見守ることが私のエール
本稿はコンテスト「コロナに負けるな!夢に向かって勉強や部活に頑張る中高生へのエール」のお手本投稿になります。投稿の際のご参考にしていただければ幸いです。
コロナ禍でたくさんの「我慢」を強いられていますね。私たち親でもストレスなのだから,多感な10代の中高生には相当堪えるものだろうと思います。最初の緊急事態宣言のときにちょうど高校を卒業した息子は,ふだんは口数の少ない子でした。先日晩御飯の時に,政治家の記者会見がテレビで流れてきました。すると,「自分のときは卒業式も入学式もなくなったのに,どうして…」とポロリ。録画したバスケの試合を夜遅くまで没頭するほどスポーツ観戦が好きだった子が,メダルラッシュで歓喜に沸くはずのオリンピック中継を,ただぼうっと眺めるだけ。寂しそうな背中をみせて大学のオンライン講義に参加する息子に,私は何もしてあげられない。日々もどかしさを感じています。
いま高3生で大学受験を控える娘がいます。コロナ禍で部活や学校行事が制限されるのは悲しいけれど,夢に向かって“雑音”が少なくていいんだ!と前向きで,リビングで勉強に励む娘を見ていると,私のほうが勇気づけられています。娘の夢は「スポーツドクター」になること。もともとバスケットボールにきょうだいで夢中になっていたのだけど,娘は高校1年生の時に膝を痛めてしまって… しばらくは声もかけられないほど落ち込んでいたわが子を支えてくれた存在がいました。先生たちです。学校の先生でも塾の先生でもありません。娘のリハビリで付き添ってくれた「先生たち」です。
先生たちとかかわるなかで,娘のあたらしい夢ができたようです。「自分は思い切りプレーできなくなったけど,スポーツドクターになって大好きなバスケとかかわり続けたい」と一念発起。これまで勉強はどちらかというと苦手だった子ですが,いまは医学部をめざして猛勉強中。先日返却された模試の判定はEばかり。焦る親を尻目に娘はマイペースでどんどん勉強をしています。「医学部でなくてもいいのでは?」「作業療法士とか看護師とか,違う形でバスケに携われるのでは?」とあれこれ思うけれど,あえて何も言わないことにしました。娘に「こうしなさい,ああしなさい」と言ってはダメだと,先日塾での面談で先生に言われたことを思い出して,ずっと我慢しています。
「そろそろ寝なさいよ」と声をかけようと思ったら,コロナ禍で覇気がなくなってしまった兄が娘の勉強に付き合っていたんです。同じ医学の道を志す者どうし,なにか通じ合うものがあるのでしょうか。一緒にバスケットボールに夢中になっていた仲良しきょうだいの姿が,たしかにそこにありました。二人に声をかけずに私は先に休むことに… とても幸せな気持ちでその晩はぐっすり眠れました。
言いたいことをぐっと我慢して子供たちの姿を見守ること。コロナ禍で我慢しなくてはならないことが増えたけれど,子供の成長を願う我慢ならいくらでも堪えられます。我慢すること,じっと待つこと,これが子供たちへの,私のエールです。