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2023年度 慶應義塾大学(法・商・環境情報)・国語

法学部

・テーマ

「権力と資源の集中と偏在に対するインターネットとコンピュータの有効性」

・課題文

鈴木健『なめらかな社会とその敵』(勁草書房、2013年)

・課題文要旨

人間には認知能力に限界があるため、複雑な世界を複雑なまま理解することができない。しかしインターネットやコンピュータはその能力を増大させる可能性を秘めている。現実には資源の囲い込みに代表される「膜」の現象と、中央集権化という「核」の現象が生じているインターネットとコンピュータを用いて、これらの問題に対応することができないだろうか。

・設問

四〇〇字程度の要約作成・課題文に即した意見論述

・総評

字数は例年通り。文章の難易度も例年通り高いが、テーマ的にも内容的にも比較的読みやすい。書く際には「現代政治上の弊害」を具体的に説明しなければならず、さらに「新しい情報技術に」よる「解決策」を述べなければならないところが難しい。


商学部(論文テスト)

・課題文

第1問:江間有沙「鏡としての人工知能」(白水社、2020年)
第2問:出典明記なし。オリジナルの文章?

・課題文要旨

第1問:テーマは人工知能。自己学習モデルによって新しいサービスが可能となるが、そこには責任問題が発生するため、社会全体のあり方を含めて包括的なルール作りを目指さなければならない。
第2問:アルゴリズムについての説明

・総評

第1問は人工知能に関する問題。文章の論旨はとりやすく、設問はオーソドックスな国語力で解けるものが多い。第2問は数的処理の問題。文章の内容は数字をソートするアルゴリズムの説明。解答するためには説明に即して実際に計算をしなければならない。プログラミング教育を意識した出題と見ることもできる。


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環境情報学部

・課題文

文献1:土井善晴、中島岳志『料理と利他』(ミシマ社、2020年)
文献2:鷲田清一『生きながらえる術』(講談社、2019年)
文献3:穂村弘『はじめての短歌』(河出書房新社、2016年)
文献4:中谷宇吉郎『科学の方法』(岩波書店、第75刷2019年)
文献5:内田義彦『生きること学ぶこと』(藤原書店、2013年)
文献6:三宅洋一郎『人工知能が「生命」になるとき』(株式会社PLANETS/第二次惑星開発委員会、2020年)

・設問

問1 文献1と2に通底することを論じてください(150字以内)。
問2 文献1と3に通底することを論じてください(200字以内)。
問3 文献4のいう定性的研究の重要さを、文献3の著者の主張と関係づけて論じてください(250字以内)。
問4 文献2と5に通底することを論じてください(150字以内)。
問5 文献5が論じる「生きることに向きあうための学問的態度」は、文献4の主張する定性的研究のやり方にも相通じるものがあります。それについて論じてください(250字以内)。
問6
(設問の要旨)
Aさん:建築を専門とする大学院生。
Bさん:文献1~3に感銘を受けて、周りに農家や自然山林のある東京郊外に家を建てた。Bさんは小説家で、妻は彫刻家。
(設問a)この新しい土地で、Bさん夫妻の住まいかた・暮らしかたはどのようなものになりつつある、あるいはこれからなっていくとあなたは考えますか?できるだけ具体的に記述してください(300字以内)。
(設問b)(Aさんは、Bさん夫妻の暮らし方がどう変化していくのかを調査する了承を得た。ただ、どのような暮らし方になるかを想像して、それをもとに研究方法を決めるわけにもいかない。)Aさんがどのような工夫を盛り込んだ研究方法を考案するであろうとあなたは考えますか?できるだけ具体的に記述してください(500字以内)。

・総評

試験時間120分、配点200点。文献1~6は、15ページにわたって書かれている。表面的にはテーマ・内容がばらばらで取り組みにくい。時代的にも、文章の硬度についてもふれ幅が大きい。記述の字数は合計1800字であり多い。複数文章を比較する力、読み取ったことをまとめる記述力、正解のない問題を解く独創性など、多面的な国語力が高度なレベルで求められる。他学部の小論文とは一線を画すものである。


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