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医学部入試 丸わかり!押さえておくべきポイント5~私立大学編~

※下記の各内容は、2025年度入試の変更点(判明分)を反映しています。
※昭和大学は2025年4月より昭和医科大学へ校名が変更となりますが、本稿では昭和大学で統一します。 

一般選抜の概要

私立大学の医学部医学科は全国で31校あります。

私立大では学校推薦型選抜や総合型選抜などの特別選抜を除くと「一般選抜」「共通テスト利用方式(共通テスト利用選抜/共通テスト利用枠)」が主な選抜方法となっています。

図表① 私立大学医学部の一般選抜(概要)

  一般選抜の学科試験は、主な募集枠では「英語・数学・理科2科目」が必須の3教科4科目が基本です。例外は、帝京大の3(2)教科3科目、東海大の3教科3科目、金沢医科大(後期)と兵庫医科大(B:高大接続型)の2教科2科目、3教科4科目ですが一部教科が選べる昭和大です。帝京大は数学または理科に代えて、昭和大は数学に代えて国語(現代文のみ)も選択可能となっており、東海大は理科1科目で受験可能となっています。金沢医科大の後期では理科が課されず、兵庫医科大の高大接続型では1次試験で英語が課されない代わりに、指定英語検定有資格者のみ出願が可能です。

 一方で、共通テスト利用方式は半数以上の大学が実施しています。産業医科大は私立大で唯一、共通テストの受験が必須となっていましたが、2024年度からは新たに共通テストを受験しなくても出願できる選抜方式を設置しています。

 また、2025年度の変更点として、聖マリアンナ医科大が共通テスト利用方式を新設します。募集人員は約5名で、共通テストでは英語・数学・理科2科目・国語(現代文のみ)が、2次試験では小論文・面接・適性検査が課されます。一方で、獨協医科大・愛知医科大(後期)・藤田医科大(後期)は共通テスト利用方式の募集が停止となります。

 そのほか、東邦大では統一入試を導入します。募集人員は3名で、指定英語検定有資格者のみ出願が可能です。選抜方法は1次試験で英語・数学・理科2科目が課され、2次試験で数学・理科2科目・基礎学力・面接が課されます。基礎学力の出題内容は、論理的思考力・数理解析能力等とされています。

図表② 私立大学医学部 入試科目の基本形

  学科試験以外では、「面接」が全大学で必須とされており、「小論文」も大半の大学で課されています。医学部入試の場合、国公立大志望者は共通テストで国語が必須ですし、私立大でも小論文が課される大学が多いため、国語力は不可欠と言えます。これは、将来医師となった際に患者さんやそのご家族、他のスタッフとのコミュニケーションを円滑に進めるため、さらにチーム医療にも必要とされる力であり、また学会での発表や論文執筆などが業務として求められる場合があるためです。

一般選抜の入試科目・配点

前述の通り、帝京大、東海大、金沢医科大(後期)、兵庫医科大(B:高大接続型)以外は「理科2科目」の受験が必須です。そのうち「英語、数学、理科2科目」の4科目を均等配点とする大学が多く、総合点のうち理科だけで半分を占める大学が半数弱になります。理科の配点が4割以上の大学も含めると、理科重視といえる大学は31校中25校を数えます。

図表③ 私立大学医学部 1次試験の教科別配点比率(一般)

  このように私立大医学部では、理科が合否の鍵を握ると言っても過言ではありません。他学部と比べて医学部志望者には浪人生が多い傾向がありますが、国公立大と私立大では私立大の方が浪人生の合格者割合が高くなっています。これは配点の高い理科対策の完成度の差も大きな要因と考えられます。

 高難度・高倍率の私立大医学部に現役で合格するためには、中高一貫校のような先取り学習を取り入れ、高校2年生までに他教科も含め基礎的な内容を終えておくことが望まれます。

一般選抜・共テ利用方式で複数回受験できる大学は約7割

次に、1大学における複数受験についてです。

一般選抜の中で複数の方式・日程を設定している大学は15校、1次試験に試験日自由選択制を導入している大学は4校あります。

 また、一般選抜と共通テスト利用方式で併願が可能な大学は17校あり、上記と合わせると全体の7割以上の24校で複数回の受験が可能ということになります。

図表④ 私立大学医学部 複数の方式・日程で受験できる大学

  一方、慶應義塾大や東京慈恵会医科大などの7校は、1つの受験方式・日程のみとなっています。

共通テスト利用方式は4教科以上が多数派

続いて、共通テスト利用方式(共通テスト利用選抜/共通テスト利用枠)を実施している17校の必要教科数をみてみましょう。

図表⑤ 私立大学医学部 共通テスト利用方式を実施している大学
図表⑥ 私立大学医学部 共通テスト利用方式の教科数

 一般選抜は「英語・数学・理科2科目」の3教科4科目が定番ですが、共通テスト利用方式では「国語」を含む4教科以上を課す大学が多くなっており、約3割にあたる5校が、国公立大と同様に「英語、国語、数学、地歴公民、理科」の5教科受験を必須としています。そのほか、藤田医科大では「英語、国語、数学、理科、情報」の5教科受験を必須としています。

また、共通テスト利用方式を実施しない大学は14校となっています。 

私立医学部の6年間の学費

最後に私立大学の学費についてです。私立大医学部の傾向として、入試の難易度と学費が概ね「反比例」の関係にあります。6年間にかかる学費の総額は、全大学の平均で3,000万円を超えており、国立大学(約350万円)の9倍強に相当する金額です。ただし、大学によって金額に大きな差があり、2,000万円以下の大学もあれば、4,000万円を超える大学もあります。例えば国際医療福祉大は、一般生(特待生などを除く)の学費が6年間で1,850万円と、私立大の医学部では最も低い金額が設定されています。

図表⑦ 私立大学医学部の6年間の学費

いかがでしたか。大学受験の入試方式は毎年のように変更があります。志望校の入試変更点は事前にチェックしておきましょう。

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