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英語こぼれ話#4 和文英訳クリニック ~「の」徹底攻略~

大学受験 Y-SAPIX

みなさん、こんにちは。

大学受験塾Y-SAPIXの英語科講師が、英語にまつわる豆知識をお届けしている企画の第4回目です。

これまでの3回で、単語の語源、代名詞の話をしてきました。
今回は、助詞「の」についてです。

突然ですが、みなさんは和文英訳問題の対策はしていますか?

自由英作文と比べて、和文英訳は書くことが決まっているので、いくらか楽そうに思えるかもしれません。
しかし、一見簡単に訳せそうな日本語文でも、その文が言いたいことを正しく読み取れておらず、かなり意味のズレた英文を書いてしまっている生徒は多いです。

早速ですが、試しに以下の2つの文を英訳してみてください。

A. ヘミングウェイの本を読めば、アメリカと日本の文化の違いがわかる。
B. ジャックは日本の食べ物は好きだが、日本の夏は嫌いだ。

いかがでしょうか?

自分の書いた英訳を見直してみてください。上の文に出てくる「の」を、あなたはどんな英語で訳しましたか?
普段何気なく使っている「の」ですが、これらを英語で置き換えるのは、実は簡単ではありません。

今回は上に挙げた2つの例文を題材に、「の」という日本語を伝わりやすい英語に訳すにはどうしたらよいかを一緒に考えていきましょう。

「所有・所属」を表す「の」


上記の文を考える前に、一般的な考え方を確認しておきましょう。

日本語の「の」とはどういう意味か、と聞かれたときに多くの人が真っ先に思いつくのは、「所有・所属」の意味ではないでしょうか。つまり、「~は…のものである」という意味ですね。

英語でも「所有格」として中1で習う表現で、皆さんは「A’s B」と「B of A」の2通りの言い方を知っていると思います。
ちなみに、「A’s B」と「B of A」の違いを知っていますか?

一般的には、
〇所有者が生物の場合は所有格を使う
 (例) ジョンの家 → John’s house
〇所有者(所属元)が無生物の場合はofを使う
 (例) 家の屋根 → the roof of the house
とされています。
(ただし、現代アメリカ英語では生物と無生物で特に使い分けをしない人も多いようです)

ヘミングウェイの本


それでは、以上をふまえて例文Aについて考えてみましょう。

まず注目したいのは、「ヘミングウェイ(※)の本」という部分です。

(※)アーネスト・ミラー・ヘミングウェイ(1899年7月21日 - 1961年7月2日)は、アメリカ合衆国出身の小説家・詩人。

以下に、あまり良くない例と良い例をまとめました。自分の書いた英文と見比べてみてください。

△ Hemingway’s books(文脈による)
△ books of Hemingway(文脈による)
〇 books about Hemingway(ヘミングウェイについて他人が書いた本)
◎ books by Hemingway(ヘミングウェイの著書)

そもそも、「ヘミングウェイの本」とはどのような意味でしょうか?

「ヘミングウェイという人物が持っている本」のことでしょうか?
それとも、彼は作家なので、「ヘミングウェイが書いた本」でしょうか?
あるいは、有名人でもあるので、「ヘミングウェイについて書かれた本」でしょうか?
おそらく、ここでは「ヘミングウェイが書いた本」が正しいのでしょうが、文脈によってはどの意味でもあり得てしまいます。
実は、Hemingway’s booksまたはbooks of Hemingwayという表現では、上記のどの意味なのかが(文法上は)わからないのです。つまり、「不親切な表現」といえます。

一方で、books by Hemingwayと書けば、「ヘミングウェイが書いた本」以外の解釈はほぼ生じません。
このように短い文で言いたいことを正確に伝えるためには、適切な前置詞を考えて使い分けることが非常に重要になります。

文化の違い

次に考えたいのは、「文化の違い」についてです。

これも以下に例を挙げます。

△ differences of cultures(文脈による)
〇 difference between cultures(文化同士を比べる場合)
〇 difference in culture(国や民族同士の違いを文化について比べる場合)
◎ cultural difference(汎用性が高い表現)

differenceという名詞は基本的にinかbetween、またはfromという前置詞と共に使います。
difference between culturesなら「日本とアメリカの挨拶の違い」など文化的な物事同士を比べる場合に、difference in cultureなら「日本とアメリカの違い」などという文章で「政治的な違い」、「文化的な違い」などと挙げていく場合に使えます。

しかし、Aの文に関して言えば、そこまで細かいニュアンスの違いは問題にならないのでは?と思うかもしれませんね。

そのような場合に便利なのが、culturalという形容詞を使うことです。
culture → culturalなど、名詞から派生した形容詞が存在する場合、それを使えば自然に「の」を表現できるケースは多いです。
例えば、「科学の研究」という表現は、scienceから派生したscientificという形容詞を使って、scientific researchという言い方ができますね。

日本の夏

次に、Bの例文を考えましょう。

「日本の食べ物」は、Japanese foodという訳が自然に書けた人も多いと思います。
では、「日本の夏」はどうでしょう?

× Japanese summer
〇 summer in Japan

実は、JapaneseやAmericanなど、国名から派生した形容詞を使う場合、注意が必要です。
国名由来の形容詞は、基本的に「その国の文化や国民に関わる」物事に使います。
例えばJapanese foodやJapanese songsなどは、日本の文化の一部と言えるでしょう。
しかし、「日本の夏」はどうでしょうか?「夏」は気候の一部であり、厳密にいえば「日本」という国とは無関係に存在するものです。そのためJapanese summerという英語はかなり不自然に聞こえます。
ここでは「日本における夏」と読みかえて、summer in Japanとするのが良いでしょう。

おわりに

いかがでしたか?

以上で見てきたように、前置詞や形容詞を使いこなすことで、日本語での見た目は同じ「の」であっても、さまざまな書き方のバリエーションがあります。
多くのパターンの書き方を覚えておくことは、和文英訳だけでなく、自由英作文の実力を底上げすることにもつながります。
いろいろな書き方にチャレンジし、書いた英文はY-SAPIXや学校の先生に添削をお願いしましょう!

最後に今回の解答例は以下になります。

■英作文解答例
A:When you read books by Hemingway, you will know cultural differences between the US and Japan.
B:Jack likes Japanese food, but he hates summer in Japan.

また、次回の英語こぼれ話でお会いしましょう。
お楽しみに!

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