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世界史こぼれ話#6/3月8日国際女性デーに寄せて

日本ではなじみが薄いですが、3月8日は国際女性デーです。この日は世界各地で重要な記念日に位置づけられ、祝祭日に指定している国もあります。

イタリアでは「ミモザの日」として知られ、男性が日頃の感謝を込めて、母親や妻、友人や会社の同僚など、自分の周りの女性にミモザの花を贈る習慣があります。この習慣は、イタリアを超えて多くの国々に広まっています。

■世界史で活躍する女性たち

われわれが学ぶ世界史にはさまざまな女性たちが登場します。
カルマル同盟の盟主となったデンマークのマルグレーテ、大英帝国の基礎を築いたエリザベス1世、啓蒙専制君主として名高いマリア=テレジアやエカチェリーナ2世、スパルタクス団の指導者ローザ=ルクセンブルク、ラジウムの発見者マリ=キュリーら、政治的・経済的・文化的活動に力を発揮する女性が多くいました。

また、草原の道を駆ける北方遊牧民の社会では、女性は一般的に自立心が強く活動的で、その伝統は北朝にルーツを持つ隋や唐にも引き継がれていました。武則天(則天武后)はその顕著な例と言えます。

■周縁に置かれる女性たち

ただ、歴史上の多くの女性たちが従属的な地位に置かれてきたことも事実です。
たとえば、古代アテネ民主政では、女性には参政権が与えられませんでした。産業革命以降のヨーロッパでは「男性は外で仕事、女性は家を守る」という観念が一般化します。中国でも、纏足てんそくに象徴されるような、しとやかさを重視する女性像が普及していきます。

☑纏足とは
幼児期に足の四指を脱臼させ、布等で縛ることにより、足を小さくみせる漢族の風習。当然歩行には不向きであったが、そのおぼつかない足取りに「女性の美しさ」をみたという。五代(10世紀頃)から始まり、20世紀前半まで続いたといわれる。

アメリカ独立革命やフランス革命で、人間の平等が宣言されても、女性には参政権が与えられませんでした。18世紀後半の女性劇作家オランプ=ド=グージュは、フランス人権宣言が謡う「人間」には女性が含まれていないとして、これを痛烈に批判しました。「女性の権利宣言」を著したその活動は当時の人々には理解されず、彼女は家庭をないがしろにした革命家として、ギロチンの露と消えます。

■女性の権利獲得に向けて

しかし19世紀後半以降、英米を中心に女性参政権を求める運動が活性化します。そして1893年、ニュージーランドで女性参政権がついに実現しました。今からわずか130年前のことです。

1900年代初頭には、欧米各地で女性の権利運動が盛り上がり、1904年3月8日にニューヨークの女性労働者たちが組織したデモが行われました。このデモを記念して、1975年に3月8日が「国際女性デー」として制定されました。同じころ、欧米を中心にフェミニズムもさまざまな形で活性化します。

なお、1920年前後にはソヴィエト=ロシア、イギリス、アメリカ、ドイツ、トルコなどで女性参政権が実現します。

女性参政権実現の背景には、第一次世界大戦の総力戦体制があったことも見逃すことはできませんが、それが多くの女性たちが苦難の末に勝ち取ったものであることも忘れてはいけません。

■ジェンダー史が開く地平

ランケが近代歴史学を確立して以降、歴史叙述に現れる人物はほぼ男性に占められていました。このような状況を批判的に克服する形で、ジェンダーの視点を歴史研究に取り入れた「ジェンダー史」が誕生します。

ジェンダー史研究によって、上記のような女性たちの生活史や、女性を抑圧する社会や文化の構造、男性をも束縛するジェンダー秩序が明らかにされ、研究の地平はさらに広がっています。

その成果を反映するように、2010年の一橋大学の第二問2018年の東京大学の第一問でも女性参政権獲得の歴史が問われています。

ジェンダーの視点は、受験においても無視できない重要なテーマの一つとなっていると言えるでしょう。

3月8日には皆さんも日頃の感謝を込めて、身近な女性に花を贈ってみてはいかがでしょうか。

今回のこぼれ話はここまで。

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次回も是非お楽しみに。それではまた!

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