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数学と仕事シリーズ#8「深い溝を飛び越えろPARTⅡ」

このシリーズでは、中高生の皆さんが勉強している数学の知識が、ビジネスの世界でどのように使われているかを紹介します。

数学って、将来必要なの?
と思っている皆さんにぜひ読んでほしいと思います。


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カラーテレビの普及

今回のテーマは商品・サービスの普及率です。まずは普及率を定義しましょう。

・時刻tにおける商品・サービスの新規利用者数を$${n(t)}$$とする
・累積利用者数 $${ N(t)=n(t) +N(t-1)}$$
・潜在的な利用者総数:$${m}$$
・普及率$${F(t)=N(t)/m}$$

カラーテレビが普及する様子をデータで見てみましょう。(具体的な例があった方が分かりやすいですよね。)カラーテレビは<図①>の通り、1960年代から70年代にかけて10年ほどで全国に広がりました。


◆参照元
内閣府ホーム > 統計情報・調査結果 > 景気統計 > 消費動向調査 > 統計表一覧(https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/shouhi/shouhi.html

$${m}$$の値について補足しておきます。その商品・サービスを消費するのが世帯なのか、個人なのかによって設定の仕方が異なります。ちなみにカラーテレビについて言えば、(多少の例外はあれど)家族で利用するものでしょうから、$${m}$$の値は世帯数です。

$${S}$$の字カーブ
<図①>のように全国にあまねく行き渡った商品やサービスは、概ね普及の様子が$${S}$$の字を描きます。パソコンしかり、スマートフォンしかりです。数学ではこの$${S}$$の字カーブをシグモイド曲線と言います。(中学、高校では習いません。)

このシグモイド曲線、数学とビジネスの話#2「深い溝を飛び越えろ!」で紹介したキャズム理論と深い関係があります。おさらいをしておきましょう。

消費者を、新しいモノへの感度で$${1σ}$$(シグマ)ごとに5つのタイプに分類します。

・イノベーターInnovator(市場の2.5%)
・アーリーアダプターEarly Adopter(市場の13.5%)
・アーリーマジョリティEarly Majority(市場の34.0%)
・レイトマジョリティLate Majority(市場の34.0%)
・ラガードLaggards(市場の16.0%)

商品やサービスはイノベーター→アーリーアダプター→アーリーマジョリティ…という順に浸透していきます。イノベーター+アーリーアダプター=普及率16%のところにキャズム(深い溝)があり、これを超えられるかどうかがその後の普及率の鍵を握ります。(詳しくは数学とビジネスの話#2「深い溝を飛び越えろ!」を参照してくださいね。)


時間とともに増減する新規採用者数がベルカーブ(正規分布)を描くとき、その値の累積がどのように変化していくのかを表すのがシグモイド曲線なのです。

拡大期を迎えた商品・サービスが更なる飛躍を遂げるためにはどのような対応が必要でしょうか。より多くの消費者に利用してもらうためにユーザビリティ(操作性の簡便さ・使いやすさ)を高めるとか、ブランディング強化のためにインフルエンサーを活用するなどさまざまな施策を打つ必要があります。マーケティング担当者の腕の見せ所なのです。

いかがでしょうか。今回は普及率の紹介でした。

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