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英語こぼれ話#6 和文英訳クリニック ~自動詞・他動詞はなぜ大事?

みなさん、こんにちは。

大学受験塾Y-SAPIXの英語科講師が、英語にまつわる豆知識をお届けしている企画の第6回目です。

私ごとですが、

ふだんY-SAPIXで英語の授業を行うときには、なるべく難しい文法用語を使わないようにしています。英語の授業中に「連鎖関係代名詞」とか、「時・条件の副詞節を導く従位接続詞」とか、専門的な用語を連呼されたら、皆さんもウンザリしてしまいますよね?

しかし

そんな私でも、生徒の皆さん(特に高校生)に「これだけは理解しておいてほしい!」と常日頃から思っている文法の概念があります。

それは、「自動詞・他動詞」という概念です。

「それくらい知ってるよ!」と思う人もいるかもしれません。
それでは、以下の問題に正しく答えられるでしょうか?

以下の日本語を英訳しなさい:
「私の弟たちは子供の頃、よく似ていた」(resembleを使って)

いかがでしょうか?

この問題に正しく答えるためには、実は「他動詞」の正しい理解が不可欠です。

今回は、盲点になりがちな「自動詞・他動詞」の大切さを一緒に学んでいきましょう。

〇そもそも、自動詞・他動詞とは?

まずは確認です。
自動詞・他動詞とは、一般的な言い方をすれば、

 ・自動詞:自分以外のものに影響を与えない動作を表す言葉
 ・他動詞:自分以外のものに影響を与える動作を表す言葉

といえます。
英語においては、この違いは文構造に明確に表れ、

 ・自動詞:後に目的語が(直接)置かれない動詞
 ・他動詞:後に目的語が(直接)置かれる動詞

と区別することができます。

「目的語が『直接』置かれる」というのは、動詞と目的語の間に前置詞が置かれない、という意味です。

例えば、「I can see a lot of stars.」のseeは他動詞ですが、「Don’t look at the sun directly.」のlookはthe sunが目的語であるように見えますが、間にatという前置詞を挟んでおり、「直接」目的語が置かれてはいないため自動詞である、と習いましたね?

注意しなければならないのは、日本語と英語では自動詞・他動詞の区別が異なる場合が多々あることです。

discuss「~について議論する」、enter「~に入る」、reach「~に到着する」などの動詞は頻出の他動詞として覚えると思いますが、これらの単語が頻出なのは、「議論する」、「入る」、「到着する」は日本語ではどれも自動詞であり、その感覚に引きずられて誤用する人が多いためです。

また厄介なことに、日本語の動詞は「開く/開ける」のように自動詞と他動詞で形が異なる場合がほとんどですが、英語には、形は同じでも使い方によって自動詞か他動詞かが変わってくる動詞が多数存在します。
(文法用語ではこれを「能格動詞」と呼び、英語にはこのタイプの動詞が600以上存在すると言われています)

例:
・I run in the park every morning. のrun ← 自動詞「走る」
・I run a chocolate factory. のrun ← 他動詞「~を経営する(~を走らせる)」

このほかにも、open、break、driveなど、日常でよく使う動詞の多くがこのタイプであるため、注意しましょう。

〇自動詞・他動詞の応用①:英作文の場合

さて、ここまでの話は授業で聞いたことがある人も多いでしょう。

とはいえ、「discussの後にaboutは置かない」などという断片的な知識だけがあっても、選択や穴埋め問題には正解できるかもしれませんが、英作文や英文和訳といったより難易度の高い問題にはあまり役に立ちません。

しかし実は、「自動詞・他動詞」の理解の有無が、英語の得点を左右する場面は多々あります。

これからその具体例を見ていきましょう。以下で説明する内容を頭に入れておくだけでも、英語のミスは多少なりとも減るはずですよ!

ここで冒頭の例題を振り返ってみましょう。

「私の弟たちは子供の頃、よく似ていた」(resembleを使って)

この英作文を、以下のように書いてしまった人が多いのではないでしょうか?

×My brothers resembled when they were children.

どこが間違っているのでしょうか?
現代英語では、ここで使っているresembleは「~に似ている」という意味の他動詞です。

そして重要なのが、「他動詞の後には直接、目的語を置く」ということ、つまり裏を返せば、「他動詞の後には本来、目的語がなければならない」ということです。

よって上記の文は、以下のような書き方をしなければいけません。

〇My brothers resembled each other when they were children.

each otherは「お互い」という意味の代名詞であり、resembleの目的語として置くことができます。

〇自動詞・他動詞の応用②:英文和訳の場合


自動詞・他動詞の知識は、和訳問題でも役に立つことがあります。
例えば、以下の英文を和訳できますか?

・The degree of the other people’s knowledge is something we need to assess for a smooth conversation.

先に進む前に、少し考えてみてください。辞書を引いてもかまいません。

いかがでしょうか?一見すると文の構造が複雑で、訳しにくいと感じたかもしれません。

この問題のポイントは、中ほどにあるassessという単語です。

この単語が「~を評価する」という意味の他動詞であることを知っていれば、「assess for~」などという繋がりはあり得ないことが分かり、
「~something we need to assess / for a smooth conversation」という文の区切りが一目で分かるはずです。

そして、assessの後にあるべき目的語がないということは、「we need to assess」が関係代名詞節であることまで見抜けますね?

このように、他動詞の性質を知っていれば、全体の文構造が芋づる式に見えてくるのです。

よって、訳例は以下のようになります。

・相手の知識の程度は、円滑な会話のために私たちが評価する必要のあるものだ。

〇どうやって勉強するの?

以上のように、「他動詞の後には本来、目的語があるはずだ」という認識を持つことで、英文を読み書きする際の大きな助けになることがわかりました。

しかし残念ながら、自動詞・他動詞というものは、区別の仕方や文法ルールさえ知っていれば活用できる、というものでもありません。

なぜなら、resembleやassessという動詞が他動詞であるということを知らなければ、そもそも上記のような思考をすることもできないからです。

結局のところ、単語と語法の知識を増やすことが、英語の成績を上げる最短経路なのです。

ただし、「この動詞は自動詞(の用法)か他動詞(の用法)か?」ということを意識しながら単語を覚えていくことは大切です。

例えば単語帳を見ると、他動詞の意味は「~を〇〇する」というように、必ず助詞とセットで書かれていることに気づくでしょう。

文法の知識を活用して、より整理された、効率の良い学習をしていきましょう!



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