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2023年度 東京大学・日本史

東大の日本史は例年,大問4題構成で,古代・中世・近世・近現代からの出題です。この構成は今年も変わりません。内容としては資料文がいくつか提示され,それに基づいて設問の要求に答えるというものです。

今年の問題の中で注目したいのは第2問の中世に関する問題。

提示された資料文を丁寧に読み込むとともに,設問の要求に答えるために学習した知識をうまく活用しなければならず,「これぞ,東大日本史!」といえるものです。東大志望の受験生はこうした問題が解けるよう,学習を積んでいってほしいですね。


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第2問「家督継承決定のあり方と応仁・文明の乱との関係」とは?

第2問で問われたのは武士の家における家督継承決定のあり方の変化が,応仁・文明の乱の発生・拡大にどう関係したかということです。

受験生のなかにはすぐに鎌倉後期頃に見られるようになった「分割相続から嫡子単独相続」という中世武家社会における所領相続方式の変化を思いついた人もいたかもしれません。

しかし,本問で問われているのは家督継承のあり方についてであり,設問の対象となっている時期も15世紀後半ころのこと。内容的にも時期的にも,嫡子単独相続について丁寧に説明しても設問に答えているとは言えません。

自分の持っている知識にとらわれず,まず設問の要求を理解したうえで,資料文から必要な情報を読みとるという姿勢が大切なのです。

提示された資料文を読み込む
―家督継承決定のあり方の変化とは―

それでは家督継承決定のあり方の変化とは何なのでしょうか?

資料文を読んでいくと,1441年の6代将軍足利義教の死後に,家督継承決定のあり方が変化していることがわかります。

以前は将軍や家臣が家督継承決定に関わり,特に将軍の意向により武士の家の家督は安定的に決定されていました。

しかし嘉吉の変後には,畠山氏を例にとると,一旦落ち着いていた家督継承をめぐる対立が再燃し,将軍義教の決定が覆っています。

嘉吉の変を画期として,将軍の意向ではなく,力のある有力家臣らによって家督決定が左右されるというように,家督継承のあり方が変わっているのです。

以上の検討から,将軍の権力が落ちた後,家督継承問題を統制する存在がいなくなっていることがわかります。

関連する知識を活用する
―家督継承決定と応仁・文明の乱の関係―

ここまでわかったら,あとはこうした家督継承決定のあり方の変化と応仁・文明の乱の発生・拡大との関係について説明すればよいでしょう。

ただし,このことについては明記している資料文が一つもないことに気がついたでしょうか。こうした場合は,持っている知識を活用して説明する必要があります。

応仁・文明の乱の一因として,管領家など武士の家の家督争いがあったことは皆さんご存じでしょう。

こうした応仁・文明の乱に関する知識を踏まえれば,将軍権力衰退後に実力により家督継承が決められるようになった結果,畠山・斯波など武士の家の家督継承争いが激化し,幕府の実権をめぐる争いなどと結びつきながら応仁・文明の乱が発生・拡大したという結論を導き出せるはずです。

東大日本史を解くために

以上のように,本問に限らず,東大日本史を解く場合,設問の要求を踏まえたうえで,資料文を読んで必要な情報を抽出するとともに,持っている知識も関連付ける必要があります。

知識だけで解いてはいけないことは勿論ですが,知識が全くないと解くことは出来ません。

こうした問題に対応できるようにするために,まずは出来事の背景・結果・影響まで含めて知識を学習・理解したうえで,過去問演習を通して思考の方法を学んでいくことが大切なのです。


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