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令和4年度 大学入学共通テスト徹底分析

2022年度の志願者数は
2018年度から4年連続の減少

共通テスト2年目となる2022年度の志願者数は53万367人と昨年度よりも4878人減少し、4年前の2018年度と比較すると約5万2000人の減となりました。高等学校等新規卒業見込者(以下現役生)総数がセンター試験開始以降、初めて100万人を割り、2018年度よりも約6万5000人減少したことが主な要因です。昨年度と比較しても現役生は約2万人減少しており、今後も18歳人口の減少に伴い、長期的には出願者数は漸減していくと考えられます。

現役志願率、現役占有率は
センター試験時代も含め過去最高

共通テスト志願者のうち、現役生は昨年度より426人の減少にとどまりほぼ横ばいで、現役志願率(2022年3月卒業見込みの現役生のうち共通テストに出願した者の割合)は45・1%と、センター試験時代も含めて過去最高となりました。また、共通テスト志願者全体に占める現役生の占有率も84・7%と過去最高を記録した一方、昨年度、対前年比80・7%と大幅に減少した高等学校等卒業者(浪人生)は、今年度も4222人(5・2%)の減で、占有率も14・5%と過去最低の数字となっています。
 現役志願率が上昇した一因としては、昨年度に続いて、いわゆるコロナ禍によって大学が個別試験を行わず、共通テストを利用して選抜を実施する可能性を受験生が見越したことが考えられます。また、共通テスト初年度であった昨年度、センター試験と比較して、事前の予想のような難化が見られなかったことも現役生の出願を後押ししたと考えられます。

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共通テストを利用する大学等の
総数は864大学

2022年度の共通テストを利用する大学等は総数864大学で、過去最多を記録した昨年度の866大学から2大学の減少ですが、減っているのは短期大学のみです。
 国立大学・公立大学は全大学が利用しますが、公立大学に関しては、川崎市立看護大学(神奈川)の新設、大阪公立大学(大阪)への統合による大阪市立大学、大阪府立大学の廃止、昨年4月開学の三条市立大学(新潟)、叡啓大学(広島)の今年度からの利用により、昨年度の91大学から2大学増加して93大学となります。なお、私立大学は昨年度と同数の533大学で、全体の約9割が一部あるいは全学部で利用します。

本試験は1月15日(土)・16日(日)、
追・再試験は2週間後に実施

去る2022年1月15日(土)・16日(日)に、2年目となる共通テストが実施されました。昨年度はコロナ禍の影響により本試験を2日程で実施しましたが、今年度は1日程と、一昨年度までのセンター試験と同じ形に戻りました。一方、追・再試験は、本試験の1週間後から2週間後に遅らせての実施とし、新型コロナウイルス感染症対策を踏まえた日程となっています。
 なお、大学への成績提供日程についても、追・再試験が本試験の2週間後に設定されたことによって2月7日(月)以降と改められたため、一部の大学では要項記載の合格発表日を訂正するなどの対応が見られました。
 昨年に引き続き、新型コロナウイルス感染症対策として厳密な体調管理やマスク着用が義務付けられた一方、オミクロン株の急拡大、また東京大学前での事件や津波の影響で共通テストを受験できなかった受験生への対応などに追われる異例の実施となりました。

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生物、日本史B、倫理で大幅に難化
したものの得点調整は実施せず

共通テスト本試験の科目別平均点は例年3段階で公表されます。
①中間集計(本試験後最初の水曜日)
 受験者の約半数の集計
②中間集計その2(①の2日後)
 受験者のほぼ全員の集計および得点調整実施の有無を公表
③最終発表(2月)
 平均点の確定値ほか科目ごとの受験者数など
 昨年度、平均点が70%を超えて得点調整実施の一因となった倫理と生物、また日本史B、化学が今年度大幅に難化したものの、地歴、公民、理科②において平均点差が20%を超えるケースはなく、得点調整は実施されませんでした。

数学ⅠA・ⅡBをはじめ、
難化の科目が目立つ

 共通テスト元年の2021年度には事前に予想されていたような難化は見られず、むしろ前年度よりも平均点が上昇した科目が目立ちました。今年度は一転して多くの科目が難化し、数学ⅠA・ⅡBは合わせて約37点と大きく平均点を下げ、特に数学ⅠAはセンター試験開始以降最低の平均点となりました。また選択者が多い日本史B、化学も約10点下がるなど低下が目立ちます。国立文系型5教科8科目(英、数、国、日本史B、倫理・政経、化学基礎、生物基礎)、国立理系型5教科7科目(英、数、国、地理B、物理、化学)各900点満点の平均点を昨年度と単純比較してみると、2021年度は、文系が約537点、理系が約530点であるのに対し、今年度は文系が約487点、理系が約480点といずれも約50点、5.6%の大きなマイナスとなりました。
 各々の選択科目などにより異なるため、極めて大雑把な比較ではありますが、今回の共通テストで思うような得点が取れず、志望校の変更を考えた受験生が少なくなかったと思われます。しかし、受験生の得点分布が全体的に下がっていると考えられますので、充分に情報収集したうえで国公立大2次試験等への出願を検討することが重要になりました。

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重要度を増す共通テスト

共通テストの難易度が今回並みのレベルで定着した場合、センター試験以上に対策が重要になるでしょう。総合得点に影響するだけでなく、第1段階選抜で思わぬ不合格となってしまうリスクが高くなることも考えられます。
 これまでであれば、特に国公立難関大志望者の多くが、2次試験にウエイトを置いた入試対策をしてきたと思いますが、今後は志望校の配点等の傾向に応じてバランス良く対策することも必要となりそうです。

この記事は2022年2月21日に刊行された『Y-SAPIX JOURNAL』2022年3・4月号に掲載された記事のWeb版です。

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