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歴史上の成功・失敗から学び、世界での出来事に目を向け、考える

ロシアのウクライナ侵攻や中国による台湾海峡危機など、現在の世界は第二次世界大戦以来の不安定な情勢にあると 言っても過言ではありません。そういった出来事に対して、背景を理解して自分なりの考えを持つためには、世界史の知識が不可欠です。世界史を学ぶことの重要性について、Y-SAPIXお茶の水校 地歴科 世界史担当の勝田悠暉に聞きました。

Y-SAPIXお茶の水校 地歴科 世界史担当 勝田悠暉


空間的にも時間的にも多くの経験が詰まっている


――世界史はなぜ学ばなければならないのでしょうか。


勝田 イギリスのEU離脱、ミャンマーでのクーデター、アメリカのアフガニスタン撤退、ロシアのウクライナ侵攻 ……。

これらは、いずれもここ1、2年の間に起きた国際的な出来事です。
ほとんどの皆さんは、こうしたトピックについてテレビやネットなどを通して目にしたことがあると思います。

しかし、それらの出来事がどのような背景によって起きたのかは、必ずしも理解できていないのではないでしょうか。

それにもかかわらず、「日本にいる私には関係ない」と、関心を持たずに思考を停止してしまったら、これほど危険で、もったいないことはないでしょう。なぜなら日本という国は、諸外国なしでは成立しないからです。
 
食料自給率を例に挙げると、日本のそれは 40%未満であり、約 6割を外国から輸入している状況にあります。

そのため、日本の食料確保は、さまざまな国からの輸入のおかげで成り立っています。さらに、エネルギー自給率はわずかに約 1割で、約9割を外国に依存しています。

このように、日本は決して自国だけでは成立しない国なのです。

そのため、たとえ地球の裏側で起きた出来事でも、その原因や背景を知って理解を深めることは、日々の生活を送る上で非常に重要であり、自分の考えを持つためにも必要不可欠です。

一方、世界史を時間軸で見てみると、人類には少なくとも 5000年以上もの歴史があります。そうした長い年月の間には、多くの国家や民族が繁栄し、あるいは衰退しました。

その経緯には、人生を送る上で役に立つ思考や戦略がたくさんあります。

このように、世界史を学ぶことは単に学問としてだけでなく、5000年にもわたって繁栄してきた人類の成功や失敗を、自分たちの人生における教訓や参考という武器として学ぶこともできるのです。

空間的にも時間的にも、世界史には数多くの経験が詰まっています。ここから学ばない手はないでしょう。

世界から見た日本を知るよりグローバルな視点を


――世界史には他にどのような魅力がありますか。


勝田 世界史で扱う知識の多くは、他の分野と密接に関わっています。

例えば、古典や漢文で扱う論語で有名な孔子は、世界史にも必ず登場します。また、万有引力のニュートン、相対性理論のアインシュタイン、進化論のダーウィンなど、物理や生物の分野で活躍した人々の人生は、高校の世界史でも語られます。

「ニュートンはペストの感染を逃れて帰郷した際に、万有引力の法則を発見した」という背景を知っていれば、物理の授業がより面白く感じられると思います。 

また、入試においても、世界史で登場する人物や世界遺産をテーマとする問題が他の科目で出されることもあります。

英語の長文や英作文の問題などでよく見られるのですが、世界史の知識を持っていればカバーできる場合も多いです。

――受験科目としての世界史の特徴を教えてください。


勝田 大学受験における世界史は、文系の場合、日本史と同様に、ほとんどの大学・学部を受験する際に必要となります。

出題範囲は、文字のない先史時代から、情報が行き交う現代にわたる数千年です。

そのため、受験生は「覚えるのが大変そう」と思いがちですが、その分、内容は圧縮されていることから、知識量としては日本史ほど多くはありません。

ところで、 2025年度からの大学入試は、今年の 4月から高校の授業でも導入された新学習指導要領に準拠することになります。

再編された科目の中で世界史に関わる部分は、必修科目の「歴史総合」と、選択科目の「世界史探究」です。

これからの入試では、公文書や統計をはじめとする史資料を基に、どのようなことがいえるかといった、思考力が必要となる問題が多く出題されるといわれています。

――「歴史総合」では日本と世界の近現代史を学ぶと聞きました。


勝田 世界史は、地球上の国家や人々に焦点を当てて歴史を学ぶものなので、当然そこには日本も入ります。

これまでは世界史と日本史に分けて、日本史では日本を中心に歴史を学んできました。

しかし「歴史総合」では、日本で起きた出来事と、諸外国で起きた出来事がどれだけ影響し合い、つながっているのか、そのつながりの中で、日本はどのような立ち位置なのかを学ぶことになります。

つまり、今までより一層グローバルな視点を持つことが求められるようになるでしょう。

用語や知識に限らず見方や考え方も一緒に学ぶ


――Y-SAPIXで学べる世界史にはどのような特長がありますか。

勝田 Y-SAPIXでは、高 2から世界史と日本史を受講することが可能です。

高 2の春から冬期講習までの期間に、古代から現代までの通史を学び、高3ではさらに実践的な内容で、もう 1周学ぶという学習サイクルになっています。

なお、高 3の内容は高 2の1月から始まるため、他塾に通う受験生よりも早くスタートダッシュできます。

講師と生徒との双方向対話型で行われるのも、 Y-SAPIXの授業の特長の一つです。

「なぜそうなるのか」といった質問をちりばめながら、生徒とのやりとりを通じて歴史を解説していきます。

一般的に、世界史は講師からの一方通行になりがちな科目ですが、Y-SAPIXでは生徒とのやりとりがとても活発です。

この授業形式には、他の生徒の考えを知ることができたり、疑問をその場で解消できたりといったメリットがあります。

一方で、論述の訓練も授業内外を通して徹底しており、添削指導も受験期間の最後の最後まで丁寧に行います。

――世界史の効率的な学習方法はありますか。

勝田 ただ文字を読むよりも、映像や画像を見る方が何倍もの情報量が得られるので、まずは映画や史資料集を見てイメージを膨らませる癖を付けておくと良いでしょう。

また、生徒からの「カタカナが苦手」という声をよく耳にしますが、カタカナは英語、ドイツ語、フランス語など、もともと外国語に由来するものです。

そのため、「世界史を学びながら外国語も学べる」という捉え方をしてみると良いかもしれません。

その中で、人名や事件名などの規則性を発見できれば、比較的知識が定着しやすいと思います。

Y-SAPIXではそういった “こつ ”も教えるように心得ているため、より深い学びが得られます。 

「人間の脳は 1万年間進化していない」といわれています。

1万年前の人間と、今を生きる私たちの脳は、基本的には変わっていないのです。

長い期間にわたり、人類は集団を作り国家となって、外交、戦争、平和の維持など、さまざまなことを繰り広げてきました。

それは太古の昔でも近年の話でも、原理原則の部分では通底するところがあるということです。

そこに着眼点を置いて歴史を学ぶと、似ている出来事が繰り返されていることに気付くでしょう。

用語や知識に限らず、見方や考え方も一緒に学ぶことができれば、結果的に効率良く学べると思います。

――最後に、読者の皆さんにメッセージをお願いします。

勝田 今、高校受験に向けて勉強に励む皆さんは、今後、間違いなく幅広い教養を身に付けることが求められます。

社会科が受験科目にあるか、ないかとは関係なく、世界で起きていることに積極的に目を向けて、テレビで報道されるニュースを見る時は、視野を広く持つことを心掛けましょう。

一方で、社会科を受験科目として学んでいる皆さんは、高校受験で学習したことが、大学受験という次のステップに立った時に、大きなアドバンテージになることを忘れないでください。

社会科は、それだけ大学受験へのつながりが大きい科目であると言えます。
今、勉強していることは、近い将来、そして遠い未来であっても、必ず自分の財産になります。

Y-SAPIXの授業では、積み上げてきた財産を限りなく高めていきます。将来、無事に高校受験を終えられた皆さんと、教室で会える日を楽しみにしています。

この記事は2022年10月1日刊行『SQUARE』215号に掲載された記事のWeb版です。

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※動画は①・②と2本ございます。

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