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リベラル読解論述研究でおなじみの夏目漱石の文章が東大国語で出題!

東京大学で出題された夏目漱石の文章を見て、読解と論述の難しさ、そしてそれを訓練するY-SAPIXのオリジナル講座についてご紹介します。

夏目漱石「子規の画」

2021年度の東京大学の入試では、国語(文科第4問)で夏目漱石「子規の画」が出題されました。

この文章は夏目漱石が親友の正岡子規について、形見となってしまった絵を通し、彼を偲んで書いたものです。

 子規は人間として、また文学者として、最も「拙」の欠乏した男であった。永年彼と交際をしたどの月にも、どの日にも、余はいまだかつて彼の拙を笑い得るの機会を捉え得た試がない。また彼の拙に惚れ込んだ瞬間の場合さえもたなかった。彼の歿後ほとんど十年になろうとする今日、彼のわざわざ余のために描いた一輪の東菊の中に、確にこの一拙字を認める事のできたのは、その結果が余をして失笑せしむると、感服せしむるとに論なく、余にとっては多大の興味がある。ただ画がいかにも淋しい。でき得るならば、子規にこの拙な所をもう少し雄大に発揮させて、淋しさの償としたかった。
夏目漱石「子規の画」より

「子規の画」は著作権が切れており、全文を青空文庫で読むことができます。

また、子規から漱石へ送られた手紙と絵は岩波書店が保有しています。

子規から漱石への手紙 夏目漱石と正岡子規は第一高等中学校(のちの一高)の同級生として知り合いました。 明治22年(1889)のことです。 ふたりの友情は、漱石のロンドン留学中の明治35年(1902)に子規がなくなるまで続きました。 その友...

Posted by 岩波書店 漱石プロジェクト on Wednesday, December 3, 2014

展示される機会があれば、漱石が評する子規の「拙」がどのようなものか、見に行きたいものです。

「淋しさの償としたかった」をあなたは説明できる?

さて、この文章の最後で漱石は「淋しさの償としたかった」と締めています。いったい漱石はこの文にいかなる思いを込めたのでしょう。

みなさんはこれをどのように読み解き、説明しますか。すこし考えてみましょう。


いかがでしょう。意外に難しかったのではないでしょうか。

ポイントは「寂しさ」です。では漱石は何に寂しさを感じていたのでしょう。すこし抜粋してみます。

余はいまだかつて彼の拙を笑い得るの機会を捉え得た試がない。また彼の拙に惚れ込んだ瞬間の場合さえもたなかった。
彼の歿後ほとんど十年になろうとする今日、彼のわざわざ余のために描いた一輪の東菊の中に、確にこの一拙字を認める事のできたのは、
ただ画がいかにも淋しい。でき得るならば、子規にこの拙な所をもう少し雄大に発揮させて、

読めてきましたか?

では、あなたの考えを書き出してみましょう。


書けましたか?

では、次に同じ問を誰か他の人にやってみてもらいましょう。


さて、答えは同じだったでしょうか。それとも違ったでしょうか。

答えが違うのであれば、どうして違ったのでしょうか。お互いに話してみましょう。

自分がどのように読み解き、考え、その答えを書いたのかを話し、そうして相手がどのように読み解き、考え、その答えを書いたのかを聞いてみましょう。


いかがでしょうか。雑談としては少し重い題材かもしれませんが、ぜひやってみてください。

意外な視点の違いや読み方を知ることができるかもしれませんよ。

読解力、論述力は訓練すれば身に付けることができる

先ほどの問は文章から心情を説明するという非常に難しい問題なのですが、実は2021年度の東京大学の入試でもほとんど同じ問が出題されました。

大学入試に限らず、文章を読み解き、それを改めて口頭や文章で説明するということは難しいものです。

ただし、それはしっかりと訓練すれば身に付けることができます

そして、Y-SAPIXではそれを可能にする科目を開設しています。

それが、リベラル読解論述研究です。

リベラル読解論述研究とは、内容は、大体月に1冊、課題図書を設定し、それを読み、授業の中で内容を整理し、討論し、最後に小論文にまとめるという形式の授業です。

これにより読む、書く、話す、聞くという活動を通じて読解力、表現力、論述力を総合的に鍛えることができます。

実際に中学1年生でこの授業を1年間受講した生徒の小論文を、4月から3月まで読み比べていくと、論理の組み立て方や言葉の使い方などがどんどん洗練されていく様子が分かります。

この力は国語の試験の役に立つだけではありません。面接試験や小論文、あるいは志望理由書の作成などの場においても高い思考力と表現力が必要とされていきます。

こうした力は、大学に入ってから、そしてその後の人生においても役に立つでしょう。

リベラル読解論述研究で使用する書籍

Y-SAPIXのリベラル専任の講師が選定した古今東西幅広いジャンルの良書を扱っていきます。これにより幅広い教養を培っていきます。

最近扱った書籍には以下のものがありました。

もちろん、リベラル読解論述研究では漱石の文章も多く扱ってきました。

2019年度春期 夏目漱石『夢十夜』岩波文庫
2019年度冬期 夏目漱石『行人』岩波文庫
2020年度春期 夏目漱石『私の個人主義』講談社学術文庫

また、2021年度は12月期に三好行雄編『漱石文明論集』(岩波文庫)を扱います。

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『漱石文明論集』三好行雄編(岩波文庫、1986年)

中学生や高校生の皆さん。これを機にY-SAPIXのリベラル読解論述研究で思考力と表現力を鍛えてみませんか。

そして1年後、自分がどれだけ変わることができたのか、確かめてみましょう。

Y-SAPIXでは春期講習受講生を募集中です。コロナ禍以前の2016年から運用している双方向型のオンライン授業iClassで全国どこからでも受講可能です。

興味のある方は公式サイトをご覧ください。



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