【解法解説】2024年度 東京工業大学 数学
2024年度(令和6年度)の東京工業大学(前期)の数学について、現役生対象の大学受験塾Y-SAPIXが徹底分析しました。
〇概評
180分で5題の形式は変わらず、難易度は近年と同程度でした。昨年度に比べると計算量が穏やかになりましたが、高い数式処理力が要求されることに変わりはありません。5題中5題全てが数学ⅢCに関連している点が印象的で、本学を志望する場合は数学ⅢCの実力を十分に高めておく必要があります。計算や発想のハードルが高い設問を適切に見抜き、注力すべき設問を確実に解き進めることができれば、合格点には届く印象のセットです。
第1問
放物線と接する円についての問題です。放物線と円が接している状況は、今年度の東大でも理科・文科とも出題されています。しかし、数学Ⅲのパラメータ曲線では時々見られる状況設定ですので、類題に取り組んだことがある受験生も多かったと思われます。方針が立てやすいぶん、その方針による計算を完遂できるかどうかで得点差が付きやすい大問です。本問の難易度は「やや易」です。
第2問
抽象関数の問題です。数学的には「微分方程式」と呼ばれる分野ですが、大学受験生にも扱えるよう丁寧な誘導が付いているので、流れを上手く読み取りながら進められれば、(3)までは確実に得点できるはずです。抽象関数は具体的なアプローチを取りづらい分、式の意味を忠実に読み取りながら議論することが大切です。具体的な関数と違って「一般論」で進めるため、一朝一夕ではなかなか上手く扱えるようにはなりません。食わず嫌いせず、日々の学習を通じて着実に力を付けましょう。本問の難易度は「標準」です。
第3問
点列の極限についての問題です。点の構成について少し長い文章が与えられていますので、まずは正しく読み取ることに専念しましょう。点の構成のされ方が分かれば、数学Ⅲでよく見られる「くりかえし図形」なので、後に続く計算をせずとも簡単に結果を予想することができます。その意味では、本問の難易度は「標準」と言えます。しかし、本問は最初の点が$${A(a,0),B(0,b),C(-a,0)}$$という一般的な形で設定されているため、非常に煩雑な計算を強いられます。$${a/b=r}$$のように置き換えて表記を簡潔にするなど、複雑な数式を処理する力のぶんだけ得点差が付く大問になっています。
第4問
コイントスに関する確率の問題です。昨年度の第3問にも言えたことですが、確率を直接的に計算することが難しい場合は、「漸化式を立てて一般項を求める」という間接的な視点に切り替えることが有効です。本問の場合、(1)から(3)まで全ての設問にわたり、確率漸化式を用いた処理が推奨されます。なお、(3)は今回のセットでは間違いなく「最難問」といえる設問であり、(1)(2)でしっかり得点できれば全く問題ありません。本問の難易度は「やや難」です。
第5問
整数が係数の方程式がもつ複素数解についての問題です。計算力というよりは、論理力が問われる大問でした。ここで、問題文の条件は「…『すべての解$${α}$$に対して$${α^n=1}$$』となる正の整数$${n}$$が存在する」とも「…すべての解$${α}$$に対して『$${α^n=1}$$となる正の整数$${n}$$が存在する』」とも解釈することができますが、どちらの解釈で進めても正しい答えに到達することができます。(「条件」については過去のnote記事でも詳しく解説していますので、こちら【数学こぼれ話・全回次】もご覧ください。) 深読みかもしれませんが、敢えて解釈の分かれる問い方をすることで「受験者が自分で定めた解釈を一貫し、混乱せずに議論を遂行する能力があるか」を試すための実験的な出題なのかもしれません。本問の難易度は「やや易」です。
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