世界史こぼれ話#1/ルネサンスいろいろ
高3生対象の「世界史特講」冬期第1講ではルネサンスを扱いました。受験対策としては、人物の作品や国籍、活躍した時代に焦点を当てることになりますが、ここでは少し踏み込んで、ルネサンスの特質に触れてみましょう。
■「ルネサンス」の由来
受験生の皆さんもご存知の通り、そもそも「ルネサンス(Renaissance)」とはフランス語で「再生」を意味する言葉です。ただ、何が「再生」したのか、教科書や用語集でははっきりと言及されていません。山川の『世界史小辞典』によれば、ルネサンスとは古典文化の復興運動である、とされています。山川用語集でも、古代ギリシア・ローマの文化を模範としたという記述が見られます。「再生」とはすなわち、古典古代の再生、ギリシア・ローマにおける知見や技法の「再生」とされるのが一般的です。
■いろいろな「ルネサンス」
世界史には、イタリアでのルネサンス以外にも、いくつかルネサンスがあります。カール大帝の「カロリング・ルネサンス」、中世ヨーロッパの「十二世紀ルネサンス」が思い出せますか。これらの現象がなぜルネサンスと称されたのか? 「古典古代の再生」という特質から考えると、その共通点が見えてきます。いずれの事例にも、たしかに古典文化の復興がその要素として含まれていますよね。
■中国の「ルネサンス」?
「ルネサンス」を「古典古代の再生」と捉えるならば、同様の事例は欧州以外の地域にも見られるのではないでしょうか。
まさにこのような視点から東洋史を論じた歴史家がいました。日本における中国史の泰斗・宮崎市定は、その著書『中国史』の中で、宋代を中国史のルネサンスと位置付けます。唐代末期から宋代に継承された古文復興運動、これはたしかに「古典古代の再生」と考えることができるでしょう。このような視点は現在の学会では必ずしも共有されていないようですが、「ルネサンス」を用語だけでなく、その特質から理解すると、このような地域や時代をこえた比較も可能となるのです。
■歴史事象の特質を理解=論述問題対策のカギ
「○○と△△を比較して論じなさい」という問題は、難関大論述頻出テーマです。比較の問題だけでなく、難関大論述で高得点を取るには、用語を暗記しているだけでなく、歴史事象の特質を理解する必要があります。
2021/12/19(日)に開催する「高2論述入門〈日本史・世界史〉」で、歴史事象の特質を理解する講義をします。
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