2022年度 慶應義塾大学入試動向分析
難関大入試を突破するには、相応の学力とともに、入試情報を把握しておくことが重要になります。ここでは慶應義塾大学の2022年度の概要などについて見ていきましょう。
慶應義塾大学は1858年に福澤諭吉によって開かれた蘭学塾が始まりで、1868年に近代私学である「慶應義塾」となりました。その教育理念は創設者である福澤諭吉が門下生に説いた「気品の泉源、智徳の模範」であり、この他にも独立自尊、実学、半学半教、自我作古、社中協力などが慶應義塾の精神として掲げられています。
慶應義塾大学は、2014年度、「スーパーグローバル大学創成支援」事業に、世界レベルの教育研究を行うトップ大学(タイプA)として採択されました。この事業は、世界トップレベルの大学との交流・連携を実現、加速するための新たな取組などの国際化を徹底して進める大学を文部科学省が重点支援する、というものです。これを受け、慶應義塾大学はこれまで以上に社会に貢献し国際評価を高め、世界に冠たる研究大学としての地位を確立するとしています。
2022年度一般選抜の状況
2022年度一般選抜の志願者は37,894人で、志願者指数は103.3とやや増加しました。しかし、2020年度の志願者数を下回る水準であり、中長期的には少子化に伴って緩やかな減少傾向にあると言えそうです。
学部ごとに見ると、2021年度まで7年連続で減少していた理工、薬学部、5年連続の経済学部、4年連続の法学部は下げ止まりましたが、文、総合政策学部は2022年度で5年連続の減少となりました。医、薬学部は10%以上の大幅増を見せたものの、2001年度以降ではそれぞれ2番目、3番目に少ない数で、依然低い水準となっています。
全体の志願者数は増加したものの、正規合格者数、補欠入学許可者数ともに増加したため、実質倍率は2001年度以降で最も低い3.5倍となりました。近年高倍率が続いていた商学部B方式、総合政策、環境情報学部も下がり、7倍以上の募集単位のない、比較的落ち着いた入試となりました。
補欠発表者数・入学許可者数はいずれも2021年度を上回り、入学許可者数は前年比117.2%と2年連続で増加、2001年度以降で最も多い数となりました。補欠発表者数に対する入学許可者数の割合の平均値は、2001年度から2021年度までで見ると36.4%ですが、年度によって大きなばらつきがあり、最も低い2011年度が19.7%であるのに対し、最も高い2014年度は66.0%となっています。2022年度は61.4%と2014年度に次ぐ高い割合となり、平均値を大きく上回りました。
2022年度は全募集単位で補欠入学許可者が出ていますが、最も変動があったのは理工学部で、2020年、2021年度の0名から2022年度は355名の入学許可者を出しています。また法学部法律学科は補欠発表者の全員が入学許可となりました。なお、2001年度以降、文、経済、医学部、薬学部薬科学科は毎年補欠発表者から入学許可者を出していますが、それ以外の学部・学科では出していない年もあります。
総合型、学校推薦型選抜
慶應義塾大学では共通テストを利用した入試を行わない一方、総合型選抜では文(自主応募制推薦)、法、総合政策、環境情報学部で多くの募集人員での募集を行っているほか、学校推薦型選抜では法学部などでの指定校推薦入試、また9月入学のPEARL入試(経済学部)など、多彩な入試制度が設置されています。
総合型選抜は募集する学部・学科・方式によって出願要件が大きく異なります。選抜方法も学力重視から本人の資質重視までさまざまであり、志望する学部・学科にどのような選抜制度があるかをよく確認しましょう。
総合型選抜の競争率は学部によって大きく異なりますが、一般選抜より高い学部も少なくなく、例えば看護医療学部のA方式では競争率が一般選抜よりも大幅に高くなっています。
2022年度については、理工学部以外の全学部で競争率が下がっていますが、前年倍率が低い学部であっても翌年度は上昇する可能性もあります。
また、総合型選抜の場合は、その準備を一般選抜のための受験勉強と並行して行わなければなりません。安易な出願はせず、出願要件、自分の学習状況、過去問など、さまざまな方向から検討することをおすすめします。
2025年度以降の一般選抜変更点について
2022年10月、新教育課程による2025年度入試以降の一般選抜における変更点が公表されました。主な変更点は以下の通りです。
*予告内容について、追加・変更等が生じた場合は改めて公表
*各教科・科目とも、旧教育課程履修者を考慮するものの、特別な経過措置は取らない
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