地歴公民は好きな科目を選択しよう
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地歴公民は好きな科目を選択しよう

大学入試で地歴公民の科目が必要になるのは、国公立大文系・理系、私立大文系を志望する受験生です。

Y-SAPIXでは高2・3 生を対象に地歴公民(日本史/世界史/地理/倫理、政治・経済)の授業を毎週2時間ずつ行っています。志望する大学に現役合格するためには、地歴公民にどう取り組めばよいのでしょうか。

Y-SAPIX 地歴科副教科長(世界史担当)の百瀬亮司に学習のポイントについて聞きました。

Y-SAPIXの授業は実際の入試に即して構成

地歴公民は、一般的に国公立大文系の入試なら2科目、国公立大理系と私立大文系の入試なら1科目が必要になります。ただし、Y-SAPIX地歴科副教科長の百瀬亮司によれば、大学や学部による違いも大きいとのことです。

「例えば、2科目必要といっても、東大のように二次試験で2科目必要なケース、京大・一橋大のように二次試験では1科目のみとなるケースがあります。また、大学や学部によっては日本史か世界史しか選択できない場合もあります」

Y-SAPIXではこうした状況を踏まえ、以下の授業を行っています。

●高2生対象……スタンダード日本史、スタンダード世界史
●高3生対象……ハイレベル日本史、ハイレベル世界史、日本史特講(文化史)、世界史特講(文化史)、共通テスト速習地理、共通テスト速習倫理・政治経済

「これらのうち、『共通テスト速習地理』『共通テスト速習倫理・政治経済』は主に国公立大理系向けの授業です。国公立大文系の二次試験と私立大文系の一般入試では、地理や倫理・政治経済で受験可能な大学が年々減っています。文系受験生は、国公立大・私大を問わず、日本史もしくは世界史を地歴科目の柱として、『ハイレベル日本史』『ハイレベル世界史』を受講してほしいと思います。」

科目ごと、大学ごとの特徴を踏まえた学びを

地歴公民の各科目にはどのような特徴があるのでしょうか。

日本史は地理的範囲が狭い代わりに、より深い知識が求められる科目です。国公立大は基本的に教科書の範囲からしか出題されませんが、私立大では教科書の脚注も含め、極めて詳細な知識が問われることもあります。

世界史は日本史ほど出題傾向に偏りはありません。扱うべき地理的範囲が日本史よりも広いため、特定の史実を深掘りするよりは、より広範な知識が求められる傾向があります。学習の難しさは、時代ごとに世界の各地域がどのように関わり合っていたかを理解しなければならない点にあります。その意味で空間的な把握が必要な科目といえるでしょう。

地理には大きく分けて系統地理と地誌の二つの領域があります。系統地理は地形、気候、産業などを地球規模の視点で研究する領域で、地学に比較的近いといえます。一方、大陸、国、地域ごとの特性を追究するのが地誌です。ある国がどんな民族で構成され、どのような歴史があり、どんな産業が栄えているかなどを研究します。地誌のデータは基本的に毎年更新されるという点に留意してください。

倫理・政治経済のうち、倫理は哲学、宗教、道徳、心理学などを学び、政治経済は文字どおり現代社会における政治と経済について学びます。日本史と世界史の対象が過去であるのに対し、地理と政治経済の対象は現在の世界と言えます。

「大学入試の地歴公民の問題は、大学や学部によってそれぞれ特色があります。私の専門の世界史でいえば、一橋大では中世ヨーロッパが定番中の定番です。東大、京大、一橋大については、どの先生が作問したのか、だいたい分かるほど、われわれは大学の研究動向にも目を配っています。Y-SAPIXでは、こうした出題傾向を踏まえた上で受験指導をしています」

科目の組み合わせも考慮「好きこそ物の上手なれ」の精神で

では、大学入試に向けて地歴公民の学習に取り組むときはどのように科目を選択すればよいのでしょうか。

「私立大文系志望には、日本史か世界史を薦めています。このどちらかを選んでおけば、受験できる大学の選択肢がぐんと広がるからです。

国公立大文系志望の人にも、併願の幅を広げるためにも日本史か世界史のどちらかをメインにすることを勧めています。

難関国公立大学では、先述の通り地歴公民が2科目求められますが、2科目めに何を選ぶかは個々の受験生の傾向や学習状況によります。日本史+世界史の組み合わせは、覚えるべき情報量が多く敬遠される傾向にありますが、東大館から現役合格を勝ち取った生徒の中では日本史+世界史を選択した生徒も少なくありません。特に、歴史に興味関心のある生徒であれば、日本史+世界史を過度に警戒する必要がありません。一方で、世界史+地理の組み合わせが相互に親和性が高いのも事実です。世界史を学ぶうえでは、地理の知識は助けになりますし、世界史の知識は地理の地誌分野に役立ちます。」

国公立大理系受験生の大学入学共通テスト科目としては「地理を薦めることが多い」と百瀬は言います。

地理は理系的分野も含まれており理系的思考回路と相性が良く、覚えるべき情報量も比較的少ないからです。一方、「国公立大理系向き」と前述した倫理・政治経済ですが、大学入学共通テストでこれまでと傾向が大きく変わっており、理系志望者が「暗記項目が少ないから」と安易に選択するのは危険です。特に倫理には文系的思考が求められるため、国語の苦手な人には不向きといえるからです。

Y-SAPIX生の動向を見ると、文系志望の7〜8割が日本史か世界史を、残り2〜3割が地理を選択します。理系志望では半数が地理を、3分の1が倫理・政治経済を選んでいます。

「理系でも世界史や日本史を選択する生徒がまれにいますが、入試結果は両極端になります。世界史か日本史が好きで選んだ人は、好きなだけに進んで勉強するため、現役合格するケースが多いですね。一方、何となく選んだ人は時間が足りずに失敗しがちです。

大切なことは文系・理系を問わず、自分の好きな科目を選ぶのがベストだということ。

『好きこそ物の上手なれ』は、地歴公民科目において特に当てはまります。なお、医学部志望者は、面接で生命倫理について質問されるため、その備えとして倫理・政治経済を選ぶ傾向が強まっています」

教科書の範囲を完璧に学べば合格点はおおむね取れる

最後に、地歴公民の効率的な学習法について聞きました。

「最も効率的なのは自分の好きな科目を選択することですが、ここで強調しておきたいのは、『どの科目を選択するか』よりも、『いつから本腰を入れるか』が重要だということ。

理系志望者の中には『直前に追い込みをかけよう』と考える人もいますが、高3の夏以降に始めてもまず間に合いません。遅くとも高3の4月から始めて夏までに未習の部分をなくし、夏以降は見直しと演習に取り組むことです。文系なら高2のうちに日本史か世界史の一方を終わらせておき、高3の初めからもう1科目に取り組むとよいでしょう」

加えて学習するにあたって注意してほしい点にも触れておきます。大きく三つあり、一つ目は地歴に時間をかけすぎること。歴史好きな人は必要以上に日本史、世界史を勉強してしまい、英語や数学などの主要科目がおろそかになるケースが見られます。

二つ目は最初から細部まで暗記しようとすること。

「特に私大では細かい知識が問われる傾向がありますが、はじめからそのような詳細な情報を覚えることは避け、『一問一答』を活用するなどして基本事項から頭に入れましょう。教科書の範囲を確実に習得すれば、どんな入試でも合格できます。専門的すぎる難問は誰も解けないのだから恐るるに足りません。逆に、最初から枝葉末節まで覚えようとすると、どこまでが基礎なのか判別できなくなり、解けて当然の問題を落としてしまいます」

三つ目は問題演習を後回しにすること。「全て覚えてから演習しよう」などと考えるのは極めて効率が悪いやり方です。人はアウトプットしながら知識を定着させていくので、全体の6割くらいが頭に入ったと思ったら、積極的に問題演習を始めるべきです。

「地歴公民は正しいやり方で学習すれば得点が伸びる、とても時間効率の良い教科です。高3の夏から学習を開始すればよいと思わずに、少なくとも高2からしっかりと学習計画に地歴公民を組み込みましょう。中学の社会科はその土台ともなるので、今のうちからきちんと勉強しておいてください」

この記事はSAPIX中学部の刊行するスクエア207号に掲載された記事を加筆・修正したものです。

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