数学とビジネスの話#2「深い溝を飛び越えろ!」
このシリーズでは、中高生の皆さんが勉強している数学の知識が、ビジネスの世界でどのように使われているかを紹介します。
数学って、将来必要なの?
と思っている皆さんにぜひ読んでほしいと思います。
キャズムとは
商品が市場に浸透していく過程を説明する理論にキャズムと呼ばれるものがあります。英語で書くと”chasm”となります。幅が広く深い裂け目のことを言います。
新しく市場に投入された商品が広く浸透するには、このキャズムを飛び越える必要があります。
説明します。
消費者を新しいモノへの感度で次の5つのタイプに分類します。
まずは新しいモノが大好きなイノベーターが、新商品に飛びつきます。
ただしこのタイプの人々は変わり者が多く、他者への影響力が小さいため商品の普及は進みません(しかも超少数派!)。
拡大への鍵を握るのは次の層、アーリーアダプターです。
この層にはオピニオンリーダーやインフルエンサーが含まれています。
これらの人々が普及を後押ししてくれるのです。更にこの層からアーリーマジョリティへの拡大が進むと、商品は一気に広がっていきます。
各タイプ間にはそれぞれ断絶があります。
特にそれが大きいのはアーリーアダプター→アーリーマジョリティの間です。この広くて深い溝をキャズムと言うわけです。
新しく市場に出た商品の中には、残念ながら普及に至らず消えていくモノが少なくありません。これらの多くはイノベーターまたはアーリーアダプターのところで普及が止まってしまった商品たちなのです。
消費者の分布はベルカーブを描く
キャズム理論においては各タイプの規模が数値で示されています。この数、どのようにして算出されたものなのでしょうか?
ここからは統計のお話です。
データのバラつきを標準偏差で表すことは皆さん、ご存知ですね。
バラつきの範囲を表す単位は$${σ}$$(シグマ)で、以下のように定義されています。
下の図をご覧ください。
消費者の感度による分布は正規分布となり、グラフはベルカーブを描きます。これを1$${σ}$$ごとに分割し、タイプ分類したわけです。
アーリーアダプター→アーリーマジョリティの地点が偏差値60で、ここがキャズムにあたります。
いかがでしたでしょうか。
勉強もそうですが、偏差値60を飛び越えるのはとても大変なことなのです。
■大学受験、決めるなら。