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数学こぼれ話#19 対話シリーズvol.3 ~2の1/2乗?

皆さん、こんにちは。Y-SAPIX数学科がお届けする対話シリーズ、第3弾のテーマは「指数の拡張」です。「0乗」や「1/2乗」など、直感的に捉えづらい累乗が次々と現れますが、これらはどう理解したらよいのでしょうか?

S子は高校2年生。数学の授業に遅刻したので最初の説明を聞き逃してしまい、直感を大きく飛び越える「2の〇乗」たちに絶望中…。

S子:教室に入った瞬間、黒板に「2の3/2乗」と書いてあるのを見て焦ったなぁ。2を3/2回かける? 3/2回って?? 訳が分からなすぎるので、教えてほしいです。
Y太:一応、図1のように考えれば「3/2回かける」を理解することはできて…。

S子:つまり、「2の3/2乗」は$${\sqrt{\smash[b]{8}}}$$と考えるのが自然!
Y太:その通り。「2の〇乗」の〇に入る数を「実数」まで拡張するときには、こういう「自然さ」を最優先すること、言い換えれば、「昔ながらの指数法則」が成り立ち続けるように約束していくのがポイント。図2をヒントにすると、「2の0乗」はどう約束するのが自然だと思う?

S子:② が$${\begin{gathered}m=n \\\end{gathered}}$$のときにも成り立つには…。左辺が1、右辺が$${2^0}$$なので「$${2^0}$$=1」とする!
Y太:「0乗」を約束すれば、①をもとに「負の整数乗」が約束されて、結局「整数乗」まで指数を拡張できるわけだね。さて、次の仕事は?
S子:整数から実数、間にあるのは「小数」で表される数たちなので…。「有理数乗」かな。
Y太:ご名答。いきなり「 $${\sqrt{\smash[b]{2}}}$$ 乗」とか言われたらどうしようと、内心不安だったよね。
   例えば「1/2乗」が約束されれば「3/2乗」はそれの3乗として決まるので、結局は「1/$${n}$$乗」みたいなものを約束したいところ。
S子:これは簡単で、図3みたいに考えればOK。

Y太:「有理数乗」まで来たので、ゴールは近い! 例えば「2の$${\sqrt{\smash[b]{2}}}$$乗」は、$${\sqrt{\smash[b]{2}}}$$=1.414…なので「2の1.414…乗」とすれば良さそうだけど、ここを正確に扱うのは高校数学では限界があると、先生が言っていたよね。
S子:別の意味で限界を迎えていた私は、それどころじゃなくて全く覚えてない…。どんなことを言ってたっけ。
Y太:「『数を{$${2^1}$$,$${2^{1.4}}$$,$${2^{1.41}}$$,$${2^{1.414}}$$,…}と並べていったときに限りなく近づく先』として定める」という素朴なアイデアだけど、「限りなく近づく先」が存在することを高校数学の範囲では示せない、ということだったね。
S子: 確かに難しそう。ともかく、これで関数「$${y = 2^x}$$:($${x}$$:実数)」が完成して、ひと仕事終えた感。図4を見ると、「上手いこと隙間を埋められた」というのがよく分かるね。これで次の授業は大丈夫そう。たいへん助かりました!

それでは、次の「対話シリーズ」で再びお会いしましょう!


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