学習指導要領の改訂で英語学習はどう変わるのか 第1回
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学習指導要領の改訂で英語学習はどう変わるのか 第1回

日本を取り巻く国際的な状況の変動を背景に、学校教育における英語教育改革が加速しつつあります。例えば、2020年度(2021年1月)からは「大学入学共通テスト(以下、共通テスト)」が導入され、高い読解力やリスニング力が問われるようになります。

また、今年度から小学校では新学習指導要領がスタートし、小学5・6年生において英語が「教科」になりました。来年度以降は、中学校や高校でも順次、新学習指導要領が実施され、英語の授業はディベートやエッセイなどアウトプット重視に変わっていきます。

環境が大きく変わろうとする中、これから求められる英語力とはいったいどのような力なのか、高校受験のSAPIX中学部から大平聡介先生、大学受験のY-SAPIXから北川貴志先生の、それぞれ英語科講師が、英語教育の「現在」と「今後」について語り合いました。

(本記事の取材は2020年6月29日に行われました)

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コミュニケーション力向上のためには相手に正確に伝えるための基礎知識が必要

――今年度の小学校を手始めに、学習指導要領が順次改訂されますね。

大平 新学習指導要領全体でまず目につくのは、習得語彙数が増えることです。習得目標は小学校が600~700語です。一方、中学校では現在の1200語が1600~1800語に、高校では1800語が1800~2500語に増えます。合計3000語だったのが、4000~5000語へと最大で2000語も増加します。

北川 英語を使って何をするか。これが新学習指導要領のテーマの一つです。状況に応じて正しい表現を使えるようになるには語句などの知識が必要ということです。先行実施している小学校の様子を見ると、まだ課題も多いようですが、小学生のときから英語を学ぼうという機運が高まっているようで、低学年から英語を習うお子さんが増えているのは肌で感じられます。

大平 発音がきれいな小学生が増えました。おそらく保護者の方の英語を学ばせなければという意識が強くなっていて、早くから英会話教室に通わせるなどしているのだと思います。

北川 ネイティブの方とやり取りするので発音がきれいな上、聞き取りもよくできています。半面、会話が中心なので書くことはほぼできません。自分で発音する音と文字が一致しないという現象が顕著に見られます。

大平 しっかり学んでいる子も少なくないので、トータルでの英語力の格差は次第に広がっていくかもしれません。実際、中学受験をした生徒の中には入試科目の勉強に時間を取られた分、英語が苦手という子もいます。国語や数学が優秀な分、できない英語が嫌いになり、結果として英語アレルギー予備軍となってしまうケースもあります。

――中学校の新学習指導要領は来年度から実施されますね。

大平 授業でのやり取りを英語で行うなど、コミュニケーション力の向上を意識したものになっています。「書く」「話す」というアウトプットができてこそ、言語としての英語だという発想が見て取れます。ただし、「話せればいい」という受け止め方には注意が必要です。

北川 同感です。文法など土台となる知識がないまま英語でプレゼンテーションをしなさいと言われても、正しいアウトプットはできません。

大平 学校も悩んでいると思います。限られた時間で優先順位を付けざるを得ないので、新しく取り組むもののために何かの時間を削らなければなりません。一方で、プレゼンなどの「手法」ばかりに目が行き、そのベースとなる力が軽視されるような本末転倒な事態は避けなければなりません

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――新学習指導要領の下、中高生は今後、どのように学習すればよいのでしょうか。

北川 大学入試では、単なる英文和訳ではなく、自由英作文と呼ばれるエッセイライティングのウエートが高くなっていくと思われます。まずは自分の考えをしっかり持つことが大切ですが、その上でそれをきちんと伝えるために、英文の構造を意識することが必要です。そうした訓練を、例えば高1の早い時期から始めようと思うのであれば、中学時代に語彙や文法知識を十分に身に付けておかなければなりません。

大平 中学生を見ていると、音声学習に対し、あまり積極的でない生徒が一定数いて、リスニングやスピーキングが後回しになっています。これからは特に音声を学ぶ意識を持たないといけないと思います。

北川 英語はツールです。まず伝えたいことがあり、それを実現するために学ばなければならないことがあるという順番を理解して学習を進めてほしいですね。新学習指導要領も「使える英語力」を意識しているのですから。

(第2回へ続く)

■お知らせ

英語特集号表紙

本稿は『SQUARE×Y-SAPIX JOURNAL 特別編集号 どう変わる?どう学ぶ?英語教育のこれから』からの転載になります。
この記事の他にも海外の大学に進学することについての記事や、各高校の英語教育についてまとめた記事が掲載されています。
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