伊三国防共協定が三国同盟に至った経緯・背景」について問われました。

今回は論述問題についてみていきたいと思います。

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時代の特色をとらえる
―院政期から鎌倉時代にかけての宗教・文化の受容層の広が

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2023年度 東京大学・世界史

2023年度 東京大学・世界史

出題傾向東大の世界史は例年、大問3題で構成され、第1問は20行(600字)前後の大論述、第2問は1~4行(30~120字)の小論述が複数問、第3問は設問に対して語句を答えさせる記述問題が10問という内容です。

2023年度も基本的には例年通りの構成で出題されており、変化はありません。一方で、第1問では時代・地域ともに広範なテーマが設定され、東大世界史らしい出題に回帰したといえます。また、1992

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2023年度 九州大学(理系)・数学

2023年度 九州大学(理系)・数学

〇概評例年通り大問5つの構成で、うち4題が数学Ⅲからの出題です。文章を読解させる出題形式が継続され、高い発想力を要する問題が多いため、昨年よりも難化しています。

完答しやすい大問はほとんど無く、「取れるところをしっかり取る」という戦略を高い水準で実行できた受験生でようやく合格点に到達する、歯ごたえのあるセットでした。

第1問相反方程式と複素数平面の問題です。

(1)は$${n=4}$$の相反

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2023年度 大阪大学(理系)・数学

2023年度 大阪大学(理系)・数学

〇概評数学は一昨年から易化傾向が続いていましたが、今年は完答しやすい問題が少なく、難化しました。計算量も増加し、高い計算力が問われる阪大数学の特徴がはっきりと現れています。

例年は微積分が2~3題ほど出題されていますが、今年は1題のみでした。さらに、昨年は幾何的な出題が「複素数平面」の1題のみであったのに対し、今年は「ベクトル」と「図形の方程式」の融合問題が2題出題される、図形色の強いセットでし

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2023年度 東京医科歯科大学(医)・数学

2023年度 東京医科歯科大学(医)・数学

〇概評分量・難易度ともに、医科歯科大の数学としては昨年よりも取り組みやすくなりました。しかし、依然としてレベルの高い出題が続いています。
目新しい題材を長めの文章で読解させる第1問、比較的取り組みやすい微積分が出題される第3問は、例年の傾向通りです。

また、医科歯科大の頻出分野である「空間座標」が一昨年ぶりに第2問で出題されました。全体として、非常に医科歯科大らしいセットでした。

比較的取り組

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2023年度 東京工業大学・数学

2023年度 東京工業大学・数学

〇概評180分で5題の形式は変わらず、難易度は近年と同程度でした。昨年とは対照的に小問が少なく、誘導なしに自力で解き進めることが要求されるセットです。

また、5題中3題が数学Ⅲからの出題でした。1題1題が状況把握能力、数式への洞察力と計算力、さらには場合分けを遂行する注意力と忍耐力を要求する重厚なセットです。

全体として東工大らしいセットであり、極端な難問もありませんので、本学に向けて適切に演

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2023年度 一橋大学・数学

2023年度 一橋大学・数学

〇概評今年も1が整数で、5が確率という定番の並びでした。

また、微分法からの出題はありましたが、積分法からの出題が無かったことも昨年と同様です。全体としての難易度は昨年よりも易しく、分量も減少しました。

手を付けやすい問題が多い一方、最後まで解き切ることが容易でない問題も見受けられます。そのような意味で、例年以上に受験者自身の数学力によって点差が付くセットであったと考えられます。

第1問

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2023年度 京都大学・数学

2023年度 京都大学・数学

〇理系近年と同様、ほとんどの問題に目新しさはなく、多くの受験生が類題を経験しているはずです。今年度は特に解きやすい問題が多く、昨年度よりも易化しました。なお、小問2つからなる第1問が一昨年ぶりに出題されました。1~4を確実に確保すれば、医学部以外は十分でしょう。5、6の出来次第で、大きなアドバンテージを得ることも可能です。

第1問

独立した小問2つです。問1は部分積分の問題で、完答必須です。問

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2023年度 東京大学・数学

2023年度 東京大学・数学

〇理科全体的な難易度は昨年度と同様です。前半は取り組みやすい問題が多く、手がたく得点する姿勢が求められます。なお、微積分(数Ⅲ)が2題、空間図形が2題ずつ出題されました。

第1問

定積分と極限についての問題です。取り組みやすいことが多い第1問ですが、本問は易しくはないので、焦った受験生が多そうです。
(1)は、置換積分を用いて積分区間から√を無くせば、見通しが立ちやすいはずです。
(2)は、区

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2023年度 東京大学・日本史

2023年度 東京大学・日本史

東大の日本史は例年,大問4題構成で,古代・中世・近世・近現代からの出題です。この構成は今年も変わりません。内容としては資料文がいくつか提示され,それに基づいて設問の要求に答えるというものです。

今年の問題の中で注目したいのは第2問の中世に関する問題。

提示された資料文を丁寧に読み込むとともに,設問の要求に答えるために学習した知識をうまく活用しなければならず,「これぞ,東大日本史!」といえるもの

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2023年度 慶應義塾大学(経済・文・総合)・国語

2023年度 慶應義塾大学(経済・文・総合)・国語

経済学部・テーマ

人間の行動と合理性

・課題文

課題文 リサ・ボルトロッティ著、鴻浩介訳『非合理性』

・課題文要旨

誰かの行っていることを理解しようとする場合や、次に行うことを予測しようとする場合、私たちは相手の動作や発言の裏に、それを動機づける志向的状態があるものと考える。このような解釈は、相手が合理性の基準を満たすようにふるまうことを前提とする。人が他者のふるまいを予測するために使う

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2023年度 慶應義塾大学(法・商・環境情報)・国語

2023年度 慶應義塾大学(法・商・環境情報)・国語

法学部・テーマ

「権力と資源の集中と偏在に対するインターネットとコンピュータの有効性」

・課題文

鈴木健『なめらかな社会とその敵』(勁草書房、2013年)

・課題文要旨

人間には認知能力に限界があるため、複雑な世界を複雑なまま理解することができない。しかしインターネットやコンピュータはその能力を増大させる可能性を秘めている。現実には資源の囲い込みに代表される「膜」の現象と、中央集権化とい

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