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医学部進学をめざす受験生と保護者のための個別相談会・セミナー・入試説明会「医学部進学フォーラム2023 東京」開催

「医学部進学フォーラム2023 東京」が7月17日(月・祝)、東京都立産業貿易センター 浜松町館で開催されました。このイベントは日本経済新聞社イベント・企画ユニットが主催し、SAPIX YOZEMI GROUPが特別協賛したものです。当日は国公私立大学などの医学部による個別相談会や、事前申し込み(先着順)制のセミナーが実施されました。

医学部医学科を志望する生徒や保護者で満席となったセミナー会場

Y-SAPIXがセミナーを開催
「データでみる医学部入試」

 医学部進学を目指す高校生、受験生、小中学生とその保護者を対象に開催された「医学部進学フォーラム2023 東京」。各種セミナーは三つの会場で行われ、Y-SAPIXも医学部受験対策に役立つセミナーを実施しました。


■Y-SAPIXとは?


テーマは「データでみる医学部入試」です。この春の入試を踏まえた各種データを読み解きながら、2021年から始まった大学入学共通テスト(以下、共通テスト)の実施状況、志願者の動向、各大学の個別入試などについて、Y-SAPIX教育情報センターが細かく分析し、解説しました。

セミナーはまず、共通テストと、その前身である大学入試センター試験(以下、センター試験)の志願者数の推移の分析から始まりました。注目されるポイントは既卒生の動向で、共通テストが始まった2021年以降は、その割合が減少。2023年は過去最低の14・0%になったと解説しました。

 「医学部入試は他学部に比べ、力のある既卒生が多い中での戦いとなる分、現役生には厳しい入試という傾向があります。しかし、既卒生が減ってくれば、現役生の食い込む余地は大きくなると考えられます。とはいえ、医学部入試はまだまだ甘くないのが実情です」

 その具体例として提示されたのが、琉球大学の入試結果です。同大学の今年の志願者に占める現役生の割合は、大学全体では75・8%であるのに対し、医学部は50・0%、また、合格者に占める現役生の割合は、大学全体では79・9%であるのに対し、医学部は47・0%にとどまる結果でした。医学部入試ではいまだに既卒生が多く、厳しい争いであることが分かります。

 続いて取り上げられたのは、共通テストの平均点です。昨年は数学の平均点が大きく低下しましたが、今年は一昨年以前の水準までほぼ回復しました。一方、国語と英語リーディングは昨年より低下し、過去20年間でもかなり低い水準となりました。また、主要な20科目のうち、平均点が60%を超えた科目数は、現在の科目構成になった2015年以降では最少の6科目でした。
 
 大学入試センターでは科目ごとの平均点を毎年公表していますが、国公立大学の医学部を受験する上で必要な5教科7科目(900点満点)での平均点は公表していません。そこで、理系の生徒が最も多く選択する5教科7科目の平均点の合計を単純比較したところ、今年は昨年より約4%上昇。共通テスト1年目の2021年よりはやや低く、2017年・18年・20年のセンター試験に近い結果となりました。

 これまでに実施された3回の共通テストを通じて見えてきたことに関しては、「出題形式、傾向、問題の分量は固まりつつあるのではないか」と指摘。「資料分析力など高度な情報処理能力が求められ、対話文形式の問題から必要な情報を取捨選択できるかどうかもポイントといえます」 

 今後の難易度についてはこう分析しました。「得点調整が実施されたのは、センター試験の場合、30年間で2回だけでしたが、共通テストではすでに2回を数えます。大学入試センターも難易度の調整に苦慮しているのでしょう。2025年から新課程入試に切り替わりますが、それによって難易度がどう変わるかも不透明です。ただし、平均点60%超の科目数が最少であったことなどを踏まえると、今後はセンター試験よりも、やや低い水準の平均点に落ち着いてくるかもしれません」

 以上のような動向を踏まえた学習法についてはこうアドバイスします。
 「キーワードは『多様』『読解力』『基礎』の三つ。会話文形式を含めた『多様』な出題形式にひるまず、情報をしっかり抽出できる『読解力』を強化し、『基礎』を徹底して身につけることです。そのために、現役生は学校の授業を大切にしてください。特に共通テストで課される地歴公民や国語といった教科については、学校の授業をメインに対策を進めていきましょう。共通テストで目標とすべき得点率は85%で、理想は90%です。難関である横浜市立大学医学部を例に取ると、今年の最終合格者の共通テスト平均得点率は86・8%ですから、90%ならアドバンテージを持って2次試験に臨めますし、85%でも十分に戦えます」

医学部など医療系学部は3年連続で志願者数が増加

 今年の国公立大学の一般選抜全体の志願者数は、昨年に比べ5477人減の42万3180人でした。ただ、共通テスト志願者総数の減少と比べると減少幅は小さいため、今年は積極的に国公立大学に出願する受験生が多かったと考えられます。前期日程の志願者を系統別に昨年と比べると、理系学部はおおむね増加し、文系学部はおおむね低下という「理高文低」の傾向が見られました。中でも人気なのは医療系で、医学系・薬学系は3年連続で増加しました。

 次に、国公立大学医学部医学科前期日程の志願者数の推移を見ると、国公立大学全体の志願者数が減少している中、2021年から3年連続で増加し、今年は前年比5・8%増の1万5960人となりました。ただ、志願者が増えたことで第1段階選抜の不合格者も増え、今年は医学部医学科に出願した9人に1人が第1段階選抜で不合格になりました。

 大学別に見ると、東日本であれば、富山・浜松医科・名古屋・岐阜大学などで増加が目立ちました。この主な要因は、前年に志願者が減少したら翌年は増加するという隔年現象です。それに加え、名古屋大学であれば第1段階選抜の基準を緩和したこと、岐阜大学であれば後期日程を廃止した分、前期日程の募集人員を10人増やしたこと、といった入試の方式などに関わる変更も志願状況に影響を与えたと考えられます。西日本では各地区で大学間の明暗が分かれるような形でした。例えば近畿地区であれば、大阪公立・奈良県立医科の2大学が大きく増加したのに対し、滋賀医科・和歌山県立医科の2大学は大きく減少しました。

 こうした増減が分かれる中で、志願者が集まりやすい大学としては次のような条件が考えられます。前年に志願者が減った大学、前年の志願倍率が低い大学、第1段階選抜を直近で実施していない大学、共通テストで平均点が低下した科目の配点が低い大学、2次試験の配点が高い大学などです。
 「ただし、以上はあくまで傾向です。2次出願校で悩まないようにするには、共通テストでしっかり得点することが重要です」

 一方、私立大学の一般選抜全体の志願者数は2020年から減少傾向にありますが、共通テスト利用入試は昨年からの減少幅が小さくなっています。この要因として、昨年共通テスト利用入試の合格最低点が低下した大学が多かったことや、学費の値下げや奨学金制度を整備する私立大学が増加したことで、国公立大学と併願する受験生が増えつつあるといった点が考えられます。系統別では、国公立大学に比べると「理高文低」の傾向は弱くなり、昨年より志願者数を減らした理系学部もある中で、医学系は約5%増と全系統で最大の増加幅となり、過去3年間では最多の志願者数でした。
 
 私立大学医学部の志願状況を個別に見ると、首都圏と近畿圏の大学の増加が目立ちました。数学の出題範囲から数Ⅲを除外した東海大学が突出して増えており、学費を引き下げた関西医科大学や大阪医科薬科大学なども増加しました。

国内外の37大学が個別相談会のブースを出展

現役医学生がさまざまな相談や質問に対応するY-SAPIXと代々木ゼミナールのブース

 この日、会場にブースを構えて来場者からの相談や質問に対応したのは、35の国公私立大学と海外2大学の医学部、さらに医学部受験予備校などです。全国の医学部に多くの合格者を送り込んできたY-SAPIXと代々木ゼミナールは共同で隣り合った広いブースを出展し、難関国公私立大学医学部に進学した卒業生らが来場者からの相談に乗りました。一方、各大学の個別相談コーナーでは、多くの高校生や小中学生と保護者が熱心に相談している姿が見られました。このイベントは、医学部受験に欠かせない情報収集の貴重な機会になったようです。

この記事は2023年10月20日刊行『Y-SAPIX JOURNAL』2023年11・12月号に掲載された記事のWeb版です。


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