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【解法解説】2024年度 東京大学 国語

2024年度(令和6年度)東京大学(前期)の国語について、現役生対象の大学受験塾Y-SAPIXが徹底分析しました。


第1問 現代文
 文理共通問題(評論)

小川さやか「時間を与えあう―商業経済と人間経済の連環を築く「負債」をめぐって」

「代金支払いの契約」と「時間・機会の贈与交換」という2つの側面を持つ、タンザニアの行商人の「掛け売り」について考察した文章。本文の表現は比較的平易で内容も読みやすかったため、解答要素、また解答の大まかな方向性を把握することにはさほど苦労しなかったはずです。しかし、要素を十分に揃えた答案を解答欄におさめるのが難しい設問もあり、これまでと同様、本文中の表現を端的に言い換える高度な記述力が要求されました。

問2は「主張する」理由ではなく、「主張できる」理由が問われている点に着目する必要があります。問3は傍線部のみならず傍線部を含む一文全体に着目し、論理展開を損ねないようにしつつ丁寧に言い換えていくことが求められました。

第2問 古文

讃岐典侍日記さぬきのすけにっき

前帝崩御のため喪に服している作者のもとに、新しい帝へ出仕するよう命令が下るという内容の文章。『讃岐典侍日記』としては有名な箇所からの出題となっており、過去の他大学の入試においても近い部分が使用されています。本文自体はやや難解ですが、設問はいずれも前後の内容、展開を正確に理解したうえで傍線部を解釈することが肝要になるものでした。そのため、基本的な単語、文法の知識を確立したうえで、注釈やリード文も参考にしつつ緻密に読解を行うことが重要だといえます。

文科問3は「ついで」が「機会」を意味することをおさえたうえで、傍線部前後の「世を思ひ捨てつ」「削ぎすてん」などをもとに「出家の機会」と解釈する必要がありました。文科問5(理科問3)について、傍線部中の「墨染めの袂」は「喪服」を意味します。直前の筆者のセリフを正確に解釈できていれば、和歌の大意を確実につかむことができたはずです。

第3問 漢文

方東樹『書林揚觶しょりんようし

清代の学者による、古代の聖人たちの著作との比較を通し、後世の著作のあり方を批判する文章。全ての設問において、「平易な現代語に」「簡潔に」「わかりやすく」などといった指示がなされています。問いの要求に沿った十分な解答を作成するためには、本文の論理展開や文中の対句構造、比喩関係を的確に捉え、それらをもとに言葉やニュアンスを補いつつ傍線部を解釈する力、また解答根拠となる部分を再構成し、端的にまとめる記述力が不可欠だったといえます。

問1dは、直後の「毫末之損」との対句に着目し、「丘山」のニュアンスを明らかにしたうえで訳す必要がありました。問二は「不得已而有言」の内容が分かりにくいですが、直後の「達事理而止~」を踏まえて考えると、「どうしようもなく言うべきことがあること」と解釈できます。

第4問 現代文
 文科のみ(随筆)

菅原百合絵「クレリエール」

仏文学者、歌人である筆者による、外国語によって世界や自分自身の見え方が変わっていくことを述べた随筆。比喩的、抽象的な傍線部の表現を具体的に説明することが必要な設問が並んでおり、抽象↔具体の言い換え等に注意しつつ本文を読み進め、一義的な言葉をもって解答をまとめることが要求されました。

問2は「本文に即して具体的に」という設問文の指示に従い、直後の「clairière(クレリエール)」の例に即して解答を組み立てていくことになります。上記の例によってたとえられている内容を抽出し、それを自分なりの言葉で説明することが必要だったといえます。
問4は「静かな慰め」について本文では明確には述べられていませんが、直前の「意識と無意識の隙間に明滅し~浮かび上がる心の『空き地』」という一文に着目し、「もうひとりの自分」に向き合うことで得られる心の平穏について説明していくことになります。


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