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【最新入試情報SPECIAL!】令和6年度 大学入学共通テスト徹底分析

令和6年度大学入学共通テストの志願者数や試験の平均点などのデータを元に分析しました。情報収集の一環として、お役立てください。


大学入学共通テスト(センター試験)出願資格別志願者数

※現役志願率…高等学校等新規卒業見込者(現役生)のうち、共通テストに出願した者の割合

志願者数は32年振りに50万人割れ

 共通テスト4年目となる2024年度の志願者数は、昨年度から2万667人減少し、49万1914人と50万人を割り込みました。50万人を下回るのは、センター試験3年目の1992年度以来です。センター試験開始以降、一昨年度に初めて高等学校等新規卒業見込者(以下現役生)総数が100万人を割り、今年度は昨年度からさらに4万2270人減少しています。今後も少子化の影響で、長期的には志願者数は漸減していくと考えられます。ただし文部科学省の推計によれば、今年度で18歳人口は一旦下げ止まり、ここから数年は横ばいで推移するとみられるので、来年度は志願者が大きく減少することはないかもしれません。

現役占有率は過去最高を更新

 共通テスト志願者のうち、現役生の数は昨年度より約4%減少したものの、現役志願率(現役生全体のうち共通テストに出願した者の割合)は45.2%と、過去最高となりました。また、共通テスト志願者全体における現役生の占有率も85.3%と過去最高を更新しています。一方、高等学校等卒業者(既卒者)は約4.8%減少し、占有率も13.9%と過去最低となりました。

共通テストを利用する大学等の総数は864大学

 2024年度の共通テストを利用する大学等(国公立大学、私立大学、専門職大学、短期大学)は総数864大学で、昨年度の870大学から6大学減少しました。4年制大学では公立大学が1大学増加、私立大学が5大学減少しています。
 国立大学・公立大学は全大学が利用します。私立大学は、慶應義塾大学や国際基督教大学など利用しない大学もありますが、全体の約9割にあたる530大学が、一部の学部あるいは全学部で利用します。私立大学でも共通テストが必須である募集枠が少なくないことも、現役志願率の高さに影響しているとみられます。

本試験は1月13日(土)・14日(日)、追・再試験は2週間後に実施

 今年度の共通テストは、2024年1月13日(土)・14日(日)に本試験、本試験の2週間後、1月27日(土)・28日(日)に追・再試験が実施されました。2023年5月8日付で新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行となりましたが、本試験と追・再試験の間隔は、急激な変化に伴う受験生への不安などにも配慮し、コロナ禍での試験と同様の期間を維持した形です。
 一方、マスク着用などが義務付けられていた感染症対策は、受験案内からも記載が削除されました。なお、一昨年度の共通テストの問題流出事件を踏まえた「不正行為を行った場合の取扱い」は引き続き明記され、防止策が継続されています。
 また、追試験の会場について、全都道府県での設置は終了し、コロナ禍以前の東日本・西日本で原則各1会場の2会場体制に戻りましたが、2024年1月に発生した能登半島地震を受けて、被災者の受験機会を確保するため、石川県の金沢大学が追加されました。被災者は書類提出不要で追試受験可との措置が取られ、被災を理由に追試が許可されたのは19名、うち金沢大学での受験者は15名でした。

結果分析速報!令和6年度 大学入学共通テスト
一部の科目で難化がみられるが、全体としては落ち着いた結果に

英語リーディング・政治経済等が共通テストで最低の平均点

 今年度平均点の低さが目立ったのが、英語リーディングと政治・経済です。政治・経済はセンター試験を含めても過去最低、英語リーディングは、得点率に換算するとセンター試験以降で1994年度に次いで過去2番目に低い数値でした。ただし英語は、リスニングの平均点が共通テスト以降で最も高く、リーディングとリスニングの合計では例年並みの水準となっています。
 一方理科では、2年連続で低水準が続いていた生物の平均点が回復し、科目間の得点差が20点を超えなかったため、得点調整は実施されませんでした。理科の主要3科目(物理、化学、生物)でみると、平均点が最も高い物理と最も低い化学の差は10点未満で、共通テスト以降では最少の得点差です。実施4回目を迎え、難易度の調整がある程度適切に行われたと考えられる結果でした。

2020年度~2024年度の平均点推移(本試験)


※2021年度…①日程の数値 公民、基礎がつかない理科は得点調整後  
※2023年度…基礎がつかない理科は得点調整後

全体では比較的落ち着いた難易度

 今年度は得点調整も実施されず、前述の英語リーディングや政治・経済を除けば、比較的落ち着いた共通テストだったといえます。出題傾向などが概ね定まってきたことで、受験生側が対策を講じやすくなったことも影響しているかもしれません。
 概算ではありますが、国立文系型6教科8科目(英、数、国、日本史B、倫理・政経、化学基礎、生物基礎)、国立理系型5教科7科目(英、数、国、地理B、物理、化学)の平均点を昨年度と単純比較してみると、昨年度は文系が約513点、理系が約517点であるのに対し、今年度は文系が約521点、理系が約528点と、文系で約8点(0.9%)、理系で約11点(1.2%)のプラスです。理系は共通テスト1年目の2021年度に近い水準まで戻る形になりました。

平均点は6割よりやや低い水準に?

 今年度は昨年度から平均点の変動が極めて目立つような科目は無く、落ち着きを見せましたが、英語リーディングのように難化の傾向がみられる科目もあります。また、主要20科目のうち平均点60点以上の科目数は、センター試験時代は例年10科目前後でしたが、昨年度は6科目、今年度は7科目にとどまっています。センター試験と比べると、6割よりやや低い水準で安定する科目が増えることも考えられそうです。

来年度は新課程入試に移行

 共通テスト5回目となる来年度は新課程による入試に切り替わります。大きく変わる点は地歴公民の出題科目や「情報」の追加ですが、国語は大問が一つ増えて試験時間10分増、「数学Ⅱ・数学B」は「数学Ⅱ・数学B・数学C」となり出題範囲が広がるとともに試験時間10分増、といった変更も予定されています。ようやく難易度などが安定し始めたものの、再び平均点の変動や科目得点差の拡大が生じることもありえます。
 ただし、新課程入試に向けて出題内容などは既に少しずつ変わってきています。過去問も利用して、各科目バランス良く対策することは変わらず重要となるでしょう。

この記事は2024年2月21日刊行『Y-SAPIX JOURNAL』3・4月号に掲載された記事のWeb版です。


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