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【解法解説】2024年度 共通テスト 国語

2024年度(令和6年度)大学入学共通テスト(本試験)の国語について、Y-SAPIXが徹底分析しました。

受験者平均点(中間集計結果)も踏まえながら、正答すべき箇所と解法について学び、今後の対策に活かしていきましょう!


■Y-SAPIXは、難関大学現役合格を達成するための学習塾です


今回の平均点は115.73/200点(中間集計)。100点満点に換算すると57.86点(約58%)で、前年比でプラス10点ほど上昇しました。

※こちらの平均点は,独立行政法人大学入試センター「令和6年度大学入学共通テスト(本試験)平均点等一覧(中間集計)」を参照しています。


下記の目次にて、確認したい【項目】へジャンプできます!


第1問【評論】

第1問は、2013年に発表された芸術についての文章からの出題でした。
本文は一つの長文のみであり、設問内に生徒の書いた文章があるという形式でした。昨年と異なって話し合いの設問がなくなり、生徒の書いた文章を推敲するという設問が出題されました。本文の分量は昨年より増加したものの、資料の量は決して多くなかったため、取り組みやすいと感じた受験生も多かったでしょう。

それでは、設問ごとに見ていきましょう。

【問1】昨年・一昨年のような傍線部の漢字と同じ意味を持つものを選ぶ設問がなくなり、センター試験と同様に5題すべてが傍線部と同じ漢字を選ぶものとなりました。 いずれも日常的に使われる漢字が問われていたため、全問正解したいところです。

【問2】傍線部の理由を問う問題でした。傍線部を含む段落の内容から正解の選べる問題です。特に共通テストでは、段落ごとの内容を正確に捉えることを意識しましょう。

【問3】傍線部の意味を問う問題でした。直後に説明が書いてあるため、読むべき箇所は迷わずに見つけられたはずです。本問も傍線部の含む段落の内容から正答を選ぶことができる問題でした。

【問4】傍線部の理由を問う問題でした。正答の根拠は傍線部を含む段落とその直後の段落にありますが、音楽や芸術という概念が特定のコンテクストの中で一定の価値観やイデオロギーに媒介されることで成立するということがどういうことかをきちんと理解できたかがポイントになります。

【問5】文章の構成と展開に関する問題でした。選択肢で指示された段落を見返していく必要がありますが、愚直に取り組むと時間のかかる問題です。いかに短い時間で正答を選べたかがカギになります。

【問6】生徒の書いた文章を推敲するという形式の問題でした。昨年度のような会話文の空欄補充では、会話の文脈と本文の内容の両方を踏まえて正答を選ぶ必要がありましたが、今回は設問中に挙げられた文章の論理構成さえ読み取れれば正答にたどり着くことができました。

(ⅰ)については、前後の内容から傍線部が「小説を踏まえてみると、町について今までと別の見方ができる」という意味であるということから正答が選べます。
(ⅱ)はまず脱落文の内容を見ると、冒頭の「それ」は「現実の空間に身を置くことによって得たイメージで作品を自分なりに捉え直す」ことによって生まれたものだと読み取ることができます。すると脱落文の直前には、作品の見方が変わったという内容があるはずです。すると、選択肢は一つに絞られるはずです。
(ⅲ)もやはり設問の【文章】の内容が分かれば容易に正答が選べる問題でした。そこでは小説を読んでから町を訪れると今までとは別の見方ができるということと同時に、小説の舞台を実際に歩いてみることで小説のイメージも変わるということが述べられています。この双方向性をきちんと踏まえている選択肢を選べば正解です。

第2問【小説】

第2問は、2017年に発表された現代小説からの出題でした。
本文中の語句の意味を問う問題が3年ぶりに登場し、本文の表現に関する問題も出される等、全体としてセンター試験時代に戻ったような出題になっていました。
また、末尾の設問においては、過去2年間と同様、本文の理解を深めるための資料、及びそれに基づく学習活動を題材とした問題が出されました。
今回は資料として評論文の一節が採用されていたため、資料を正確に読解し、本文中の表現との内容的な関連性、共通性を捉えることが重要だったといえます。

それでは、設問ごとに見ていきましょう。

【問1】(ア)~(ウ)全てが語句の辞書的な意味を知っていれば正答できるものになっていました。(ウ)については知らなかった受験生も多かったと思いますが、文脈上判断することもできたと思います。

【問2】傍線部を含む段落全体の内容を忠実に反映しているか、という指針のもと選択肢を検討していけば正答できる問題でした。

【問3】22行目から傍線部までの会話の流れ、及び傍線部直前の「言ってしまうと」のニュアンスを反映している選択肢を選びましょう。本文中に根拠を見いだせないものは正解にはなり得ませんので、一見紛らわしい選択肢があっても惑わされないようにしましょう。

【問4】イチナが糸屑を拾う描写をおさえ、その直前にあるセリフの内容に着目しましょう。また、37行目の「狼狽」に着目し、友人の家におばが居候していたことを知ったイチナが動揺し、驚いていることを読み取る必要もあります。

【問5】問2と同様、傍線部を含む段落全体の内容を正確に読解できれば難なく正答できるはずです。「どこからどこまでがおばなのかよくわからない様子」と「果てのなさ」が同義であることを捉えられるかがカギです。

【問6】選択肢は一見しただけでは全て正しいように思えるかもしれません。ただ、14~16行目にままごとに参加する子どもたちの心情の描写はあるものの、その「変化」に関する明確な記述はないため、②が誤っていると判断できます。

【問7】
(ⅰ)については、まず空欄直前の教師のセリフを参考に、空欄を含む生徒Mの発言が「『枠』を使って考える」ことに関するものであることをおさえましょう。その上で、「枠」と本文中の「内面の輪郭」「縁」が同義であると理解できれば①、②は排除できます。その後は本文60~62行目をもとに考えましょう。
(ⅱ)は、空欄に入る文言が次行の「様々な役に~離れている」と同義のものになることをおさえられるかがカギです。また、最後の教師のセリフも解答の方向性を考えるうえでのヒントになります。本文、資料の正確な読解とともに、会話文の流れを丁寧に追うことも求められていたといえます。
問題の形式に惑わされず、きちんと本文に根拠を求めながら選択肢を吟味しましょう。

第3問【古文】

第3問は、江戸期の作品からの出題でした。
本文内容は、主人公が、桂の院へ赴く途中で、雪景色に魅了されるといった場面が描かれています。本文自体は、やや読みにくい箇所があるものの、基本的には難解な語句は少なく、大意をおさえることは難しくなかったかと思います。また設問も、単語と文法の基本的な知識をもとに構成されており、古文の実力がしっかり測れる試験だったのではないかと思います。

【問1】(ア)~(ウ)は全て基本単語の知識を問う問題でした。文脈のヒントを必要とするまでもなく正答を選べたことでしょう。

【問2】助詞・助動詞・敬語とった幅広い文法知識に加え、本文の表現内容としての妥当性まで考慮しなければならない、やや難度の高い問題です。選択肢をひとつずつ吟味する必要があります。

【問3】和歌解釈の問題は、まず、どんな場面で、誰が、誰に、詠んだものなのかをおさえるようにしましょう。また今回は、去年に引き続き掛詞の知識を問われているため、修辞法の知識もしっかり身に着けておく必要があります。選択肢③がやや紛らわしいですが、「源少将が待つ桂の院」が間違いです。源少将は、主人公が桂の院へ出掛ける際に連れていってもらえず、恨み嘆いているのです(和歌X)

【問4】本文の解説文を読んで空欄を埋める形式の問題でした。このような空欄補充の問題では、文章をよく読み、何を問われているのかをしっかり把握しながら解くようにしましょう。
(ⅰ)は11行目の和歌の後半「雪の光もよに似ざりけり」の解釈として正しいものを選ぶ問題です。
「よ(世)に似ず」は慣用表現で、「世間に類がない、この上なく素晴らしい」という意味です。
(ⅱ)は20~23行目の情景描写の解釈として正しいものを選びます。
「さばかり~晴れわたりて」について、一面に曇っていた空が「なごりなく晴れわたりて」と述べられています。「なごりなし(名残無し)」は「後に残るところがない」という意味なので、雲が「なくなる」「消え去る」と解釈することができます。
また、「のぶ」は「のばす」、「~わたる」は「一面に~する」の意味で、「白銀うちのべたらむがごとくきらめきわたりて」の部分は「(銀をたたき延ばしたように)あたり一面が銀色に輝いている」と解釈できます。
(ⅲ)は解説文を読んで23~26行目の表現から主人公の人物像を考える問題でした。
空欄Ⅲの前の文では、『源氏物語』にある、光源氏が奏でた素晴らしい琴の音を聞いて浮かれ歩いた人々が風邪をひくという場面を意識して本文を読むように指示されています。また、空欄Ⅲの後の段落も踏まえると、この場面では院の預かりや人々の浮かれた振る舞いと対照的な、主人公の風雅さが描かれていると考えられます。
さらに26行目の「ここもなほ見過ぐしがたうて」からは、院に近づいてそわそわする人々とは対照的に、道すがら風景を楽しみながら桂の院に向かってきた主人公が、「ここの景色も見過ごせない」と景色を味わおうとする、という主人公の風流心を読み取ることができます。

第4問【漢文】

唐の杜牧の漢詩「華清宮」と、それに関連する資料(注釈)が出題されました。古典作品を古今の様々な注釈を手がかりにしながら解釈するというのは文献講読の基本的な手続きであり、大学での学びを意識した出題であるといえます。
漢詩と資料、選択肢を照合する手間はあるものの、前半の知識問題の多さに鑑みると難易度としては「やや易」といえるでしょう。

【問1】
漢詩の形式に関する設問です。今回の「華清宮」は近体詩であり、七言絶句です。五言詩は「偶数句末」で押韻、七言詩は「初句と偶数句末」で押韻するという規則があります。本文を見てみると「堆・開・来」が「アイ」で押韻していることが分かります。漢詩の形式を学習していれば難なく解答できる設問でした。

【問2】
(ア)は「百姓」の意味を問う設問でした。現代日本語では「ひゃくしょう」と読み、農業従事者を意味する用法が最も一般的ですが、漢文では「ひゃくせい」と読み、「人民、民衆」の意味で用いられます。本文の文脈に関係なく、知識のみで答えを選ぶ設問でした。
(イ)は「人口に膾炙す」の意味を問う設問でした。こちらは現代日本語でも「誰もが口にし、広く世間に認められてもてはやされること」を意味する慣用句として用いられます。漢文の語彙力というよりは、日本語の語彙力が試される設問かもしれません。
(ウ)は「因」の意味を問う設問でした。「因」には「よりて」「ちなみに」などの読みがありますが、今回の選択肢の中では「よりて」の訳である「そのために」しか当てはまるものがありません。念のため、それで意味が通じるか文脈を確認する必要はありますが、こちらもほとんど知識問題といってよいでしょう。

【問3】
傍線を付された白文について、返り点の付け方と書き下し文の組合せとして適当なものを選ぶ設問です。例年出題されている定番問題の一つです。今回の傍線部については後半の「有所不顧」の書き下し方で正解を特定できます。「有」・「所」・「不」はいずれも下から返って読む、いわゆる「返読文字」です。したがって、「顧みざる所有り」という読み方となります。この読み方をしている選択肢は一つしかありません。

【問4】
「資料Ⅰ」からは「楊貴妃はライチが好物であった。ライチは産地から都まで馬に載せて七日七夜で運ばせたために、人馬が多く死に、民衆は苦しんだ」ということが読み取れます。「資料Ⅱ」からは「玄宗はライチで楊貴妃を喜ばせたが、人力窮まって人命が絶え、それを顧みることはなかった」ということが読み取れます。これらを組み合わせた選択肢が正解となります。正確に読解ができたかどうかがカギとなる設問です。

【問5】
「資料Ⅲ」には「玄宗は6月(旧暦)には華清宮にいたことがないが、ライチは盛暑に熟す」と書いてあります。これは漢詩の内容に矛盾があることを指摘する注釈です。一方、「資料Ⅳ」は楊貴妃が天宝14年6月に驪山(にある華清宮)にいたことを示す記事で、これによって「資料Ⅲ」の指摘する矛盾が解消されるかもしれません。したがって、こちらも資料が正確に読解できていれば、選択肢の「一致」「不一致」、「補足」「反論」の部分にのみ着目して正解にたどり着ける設問です。

【問6】
漢詩の「鑑賞」として適当なものを選ぶ設問です。選択肢の文が長いため、惑わされてしまう方も多いかもしれませんが、選択肢後半の「鑑賞」の内容よりも、前半の漢詩の「内容」を説明している部分に着目するのがコツです。誤答の選択肢には、「内容」の説明部分に多かれ少なかれ誤りが含まれています。冷静にそれを見抜くことができたかどうかが、カギになるでしょう。


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