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2021年度 東京工業大学入試動向分析

 難関大入試を突破するには、相応の学力とともに、入試情報を把握しておくことが重要になります。ここでは東京工業大学の教育体系の概要、2021年度入試状況について見てみます。

東京工業大学概要

東京工業大学は1881年に創立された理工系総合大学です。2016年より日本で初めて学部と大学院を統一し、新たに「学院」が創設されたことで、学士課程と修士課程、修士課程と博士課程のカリキュラムが切れ目なく一貫され、将来を見通した学修が可能となりました。このようなカリキュラムの入り口となる学士課程において、「科学技術への知的好奇心や探究心と社会に貢献したいという志を有し、その基本的概念や基礎知識とそれを活用できる力を身に付けた人材」を求めています。

また、「科学技術を基盤として自ら学び考えることができる人材」を養成することも目標に掲げており、その達成には学生が国際経験を積むことが重要であるとして、大学側がさまざまな形で留学を支援しています。さらに、大学院課程のほぼすべての専門科目の授業で英語化が進められるなど、教育の国際化も推進されています。

学院・系・コースの関係

2016年4月、学部と大学院を統一して「学院」を創設し、2019年度入試から募集区分が「類」から「学院」に変更されました。これにより入学時から大学院までの出口を見通すことができ、自らの興味・関心に応じて多様な選択・挑戦が可能となりました。

 2019年度からの一般選抜の形式は以下のようになっています。

① 募集区分が「類」から「学院」に変更され、1年次は「学院」に所属し、2年目から「系」で学修する。なお所属する「系」は受入可能人数を勘案し、学生の志望及び1年目の学業成績により決定する
② 出願にあたって第1志望から第3志望まで3つの学院を志望できる
③ 第2、第3志望を登録した場合は、第1志望で不合格となっても、第2、第3志望で合格することがある
④ 個別学力検査(2次試験)の得点が同じ場合については、該当する学院の志望度が高い者を上位とする

自分に最適な道へ進むため、入学1年目は「系」に所属せず、幅広い分野を学修しながら興味のある分野を見つけ、2年目に「系」を選択します。自身の描く将来像に向かって、大学院では豊富な選択肢から1つの「コース」を選択し、より深く学ぶことができます。同じ分野に進学する場合、標準的には下記の表の学院・系・コースの関連性が高くなりますが、学士課程とは違う学院・系を受験することも可能です。

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2021年度一般選抜の状況

2020年度までは大学入試センター試験に関して950点満点中600点という基準点のみが設けられていましたが、2021年度入試からは志願倍率が4倍を超えた場合に2段階選抜行う場合があるという形に変更になりました。受験生としては大学入学共通テストで何点とれば第1段階選抜を通過できるかわからないので、出願にはこれまでよりも慎重にならざるを得なくなります。なお今年度に関しては志願倍率が4倍を下回ったため第1段階選抜は実施されませんでした。なお、共通テストの得点を最終の合否判定に使用しない点については昨年度までのセンター試験の得点の取り扱い同様となっています。

前期日程の志願者数は3,638人で、昨年度から152人減少(-4.0%)しました。後期日程を縮小し、前期日程の募集人員を増やした2012年度以降、4,000人前後の志願者を集めてきましたが、昨年度から2年連続で4,000人を大きく割っています。今年度は後期日程の募集を廃止し、前期日程の募集人員を増やしたものの志願者が減少したため、実質倍率は昨年度の3.8倍から3.6倍に低下しました。

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学院別に見てみると、募集人員を30人増やした生命理工学院のみが増加で、他の5学院はすべて減少しています。実質倍率(受験者数/合格者数)では、情報理工学院が8.2倍と、他の学院が2.0~4.1倍の範囲に収まっているのに対して突出していますが、この状況は募集単位が学院になって以降3年連続となります。

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2021年度一般選抜合格者得点

2021年度前期日程の学院ごとの合格者最低点は、高い順に ①情報理工 ②理 ③工 ④環境・社会理工 ⑤物質理工 ⑥生命理工 と、学院別募集開始後3年連続で同じ序列になりました。そしてこの序列は実質倍率と相関関係があり、2021、2020年度は双方が同じ序列、2019年度は理学院と工学院の実質倍率が0.2ポイント差で逆転していますが、それ以外は同じ序列となっています。

なお、昨年度と比較すると、すべての学院で合格者の最低得点率が上がっていますが、最も高い情報理工学院と2番目の理学院との差は7ポイント近く、最も低い生命理工学院の差は10ポイント以上と開きました。同じ東京工業大学でも、入試における情報理工学院は別格のレベルの高さと言えそうです。

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学校推薦型、総合型

理学院のみ学校推薦型選抜、そのほかの学院は総合型選抜を実施しています。いずれも共通テストの受験は必須ですが、総合型選抜では個別学力検査(総合問題、面接など)も課されます。2021年度の学校推薦型・総合型選抜合計の志願者数は445人で、対前年度指数77.5と2年連続の大幅減となりました。しかし、昨年度志願者が大幅に減少したことにより競争率(志願者数/合格者数)が2.5倍まで下がった理学院は今年度指数140と大幅に増加するなど、学院や系、年度によって競争率にバラつきがみられます。

今年度の生命理工学院は競争率が1.2倍まで下がり、昨年度に続いて総合型選抜実施学院の中では突出して低い数字となりました。その一因として、個別学力検査で生物に関する筆記試験が課されることが考えられます。一般選抜は全学院で個別学力検査の理科が物理・化学指定ですので、併願が非常に困難です。しかし裏を返せば、生物を受験科目として選択している受験生にとっては大きなチャンスとも言えます。

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