数学こぼれ話#1/軌跡と領域を深掘り
皆さん、こんにちは。
Y-SAPIXでは新高校3年生(現高校2年生)のハイレベル層を対象に、「東大・最難関大数学」という講座を、2022年1月からオンライン/対面で開講します。
東大・京大・東工大を始めとする最難関大の出題を攻略できる実力が身につくためには、どのような姿勢で数学を学習していくとよいのでしょうか?
このnoteというプラットフォームを使いながら、最初の3回は、この秋に実施した特別講座「高2東大特訓」の各回の内容と結び付けながら、そのヒントをお伝えしていければと思います。
「高2東大特訓」とは?
Y-SAPIXでは、東大を始めとする難関大を目指す意欲的な高校2年生を対象に、日曜の特別講座を開講しています。
今年は10/24・11/7・11/28の計3日間で実施し、受講者の皆さんには普段通っている校舎の垣根を超えて切磋琢磨しながら、大いに刺激を受けてもらいました。さて、数学の1日目のテーマは「関数」です。授業の前半では「値域」について整理し、「なんとなく分かるけれど…」となりやすい内容を、「ごまかしなく理解できる内容」へと一気に引き上げました。
そして後半は、2021年度東京大学入試問題 数学(理科)第1問のアレンジを含む全問オリジナルのテキストを使った演習です。
と、ある生徒から一言。まさにその通りで、「解ける」先の「分かる」に向けて、「なぜそうするのだろう? なぜこれで上手く求まるのだろう?」というふとした疑問に立ち向かうことの大切さが伝わったようでした。一方で、1人で学習していると、勇気を持って一歩先へ踏み出した先で彷徨ってしまうことも多いのですけれどね。
値域について
高校数学では「値域」が多く顔を出します。学習がよく進んでいる方は「確かに」と思うでしょうし、もしかしたら「値域というのは$${y}$$の範囲だから、最大・最小の問題だけでは?」と考える方もいるかも知れませんね。
手始めに、次のような問題を考えてみましょう。
■問題■
$${xy}$$平面上の$${2}$$直線$${tx-y=0}$$,$${x+ty=2t+4}$$の交点は、$${t}$$を実数全体で動かしたとき、どのような軌跡を描くか。
いかがでしょうか? 数学Ⅱの「図形と方程式」を学習済みの方は、一度は見たことがあるのではないでしょうか。「$${t=\frac{y}{x}}$$を第2式に用いて$${t}$$を消去して式を整理すれば、中心(2,1)、半径$${\sqrt{5}}$$の円。ただし、$${x}$$は分母にあるから$${x≠0}$$でなければならなくて…。」という声が聞こえてきそうです。でも、$${t=-2}$$としたときの交点である$${(0,0)}$$は$${x≠0}$$を満たしていませんが、軌跡上の点ではありますから、上の解答ではまずいということになりますね(もちろん、$${t=tanθ}$$と置く「離れ業」もあるのですが…)。
大きく捉え、俯瞰すること
あまり数式に立ち入ることはしませんが、本問は「値域」について深く理解している方ならば(高2東大特訓を受講した方はバッチリですね!)、「当然、除かれるのは$${(0,2)}$$だけ。何故なら、私たちが要求されているのは、〇〇である$${(x,y)}$$の集合なので…。」とあっさり解決できてしまう内容に過ぎません。「値域」についての深い理解は、紛れもなく【1周目の学習と難関大入試の橋渡し】という意味で大変重要です。
一方で、多少の数学的な下地を必要とするので、あまり正面を切って指導されないことが多く、ともすれば「解法暗記」に走ってしまいがちです。
新高校3年生(現高校2年生)対象の「東大・最難関大数学」の授業でも改めてきっちりと扱っていきます。典型問題から少し外れた最難関大の出題であっても「見た目は違うけれど、結局は同じこと」と見抜ける受験生を目指してもらいます。
次回は、高2東大特訓の2日目のテーマである「整数」でお会いしましょう!
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