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大学入試英語で問われる表現力や記述力 ~「添削」のフル活用で実力アップを~

大学入試だけではなく、英語外部検定試験でも出題される英作文問題では、表現力・記述力を含めた総合的な英語力が問われます。しかし、明確な正解がないため、自分だけで対策するには限界があります。そこで、確かな実力を付けるために役立てたいのが「添削」です。ここではY-SAPIXにおける英語の添削指導の特長とその効果的な活用法などについて、英語科の北川貴志と荒木武伯に語り合ってもらいました。

添削は授業の重要な一部 臨機応変に組み込んで指導

荒木 英語の授業の添削には、いろいろなパターンがありますよね。答案をいったん預かってコメントを付け、次の授業で返却するのが一般的な添削のイメージでしょうが、実際はそれだけにとどまりません。Y-SAPIXでは授業中、生徒が答案を書いているときに巡回し、いくつかの答案例を取り上げて解説するというように、すぐに授業に生かしています。これも一種の添削だと思います。また、生徒が別の問題を解いている間に、その前に提出してもらった答案を素早くチェックしてすぐに返却し、授業内で解説することもあります。このように、添削が授業の一部に組み込まれているのが、Y-SAPIXの英語の大きな特長です。こうした授業をする塾は珍しいかもしれません。

北川 確かに、添削は授業の大切な一部になっています。Y-SAPIXの最大の特長は、講師と生徒の「対話」をベースにした「双方向授業」です。この「対話」は、生徒に質問を投げかけて答えてもらうといったやりとりや議論だけを指すのではありません。生徒が書いた答案に対する添削指導も双方向の「対話」の一環だと位置付けています。

私は、授業中に和文英訳を書いてもらっている時は、机の間を歩きながら答案の内容を見て回り、解答用紙を生徒の手元に置いたままで何人かの解答例を黒板に書き、それに対する解説、模範解答的な書き方、重要なポイントなどを示します。生徒はそれを見ながら自分の答案に赤入れをするのですが、それだけではきめ細かく添削したことにならないので、授業終了時に回収し、授業中に解説できなかったポイントをチェックして、後日返却しています。英語が得意な生徒が多いクラスではこのような進め方をしていますが、苦手な生徒が多いクラスではまた別のやり方をします。

荒木 私も同様ですね。講師として指導してきた経験から、「このクラスにはこれがぴったりだ」と思える方法で授業を行っています。こんなふうに、授業での添削の活用法は講師によっても異なるし、同じ講師でも担当するクラスのレベルなどによって臨機応変に変えていますよね。難関大学現役合格を目指す塾の中でも、ここまで柔軟な指導をするというのは、Y-SAPIXならではの特長だと思います。

性格や理解度などを考慮し一人一人に最適な添削を

北川 自由英作文や長めの和文英訳を課題として書いてきてもらったときは、じっくり添削します。この場合、生徒の個性や理解度、時期などによっても評価やコメントの内容が変わりませんか。

荒木 そうですね。その生徒を教え始めて間もない時期は、なぜそれが間違いなのかを指摘するコメントも書きますが、同じことを何度も繰り返したら、その箇所に下線を引くだけにして、生徒自身に気付いてもらうようにすることもあります。それでも直らないときは、「次も間違えたら、もう添削しません!」などというコメントでプレッシャーをかけて、生徒の注意力を高めたりもします(笑)。

北川 私は、高3生には添削にも点数をつけるようにしています。高3生ともなれば、テストのつもりで真剣に取り組んでほしいからです。そうした点数の評価は時期によって変えますが、高3生はモチベーションが本当に大事なので、夏前までは割と厳しめに評価し、秋以降は少し緩めるようにしています。自信を失わせては元も子もないからです。

また、例えばAさんとBさんがあるテーマで英文を書いたとしましょう。客観的な評価は同じでも、Aさんが模試の結果で落ち込んでいるときは、元気を出してもらうためにより良い評価をつけることもあります。

荒木 そうですね。生徒の状態によって評価やコメントの内容に変化をつけることは、添削を「対話」と同等に扱うからこそですよね。優秀な生徒であれば、私は結構厳しいコメントも書きます。基本的な細かい説明はあまりせず、つづりや表現の間違っている箇所に下線を引くだけで返却し、自ら正解にたどり着くように導いたりもします。

ただ、英語が苦手な生徒の場合、下線だけ引かれても対応できません。そんな生徒には正しいつづりや表現を書きますし、「三単現の“s”を忘れていますよ」などという初歩的な説明も記します。また、全く白紙だったら「――を主語にして書いてみよう」「動詞の――を使ってみよう」といったヒントを書いて再提出を促します。つまり、優秀な生徒には要求を高くし、苦手な生徒にはそこまで求めず、文法や型ができていれば「〇」をつけるという甘めな対応もするのです。

コメントの量が多過ぎると、生徒によっては消化不良を起こしてしまうので、私は生徒ごとに理解度・到達度の目標を決めて、それに達したかどうかで変えるようにしています。北川先生はどんな方針でコメントを書いていますか。

北川 生徒の答案や授業中の様子を見ていると、その生徒がつまずいていたり、迷っていたりする箇所が分かってきますよね。そこで、文法の知識がないと判断した生徒には文法について、語法の理解が足りないと感じられた生徒には語法について、それぞれ解説を書くというように、不足している部分を補えるコメントを書くようにしています。英作文の答えは一つだけとは限らないので、生徒の表現の引き出しを増やすために、「これでも間違いではないけれど、この表現の方がもっといい」といったアドバイスを書くこともよくあります。

ところで、日本語の慣用句などを直訳すると、英語として不自然になることがあります。そのときは「これではこんな意味になってしまうよ」というコメントを添えて、別の日本語に解釈し直してから英訳するようアドバイスしています。

小まめに添削を受けて復習
それが英語力アップのこつ

荒木 添削で直された理由が分からないとき、なぜと聞きにくる生徒は英文の仕組みをきちんと解明したいと思っています。そうした生徒は伸びますね。

北川 今年、東大に進学したある卒業生は、私が添削した答案をノートに貼り、しっかり見直していました。それを見せてもらったら、私のコメントに対して、自分のコメントも書き加えてありました。そんなふうに添削をきちんと復習して吸収しようとする生徒は、学習効果も高くなりますね。

荒木 ため込んだ課題を一気に解いて提出する生徒がいますが、その場合、添削の内容を細かく見直すことはまずないでしょう。やはり課題は毎週コンスタントにやって、返された答案をきちんと見直すという積み重ねが大事です。英作文が苦手な生徒は、赤入れされた英文やテキストの模範解答例を書き写して、覚えるだけでも効果が上がります。英語力をアップさせたいなら、ぜひ添削をフル活用してください。

■コラム:日本語を解釈し直すとは?

英訳問題で「古寺にわびさびを感じた」という一節が登場したら、あなたは何と書きますか。全く同じ意味の表現は英語に存在しないため、「わびさび」とはどういうことか、まずは日本語で考えましょう。

わびさびという言葉は「装飾に乏しい」茶器や「ひっそりとした」お寺などに対して用いられるため、わびさび=「質素」「静か」だと考えることができます。そして「装飾がない」「音がない」ことは否定的に捉えられることもありますが、わびさびは何かを美しい、と褒めるときに使われる言葉です。

以上を踏まえて、“The old temple was quiet and simple, but beautiful.” などと訳すと良いでしょう。

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