世界史こぼれ話#7/大洪水 神の恵みか懲罰か
毎年3月22日は、国際連合が定めた「世界水の日」です。
この日は、水の大切さ・綺麗で安全な水を使えるようにすることの重要性について,民族・国家の枠を超えて世界中の人々が考えるための日です。
水は人間が生きていく上で欠かせない資源です。
日常生活では飲用・風呂・洗濯・排水など用途を挙げればキリがありませんね。
一方で、水は人々の命を奪う脅威にもなります。
その一例が大河の洪水です。
今回はそんな「世界水の日」に因み、大河の洪水にまつわる歴史を学んでいきましょう!
⬛︎神代の大洪水
洪水伝説は世界各地にありますが、世界史上最も古い記録とされているのは、メソポタミアの『ギルガメッシュ叙事詩』です。
この話では、ウルクの王ギルガメッシュに対して、とある不死の聖王が「(自分は)あの大昔の天地を覆う大洪水から船で逃れた生き残りです」と打ち明けるシーンがあります。
また、ギルガメッシュの洪水伝説から影響を受けたとされるのが、旧約聖書の「創世記」で有名なノアの方舟という話です。
この話では、神が正直者のノアとその家族を方舟に乗せて助ける一方、それ以外の人類を洪水によって滅亡させます。
天地を覆う大洪水は、神の懲罰だったのです。
ちなみに古代ギリシア、インドのヒンドゥー教、黄河文明の中国でも洪水伝説が語られています。
⬛︎ファラオの治水事業
このように、多くの人々が犠牲になるほどの大河の洪水ですが、逆にこれを予知できる存在がいたら、人々はどのように思うでしょうか?
古代エジプトでは、国家の為政者(王・ファラオ)が河川の氾濫を予知することができました。
それが天体観測(のちの天文学)です。
オリオン座と恒星シリウス、そして太陽の位置関係が一定になる時期に、必ず雨が降り,ナイル川が増水するー。
これがエジプトのナイル川が定期的に氾濫する理由です。
そして,この氾濫が肥沃な土壌を生成し、持続的な農業発展が可能にしました。「エジプトはナイルの賜」と古代の歴史家ヘロドトスは評価しています。
大きな河川の水を人工的に用いる農法を灌漑農業といい、都市国家成立期における世界各地で確認されています。
今年の東大第2問は「水」をテーマとしており,問⑶ではナイル川の定期的な氾濫がもたらした農業(灌漑農業)について,2行以内(60字程度)で説明する問題が出題されました。
東大世界史では重箱の隅を突くような細かい事項は問われません。
むしろ、灌漑農業にクローズアップすれば、これは中学社会でも学ぶ範囲です。基礎事項をしっかりと学び、定着させておきたいですね!
東大世界史についてもっと知りたいという方は、下記の動画をご参照ください!
今回のこぼれ話はここまで。
少しでも参考になったという方は、下部のスキボタン(「♡」)をポチっとお願いします!
次回も是非お楽しみに。それではまた!
■40年分の東大世界史大論述をまとめてみた!(※1.5倍速推奨)
■東大・京大・医学部など難関大への現役合格を目指そう!