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大学受験の素朴なギ・モ・ン ~国公立と私立の違い~

分かっているようで、実は分かっていないことってありませんか? 「みんなが知っていることを聞くなんて恥ずかしい」。そんな悩みを解決するのが、こちらのコーナーです。皆さまの疑問を丁寧に解説いたします。

ギ・モ・ン
大学入試は今どのように行われているの?
国公立と私立の違いって?

国立大の入試制度の変遷

大学入試の制度は国立大を中心に何度か大きく変わってきました。公立大もおおむね国立大に準じてきた一方、私立大は大学ごとに独自の入試を行ってきています。まずは国立大の入試制度について見てみましょう。
 今の東京大や京都大など新制国立大が発足した当初は一期校・二期校制で、各期1回ずつの受験機会がありました。しかし、受験競争による高校教育への悪影響、1回の学力試験のみでの合否判定を改めるなどの目的で、1979年に大学共通第1次学力試験がスタートし、各大学の2次試験と組み合わせて選抜されるようになりました。


 スタート時には2次試験を受験できる大学は1校のみでしたが、その後分離分割方式等の導入で2校受験できるようになります。一方、受験競争の過熱是正や多面的な評価を行うため選抜制度の改革が提唱され、1990年、大学共通第1次学力試験に代わって大学入試センター試験が実施されました。
 大学入試センター試験では私立大も参加が可能となり、教科数等の利用方法は各大学の自由裁量に委ねられる「アラカルト方式」が採用されました。また2次試験で調査書や小論文、面接等を組み合わせて実施するなど、選抜方法の多様化が推進されることとなりました。
 2014年には、「学力の3要素」(1.知識・技能、2.思考力・判断力・表現力、3.主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度)を高校・大学教育で育成・評価することが重要とされ、それをつなぐ大学入試を含めた一体的な改革として「高大接続改革」が進められることになりました。その具現化の一つが、センター試験に代わって2021年度から実施されている大学入学共通テストです。形式としてはほとんどセンター試験から変わっていませんが、思考力や判断力を問う出題の増加など、その理念が反映されている部分もあります。

私立大の入試方式はバリエーション豊富

私立大の入試方式は、非常にバリエーションに富んでいます。下表では一般的な名称や特徴をまとめていますが、実施方法は大学・学部等によって千差万別です。

○一般選抜
 私立大の一般選抜では基本的に学部ごとに試験日が異なります。2006年、それに加えて、複数学部が共通の問題を使用し同日に試験を実施する「全学部日程試験」が立教大で開始されました。当初は募集人員が少なく高倍率になることが多かったのですが、現在は多くの私立大で導入され、倍率も比較的落ち着いています。

○英語外部試験利用入試
 英語外部検定試験のスコアを利用する入試で、利用方法は「出願資格」または「得点換算」に大別されます。近年実施大学が増え、それに伴い志願者も増えています。例えば早稲田大文化構想学部では、志願者数が導入初年度である2017年度の543人(倍率1・8倍)から年々増加し、2022年度は3004人(倍率7・8倍)となるなど、この5年間で急増しています。

○総合型選抜
 1990年、慶應義塾大で初めて導入されたAO(アドミッションズ・オフィス)入試は、2021年度から総合型選抜に名称が統一され、出願時期が9月以降(従来は8月以降)、合格発表時期が11月以降(従来は規定なし)とルールも改められています。総合型選抜は年々実施大学が増加し、入試種別の入学者占有率は10%を超えています。
 私立大ではバリエーション豊富な入試方式を導入することで、多様で優秀な学生の確保を目指していますが、国立大でも同様の動きが見られます。国立大学協会は2015年にAО入試等を拡大して入学定員の30%とすることを目標に掲げており、既に達成している大学もあります。国立大全体ではまだ10%台で目標には遠い状況ですが、今後も一般選抜以外の募集人員を拡大していく方向にあります。国・公・私立大のいずれの志望者も、志望する大学が求める学生像と、実施されている入試制度を把握しておくことが、今後ますます重要になるでしょう。

■Y-SAPIXよりお知らせ

この記事は2022年6月21日に刊行された『Y-SAPIX JOURNAL』2022年7・8月号に掲載された記事のWeb版です。

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