英語こぼれ話#8 Victorian ageって何のこと?~英語長文に登場する歴史用語まとめ~
みなさん、こんにちは。
大学入試で出題される英文には専門的な内容のものが多く、その中では見慣れない難しい用語が使われていることもあります。
例えば、私が先日読んだ英語の長文問題の中に、「the Victorian age」という用語が(注釈なしで)使われていました。
「age」という単語からもわかるように、この言葉は、日本でいう「平安時代」や「江戸時代」のような時代区分を表す言葉です。日本人が学校で歴史を習っているように、多くの英語長文の筆者は読者が歴史を知っているという前提で用語を使います。
また、日本人が「幕末」と聞けば維新の英雄たちの名前を思い浮かべるように、特定の時代から連想される一般的なイメージというものも存在します。
古文の勉強をするときには、古文単語や文法だけでなく、「古文常識」を学ぶことで文章がスムーズに読めるようになります。
それと同じように英語の文章も、英語話者である筆者にとっての一般常識、いわば「英文常識」をある程度知っておくことは大切です。
今回は、そんな「英文常識」の一部として、英語の歴史用語をいくつかご紹介します。
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〇世界史一般編
まずは、国や地域を限定せず、ひろく世界の歴史を語る際に使われる時代区分用語をご紹介します。
なお、以下で紹介する各時代の「イメージ」は英語長文の筆者(書き手)によりよく用いられているものではありますが、必ずしも歴史学的に正確なものではないという点をあらかじめご了承ください。
・prehistoric era「先史時代」
「歴史が語られるよりも以前の時代」、つまり文字による記録が残っていない時代を指します。化石や遺物の発掘調査によってのみ、この時代のことを伺い知ることができます。
neolithic era「新石器時代」などという用語も覚えておくと良いでしょう。
・ancient era「古代」
文字によって記録が残されるようになり、メソポタミアやエジプトなどの古代文明が繁栄した時代です。ヨーロッパにおいてはとくに古代ギリシャ、ローマの時代を指すことが多く、学問や芸術が発展した栄光の時代、というイメージがあるようです。
・medieval era「中世」
ヨーロッパにおいては、各地に王や貴族が独自の領土を持って競いあっていた分裂の時代です。キリスト教会が大きな力を持っていたこともあり、科学が発達する以前の時代、人々の生活が迷信に支配されていた暗黒時代、というイメージで語られることが多いです。
・modern era「近代」
科学が発達し、政治や法律、社会において現在の世界に繋がる仕組みが形づくられていった時代です(「科学や近代社会が発達する以前/以後」という観点から、近代より以前の時代をまとめてpre-modern era「前近代」と呼ぶこともあります)。
それと同時にこの時代は、西欧諸国がアジアやアフリカを植民地化し、人種差別や経済格差など現代に繋がる様々な問題の種がまかれたcolonialism「植民地主義」やimperialism「帝国主義」の時代として否定的に語られることもあります。
・contemporary era「現代」
近代と現代を区別せず、ひとまとめにmodern eraと呼ぶこともありますが、特に区別する場合、より現在に近い時代をcontemporary eraと呼びます(場合によりますが、第二次世界大戦以後の時代を指すことが多いです)。
なお、contemporaryという単語はcon(共に)+tempo(時間)という語根からなり、直訳すると「同時代の」となります。
そのため、文脈によっては「(過去の何かと)同時代の」、つまり「当時の」という意味になることもあるため注意しましょう。
ちなみに、英語の文章を読んでいて、「330 BC」、「AD 1648」などという表記を見たことがあるでしょうか?
「BC」とは「Before Christ(キリスト以前)」の略で「紀元前~年」、「AD」とは「Anno Domini(ラテン語でAnnoが「年」、Dominiが「主の」を意味し、あわせて「主の年」という意味)」の略で「西暦~年」を意味します。
しかし、訳を見るとわかるように非常にキリスト教色の強い用語であるため、文化的中立の立場から「BCE(Before Common Era)」と「CE(Common Era)」を使用することもあります。
〇イギリス史編
ここからは、イギリス(あるいはイングランド)の歴史において使われる代表的な時代区分を2つご紹介します。
・Elizabethan era「エリザベス朝時代」:1558年~1603年頃
女王エリザベス1世(Elizabeth I :1533~1603)がイングランドを統治していた時代を指します。
この時代を語るうえで欠かせないのが、シェイクスピア(William Shakespeare:1564~1616)の活躍です。『ロミオとジュリエット』、『ヴェニスの商人』、『マクベス』などの作品名を聞いたことがある人も多いでしょう。それらの作品は都市の劇場で上演され、多くの民衆が観劇を楽しみました。
以上のことから、「偉大な女王の下で古典文学が花開いた古き良き時代」というイメージで語られることが多いようです。
・Victorian era「ヴィクトリア朝時代」: 1837年~1901年
ヴィクトリア女王(Victoria:1819~1901)の在位した時代を指します。
産業革命により工業力、科学力が飛躍的に増大したイギリスは、世界中に植民地を持ち、全世界の4分の1を支配下に置いたともいわれる巨大な帝国を築き上げました。この時代のイギリスをBritish Empire「大英帝国」と呼ぶこともあります。
その一方、ヴィクトリア朝時代は「女性は良き妻、良き母でなければならない」などといった、保守的で厳しい道徳観念が社会を支配していたことでも知られています。
「科学や工業が発展したイギリスの黄金時代」であるとともに、「厳格な因習に縛られた古臭い時代」といういくつものイメージで彩られた時代です。
■まさに「英文常識」!19世紀に活躍したイギリス人は…?
〇アメリカ史編
ここからは、アメリカの歴史を題材にして、時代区分というよりも、アメリカ史における重要な出来事を表す用語を2つご紹介します。
・American Revolution「アメリカ独立革命」:1765年~1791年頃
イギリスの植民地であったアメリカが戦争を経て独立を勝ち取り、アメリカ合衆国の土台が形成されるまでの一連の出来事を指します。また、独立以前の時代のことはColonial period「植民地時代」と呼びます。
1776年の「アメリカ独立宣言」の公布をもってアメリカ合衆国の成立とされることが多く、宣言が公布された7月4日はIndependence Day「独立記念日」として毎年アメリカ全土がお祭り騒ぎとなります。
・the Civil War「南北戦争」:1861年~1865年
奴隷制の是非などを巡ってアメリカが北部と南部に分かれて争った戦争です。最終的に北部が勝利し、その後アメリカの奴隷制度は廃止されました。
civil warは「内戦」という意味の一般名詞ですが、アメリカでは大文字で表記することで南北戦争を指す固有名詞となります。
この戦争は、アメリカ国内では第二次世界大戦よりも多い70万~90万人の死者を出したとされており、アメリカ史上最悪の戦争として人々の記憶に刻まれています。また、『風と共に去りぬ』などこの戦争を題材にした小説や映画は数多く存在します。
この戦争を境にアメリカはおおむね安定した発展の時代を迎え、やがて超大国へと進化していきます。
以上が、英語の文章に登場することが多い歴史用語です。
これらの用語の意味と、その用語から連想されるイメージを知っておくことで、文章の内容がスムーズに理解できるだけでなく、「medieval eraという単語が出てきたから、この後で現代科学との比較をするのかな?」などと、文章の展開を大まかに予想することさえできます。
長文を読んでいて歴史用語に出会ったときは、このページのことを思い出してください!
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