2021年度京都大学入試動向分析
難関大入試を突破するには、相応の学力とともに入試に関する情報を把握しておくことが重要で、入試の現状を知ることが、明確な目標設定と対策を講じることにつながります。
今回はY-SAPIXが発行している『2021大学入試出題傾向リサーチ』より、2021年度の京都大学の入試動向の分析をご紹介します。
一般選抜 志願状況
2021年度前期日程志願者数は7,045人で、昨年度から302人(-4.1%)減少しました。
ほとんどの学部で後期日程を中止した2007年度以降に最多の志願者8,460人を集めた2013年度より8年連続で減少し、最少の志願者数を更新しました。この8年間で1,400人以上の志願者が減ったことになります。
2021年度は、センター試験から共通テストへの変更、新型コロナウイルス感染症に伴い追試験が設定されるなどの状況の中での入試となりましたが、減少傾向は変わらず続く形となりました。
また、第1段階選抜による不合格者数(無資格者を含む)は48人で、昨年度から19人の減少です。
文系の志願者では、文・法・経済学部が減少しました。
文学部は一昨年度までは3年連続で増加し、2012年度以降で最多の志願者数を集めていましたが、それ以降減少傾向に転じています。
法学部は以前から文系学部の中でも志願倍率が低い状態で推移していますが、今年度は1割以上減少(-91人、-11.5%)、過去10年で最も少ない志願者数となり、依然として低倍率が続いている状況です。
一方、総合人間学部-文系は2年連続減少していた反動もあり39人増加(+19.2%)しました。例年他の文系学部と比べると倍率が高く、第1段階選抜の不合格者も少なからず見られますが、今年度も同様の状況です。ただし、減少前の2018年度の水準にまでは達しておらず、志願倍率も4倍を超えない結果となりました。
昨年度減少が目立った教育学部-文系も9人増加(+7.4%)しましたが、こちらも減少前の一昨年度ほどの志願者は集まっていません。
理系で減少が目立つのは工学部です。全学科で減少し、学部全体で188人減(-7.5%)となりました。工学部は共通テストの配点において地歴公民が最も高く、満点の2分の1を占めています。今年度は地歴公民の内で選択するケースの多い地理Bの平均点が大きく下がったことも志願者減の一因かもしれません。
学科ごとの志願倍率を見ると、情報学科の低下が目立ちました。昨年度は2011年度以降で最多の志願者数を集め、志願倍率が5倍近くにまで上昇しましたが、今年度は過去5年間で最少の志願者数となるまで減少しています。しかし、他学科と比較すると高倍率を維持しており、人気の高さがうかがえます。低倍率で推移している地球工学科や工業化学科と比べると、大きな開きが生じている状況が続いています。
農学部(-39人、-5.6%)と経済学部-理系(-20人、-16.8%)は2年連続で減少、過去10年で最も少ない志願者数となりました。
また、昨年度まで2年連続で減少していた医学部医学科(+21人、+7.6%)と薬学部(+6人、+3.6%)が共に増加しましたが、2011年度以降最も少ない志願者数であった昨年度から大きく増加することはありませんでした。
京都大学合格に必要な得点
京都大学に合格するためにはどの程度の得点が必要なのか、共通テストが85%の得点率だったと仮定した場合、2021年度の合格最低点を参考にすると、合格には2次試験で約50%~60%の得点率が必要だということになります。
年度によって入試状況が異なるので過去の結果と単純比較はできませんが、共通テストと2次試験、それぞれの目標得点を見定めておくことが肝要です。目指すべき得点を把握し、到達するために不足している点を明らかにしながら、受験対策を進めるようにしましょう。
合格者数過去最多の特色入試
特色入試では、2021年度より理学部が数理科学入試と生物科学入試の2種類の入試方式を実施するなどに伴い、募集人員の合計は7人増加し、145人(法学部後期日程除く)となりました。また、医学部医学科では推薦要件や2次選考の形式の一部が変更、農学部食品生物科学科では共通テストの外国語は利用されず、2次選考で「英語論文の読解力についての評価」が課されるといった変更がありました。
志願者は全体で551人、合格者は118人、倍率は4.7倍でした。(法学部後期日程除く)昨年度よりも志願者は減少、合格者が増加した結果、倍率は下がり一昨年度(合格者数116人、倍率4.6倍)と同等の水準になっています。合格者数としては導入以降最多となりました。
最も倍率が高かったのは理学部-数理科学入試(12.7倍)で、昨年度までの入試形式も含めて4年連続で最も高い倍率となり、生物科学入試でも4倍を超えました。逆に志願者が大きく減少したのは医学部-人間健康科学科(作業療法)です。昨年度同学科の特色入試として最多の志願者数を集めた反動が要因かもしれません。最終合格者が0人だったのは農学部食品生物科学科のみです。2次選考の変更による負担増に伴い志願者が減少したとみられますが、初めて合格者が0人という結果でした。
唯一の後期日程として実施されている法学部では志願者が増加しました。ただし、後期日程は前期日程等での合格に伴い辞退者が多く出るため、実際の受験者数は大きく異なります。志願者数と合格者数で見た場合の倍率は例年15~20倍程度ですが、実際の受験者数と合格者数で見た場合の倍率は3~6倍程度となっています。
また、導入当初の2016年度から志願者数は増えているものの、合格者数が募集人員に満たないことによる欠員は毎年生じています。欠員は例年おおむね30人前後生じていますが、今年度においても欠員の合計は27人となりました。
今年度は過去最多の合格者数でしたが、募集人員も増加しているため例年並の欠員数が生じている状況です。欠員数は一般選抜(前期日程)の募集人員に加えられますので、例えば合格者2人の医学部医学科では、欠員の3人が一般選抜(前期日程)の募集人員に加えられることになり、今年度の一般選抜における医学部医学科の募集人員は105人となっています。医学部医学科や経済学部ではほぼ毎年欠員が発生しているため、一般選抜の募集人員がわずかながら増えることが通例です。
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