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大学入学共通テスト インシデントレポート ―先人たちから学ぶ、受験時に気を付けること

いよいよ大学入学共通テストが迫ってきました。受験生の皆さん、準備はいかがでしょうか。試験の内容についてはもちろんですが、それ以外の準備も大切です。今回はそんな試験内容以外のところで不意打ちを喰らってしまった先人たちの事例と対処法をご紹介します。同じ轍を踏まないよう、役立ててください。

※インシデントレポート
主に医療現場で使われる、事故につながりかねないような出来事(インシデント)に関する報告書のこと。事例を分析し、類似するインシデントの再発や、事故・過誤の発生を未然に防止することを目的として作成される。

昨日なに食べた?

験担ぎで前日の夕飯にカツを食べたら胃がもたれて眠れず、当日寝不足で思った力が出せなかった。(職員)
試験のために宿泊したホテルでの食事が合わず、体調を崩してしまった。(インストラクター)
気合を入れて朝ごはんを多めに食べたら、会場に向かう途中で腹痛に……。(インストラクター)

カツは悪くありません。受験前日、当日だからといって特別なことはせず、普段どおりに過ごしましょう。普段の生活リズムを大切に。

受験当日にひどい腹痛で、さらに家の常備薬もちょうど切らしていたため、両親に薬を買いに走ってもらったりして受験当日の朝からとても慌ただしいことに。(職員)
試験当日に体調を崩してしまった。(卒業生)

常備薬はある程度ストックを置いておきましょう。また、今年は特に体調に関しては敏感になっておくべきです。体調不良の場合は『受験上の注意』の健康状態チェックリストを確認し、無理をして受験をせず、追試験の受験を申請しましょう。(『受験上の注意』P.4)

こういう日に限って!

試験当日に電車が遅延した!結局遅刻して心臓に悪かった。(職員)

焦らず慌てず、受験票に記載されている「問い合わせ大学」へ連絡し、試験場へ向かいましょう。事件事故や災害といったトラブルで遅れてしまいそうな場合は、対応してもらえます。(『受験上の注意』P.10)

むしろ焦って事故に遭わないように落ち着いて試験場へ向かいましょう。無事にたどり着くことが大切です。

遠方のキャンバスで、駅からのバスで車酔いした。(卒業生)

自分の体質を知っておくことも大切です。車酔いをしやすいのか、酔った場合はどうするのか、把握しておきましょう。

人の流れに身を任せ

法政大学で受験しようとして周りの人と駅から歩いたら、東京理科大学に着いていた。(卒業生)
友達についていったら、自分とは会場が別だった。(インストラクター)

自身の受験会場をしっかり確認しておきましょう。他人任せにしてはいけません。可能なら試験場までの道順を確認しておきましょう。

前日に時間も合わせて試験場へのルートをたどって、準備は万端!そう思っていた当日、時間通りに電車が来ない。よくよく考えてみると試験当日は土日ダイヤだった!(卒業生)

公共交通機関の運行状況には注意しましょう。土日は平日のダイヤと異なる場合があります。また、共通テストの日には臨時のダイヤがある場合もあります。利用する交通機関の情報は事前に確認しておきましょう。

試験場に早く着き過ぎて開場していなかったため、凍えてしまいそうになった。(インストラクター)

時間には余裕をもって試験場に到着しましょう。しかし、早く着き過ぎても問題です。冬場ですから、早く着き過ぎた場合に試験場近くで寒さをしのげる場所があるかも確認しておくと良いでしょう。

お手洗いすぐ混む

試験場で女子トイレが少なく大変だった。(インストラクター)
男子トイレの行列を初めて見ました。(卒業生)
トイレに行きたかったが、休み時間にトイレがいっぱいでトイレに行けなかった。(職員)
トイレがとても混んでいて、ノートなどなにも持たずにただ並んでいるのはとても不安になった。(インストラクター)

多くの意見が寄せられた話題の一つがこのトイレの問題です。覚悟しておきましょう。トイレは混みます。混まなければラッキーという意識でいきましょう。

試験場に到着したら、事前にトイレの場所を確認しておくことも大切です。

また、試験時間中にトイレに行かせてもらうことも可能です。手を挙げて監督者に知らせた上で指示に従いましょう。(『受験上の注意』P.13)

寒いだろうと思って厚着をして貼るカイロを付けていったら、会場の暖房がガンガン効いていてとんでもなく暑かった。(卒業生)
暖房が効いている会場だと聞いていたのでやや薄手の格好をしていったら、思っていたよりも寒かった。(卒業生)

体温調整しやすい服装をしていきましょう。試験場や席の場所によって暑かったり寒かったりします。

英字ロゴのついた服を着ていったせいで裏返しに着せられるはめに(インストラクター)

服に答えを書くというのは科挙の時代からある手法ですが、当然現代でもカンニング扱いされます。当日の服装にはこのあたりも気を付けましょう。今年はマスクにも注意が必要です。

汝の隣人を愛せよ

英語のリスニングは周りの人の音漏れが想像以上にうるさかった。(インストラクター)
当日リラックスのためにユーカリのオイルか何かを部屋に持ち込んだ人がいたらしく、教室にその香りが充満していた。(インストラクター)
前の席の椅子と自分の机がつながっているタイプのもので、前の席の人の貧乏ゆすりが激しく全く集中できなかった。(インストラクター)

多くの場合試験当日は自分だけではなく、周りにも人がいる状態で試験を受けます。必ずしも自分に理想的な状態で受験できるとは限りません。互いに配慮しつつ、自身のパフォーマンスを保てるようにしましょう。ただし、自分ではどうしようもない場合には監督者に知らせましょう。

別に君を解く気はないけど

数学ⅠAを解くつもりが数学Ⅰを解いてしまって大焦り。幸い問題が被っていたのでなんとか間に合った。(インストラクター)

毎年口を酸っぱくして「同じ冊子に『数学Ⅰ』と『数学Ⅰ・数学A』が記載されていて、『数学Ⅰ』が先に載っているから『数学Ⅰ・数学A』で受験する人は解き間違えないように」と注意喚起をするものの、この悲劇をゼロにはできません。

根本的な解決が図れない以上、受験生の皆さんには気を付けましょうとしか言えません。

……むしろ言い過ぎて刷り込まれてしまっているのでしょうか。

前年までに比べて問題数が増えていたことに気が付かず、普段通りの時間配分で問題を解いてしまい、大問一つ全く解かずに試験が終わってしまった。(インストラクター)
昨年と問題数が異なり、最終ページがあることに気づかず、終盤に慌てて解くはめになった。(卒業生)

初の共通テストということで、今年はまだ油断は少ないかと思います。しかし、最初に冊子を開く段階で、落丁・乱丁の確認ついでに全体を見ておきましょう。

成績開示するとまさかの0点!解答科目欄を記入ミスしたらしい……。(卒業生)

解答科目欄にミスがあると取り返しがつきません。今年は大学入試センターからも繰り返し注意が出ています(「解答科目欄の不適切なマーク例」)。

受験票に記載された科目を、例に則って適切にマークしましょう。

休憩時間中に終わった試験の話をしていて、自分ができなかった問題を友人ができていることが分かり、気持ちが萎えてしまった。(職員)
1日目終了後に速報を見て採点し、点数が良かった。そうしたら2日目は気が抜けてボロボロに……。(インストラクター)

過去を振り返るのは止めましょう。少なくとも試験の途中は。終わった試験のことよりも先のことを考えましょう。今年は休憩中の会話は推奨されませんが、メールやテキストメッセージでも話題に出すのはすべてが終わった後にしましょう。

どの選択肢にマークをしたか記録しておくことを忘れて、自己採点するときに記憶頼りで難儀する羽目に。(インストラクター)

これは大学入試センターからは注意してくれません。後で自己採点を行う際に必要になりますので、必ず自分がなんと回答したか分かるようにメモしておきましょう。

帰るまでが試験です

1日目終了後、帰ろうと思ったらバスに乗り切れないほどの大混雑!まだ次の日があるのにいらぬ体力を使ってしまった。(職員)

交通機関の行きが混むのであれば、当然帰りも混みます。特に2日目も受験する人は時間をずらすなど、うまく調整しましょう。

最後に

コロナ禍という前例のない事態の中で、今回が初回となる大学入学共通テストを受験することは、受験生の皆さんには大きなプレッシャーになっているかと思います。

そのプレッシャーを少しでも軽くするにはやはり事前の準備が大切です。

ここまで度々ご紹介した通り、大学入試センターが『受験上の注意』や公式サイトでトラブル時の対応を記載しています。当日何かがあった時に慌てず対処するためにも必ず読んでおきましょう。

特に、今年度は新型コロナウイルス感染症感染予防対策が必要になってきます。

大学入試センター、各試験場といった関係各所は、コロナ禍においても受験生の皆さんが成果を発揮できるよう準備を整えています。

そして感染を最大限防止するためにはそれだけでは足らず、受験生の皆さん本人やご家族の皆さんの協力も必要です。

上記の『受験上の注意』に加え、文部科学省と厚生労働省から発表されている「受験生のみなさんへ~新型コロナウイルス感染防止のための注意事項~」に記載されている事項をよく読み、手洗い、うがい、マスクをする、三密を避けるなどの基本的な感染症対策を徹底しながら体調管理に努めていきましょう。

しかし、それでも体調を崩してしまった場合は、無理をせず追試験に申し込みましょう。

受験生の皆さんが自身の成果を発揮できるよう、幸運を祈っています。


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