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【大学受験】オンライン校舎の2020年を振り返る―開校して分かった対面校舎と「変わったこと」と「変わらないこと」

※名称変更のお知らせ
2023年11月1日(水)より、オンライン専用校舎「iClass mySpace校」は「オンライン校」に変更となりました。これに伴いまして、Y-SAPIXのオンライン授業サービスの内容に一切の変更はございません。

2020年の新型コロナウイルスの流行は、学校教育にも大きな変化を強いました。3月から5月にかけて学校は休校となり、中高生の皆さんや保護者の方は、登校せずに勉強をする方法を探すことになりました。学校としても試行錯誤を重ね、郵送でプリントなどを送付する、収録した授業を視聴してもらう、オンラインでやり取りをするなど、それぞれの状況に合わせた可能な限りの対応がされていたと思います。

一方で、塾であるY-SAPIXは2016年からオンライン授業”iClass”を提供しており、今年3月からはオンライン受講生専用校舎”iClass mySpace校”(以下、mySpace校)を開校しました。

コロナ禍でオンライン授業のニーズが高まる中、オンライン授業を提供するmySpace校の様子はどうだったのでしょうか。mySpace校の職員に話を聞きながら振り返ってみました。

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コロナ禍でオンライン授業への意識が変わってきた

―まずは"iClass"とはどのようなものなのか皆様にご説明をお願いします

職員A “iClass”は双方向型のオンライン授業システムです。オンデマンドの映像配信授業や1対1の個別指導でもなく、講師1人に生徒複数の双方向対話型授業であるということが特徴です。Y-SAPIXの授業をそのままオンラインで行なっているというイメージです。

職員B 実は2016年に開始しているんですよね。今回のコロナ禍で始めたわけではありません。当時からサービス名やシステムは変化していますが、Y-SAPIXの授業をライブでオンライン提供するということは変わっていません。

―オンライン受講生専用の校舎としてこの”iClass mySpace校”が今年3月に開校しましたが、当時の様子はいかがでしたか

職員A Y-SAPIXでは毎年3月頃はお問い合わせが多い時期なのですが、コロナ禍の影響もあってか、やはりお問い合わせの数は非常に多かったです。

―オンライン授業に対する認識の変化は感じましたか?

職員B 今まではiClassのお問い合わせをいただいても、対面校舎と比較しつつというのが前提で、「やっぱり対面受講が良いです」と対面授業へ希望を変える方も少なくありませんでしたが、今年はオンライン受講を希望する方がほとんどでした。それが今回のコロナ禍を契機にしてオンラインで受講することに抵抗が少なくなったのかなと感じます。

職員A お問い合わせの内容も徐々に変わっていったように思います。4月ごろまでは「外に出たくないのでオンラインで受けたい」という方が多かったですが、その後には単純に「自宅でのオンライン受講を検討しています」という前向きなお問い合わせが多くなりました。オンラインで受講するということも一定の地位を得つつあるようにも思いますね。

―オンラインで受講した生徒の皆さんの反応はどのようなものだったでしょうか

職員A オンライン受講での抵抗は感じてはいないようです。端末の操作にてこずっている様子もなく、すんなりと接続して、授業を受けてという流れに乗れているようです。

―2016年に始まった頃は割と手間取っている生徒の方もいたように思います

職員B そうですね。しばらく前に新しいシステムになってからそういったトラブルも減りました。それに、学校でも同じシステムを使うようになったことも大きいです。オンラインのシステムを使って授業を受けるということが日常化しているのでしょうね。

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オンラインでの質問応対をどうするかという問題

―対面授業を行なっている校舎に比べると、生徒の皆さんが授業外で質問できる機会が少なくなってしまうと思うのですが

職員A はい。その課題がありました。特に5月は対面授業の校舎でもiClassで授業を行なっていたので顕著でした。そこで、授業で使っているシステムを応用して「オンライン質問教室」というサービスを全校舎で運用することにしました。塾や学校で質問ができなくなってしまい困っていた生徒さんも多かったようで、たくさんご活用いただきました。

―現在は「オンライン質問教室」からサービスが変わりましたよね?

職員B 「オンライン自習室」というものを設けています。こちらも同じシステムを使ってmySpace校と自宅を繋ぐことで、疑似的な自習室を再現しています。また、mySpace校側では対面校舎のように現役大学生のインストラクターが待機しており、彼らに質問することもできます

インストラクター
難関大学に通う現役大学生。Y-SAPIXの各校舎に在籍している。採用の際には一定基準の試験が課され、合格後にも生徒の指導に携わるための研修が徹底されている。

―どのように変わったのでしょうか?

職員A 「オンライン質問教室」は質問の受付がメインでしたが、「オンライン自習室」は「勉強するための場」を自宅に作ることを目的としています。勉強するときは自宅ではなくて学校や図書館でやるという人もいるでしょう。Y-SAPIXの各校舎にも自習室があり、利用する生徒さんが非常に多いです。場所を移すことで「勉強するぞ!」という意識に切り替わるのですね。

そのため、このオンライン自習室に繋ぐことで、生徒さんが自宅で自習していても、自習室にいるように「今は勉強する時間だ」と意識して、適度に緊張感を持ちながら勉強できるようにすることを目指しています。

―オンライン自習室で勉強する際、インストラクターに質問する生徒さんは多いですか?

職員B 多いですね。例えば今のような学校の定期テストの時期になると、テスト前に分からない部分を質問に来る生徒さんが多いです。他にもインストラクターの通う大学の様子について聞きたいという質問もありますね。

―個別学習指導ジムの利用状況はどうですか

職員A 今月も予約がたくさん入っています。やはり分からないところを1対1でじっくり教えてもらいたいという需要がありますね。現在のようにテスト前の復習に使う方もいますし、苦手な分野について定期的に指導を受けるという方もいます。期に60分の無料枠があるので、それをうまく使ってくれているようです。

個別学習指導ジム
インストラクターが1対1の個別指導を行うオプションサービス。扱う内容はY-SAPIXの授業のフォロー、苦手分野の克服、定期テスト対策など対応できる範囲で自由に設定可能。

期に60分の無料枠
Y-SAPIXは月ではなく期という単位で授業や授業料を設定している。詳細を知りたい方は公式サイトを参照。

―Y-SAPIXでは答案の添削指導も大切と考えていますが、オンラインでも行なっているのでしょうか?

職員A もちろん行なっています。mySpace校ではメールを使用して生徒さんとのやり取りをしています。

―どのような科目の添削指導が多いですか

職員B たとえば高3生の数学では、秋から演習を中心とした「テストゼミ」という授業形式をとっています。生徒さんには授業前に問題を解いてもらい、それを担当講師が添削して、添削内容を基に授業に臨んでもらう形になります。

他にもリベラル読解論述研究の小論文も、授業中に口頭で読んでもらうだけでは精確な添削・評価ができませんので、授業後に送付してもらい、しっかりと添削をしてからお返ししています。

リベラル読解論述研究
Y-SAPIXのオリジナル授業。大体月に1冊のペースで課題書籍を設定し、書籍を読み、授業内でその内容を確認・討論し、最後に小論文にまとめる。読解力、思考力、表現力、論述力といった総合的な力を伸ばすことを目指す。

―誰が添削を行なっているのでしょうか

職員B 基本的には授業の担当講師です。生徒さんそれぞれに的確なアドバイスをするためにも、日々の授業で学習状況を把握している担当講師が添削するのが、最も高い学習効果を発揮できると考えています。

オンラインだからこそ積極的なコミュニケーションを

―質問の機会だけではなく、オンラインでは全体的にコミュニケーションが減ってしまうのではないかという懸念がありますが

職員A はい。そのため意識的にこちらからコミュニケーションを図るように気を配っています。例えば、「面談をしてみませんか」ということをお知らせすると、思ったよりも多くの生徒さんから「話したい」というご連絡をいただきます

―その面談というのはどのような内容なのでしょうか

職員B 授業や学校の勉強で困っていることの相談が主ですね。生徒さん一人ひとりで対応が異なってくるので、状況を聞き取りつつ具体的な勉強法を講師やインストラクターから伝えています。

職員A 他には志望校や選択科目といった進路についての相談です。実のところオンラインというだけで、実際にY-SAPIXの校舎で実施している面談と内容の違いは無いですね。

―保護者の方に対する面談は行いますか?

職員A 6月頃に行いました。その際は希望制で行ったのですが、「面談したい」というご家庭が多く、特にお子さんの授業中の様子について質問される方が多かったです。オンライン受講という見慣れないスタイルですから、お子さんがどのように受講しているのか気になる様子でした。

―他にも「ホームルーム」というものを実施していると聞いています

職員B 毎月1回実施している連絡会のようなものです。参加は任意ですが、最新の入試動向や、それに関連した受験勉強に関する知識、そして各科目の学習方法のアドバイスなどを簡単にお伝えしています。季節講習の案内など、何か事務的なことがあれば一緒に案内したりもします。

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オンライン専用の校舎であること

―オンライン校舎であることの強みなどはありますか

職員B コロナ禍で密を避けるという点はもちろんあります。コロナ禍以前からお伝えしているメリットとしては、時間を効率的に使えることがありますね。オンラインで受講することで、学校から塾に行く時間、塾から家に帰る時間を節約できます。

職員A 夜道を歩くということもありませんね。塾通いをするとどうしても夜遅くになってしまいがちですから、そこは安心な点だと思います。

また、生徒さんや保護者の方から「家から気軽に質問ができるところが良い」というご意見も頂戴しています。家で勉強していて分からない問題があったときでも、オンライン自習室に繋げばインストラクターに質問できますので。

職員B 他にも地理的な制約が無いことも大きいです。普通の塾では北海道と沖縄の学校に通う生徒さんが、同じ授業を受けるということはないですからね。同じ志望校を目指している遠くのライバルと交流できるのは、良い刺激になるでしょう。

Y-SAPIXの授業は一方的に講師の講義を聞くのではなく、講師と生徒さんの皆で作り上げていくものです。地域を超えた交流は多様性を生み、より広い視点での思考力を鍛えていくことができるでしょう。

―オンラインの校舎であることを生徒さんはうまく使えているのでしょうか?

職員A うまく使っている生徒さんは本当によく活用してくれていると思います。学校で部活動をして、帰宅後にオンライン自習室に繋いで、質問があるときは聞いて、個別学習指導ジムも毎月申し込んで、面談で大学受験までの流れを確認して……と、先のことまで考えて活用していただけているようです。

職員B ただ、授業の様子を見ていて不安になる生徒さんもいるのも確かです。そういった方にこそ、積極的なフォローが必要だと感じています。

例えば、理解度を測るため定期的にアチーブメントテストというものを課しているのですが、その際できていなかった箇所について伝え、苦手になる前に克服できるようその生徒に合った方法を提案するということをしています。

―”mySpace校”をより活用できる方法などがありましたら教えてください

職員B 講座を受講しつつ、「何曜日の何時から何時まではオンライン自習室を使って勉強する」と約束しておくことですね。時間を決めておくことでメリハリがつきますし、勉強を習慣付けることができます。受験直前になってから急に勉強の習慣を付けることは難しいですから、早いうちに慣れておくことは大切です。

職員A 勉強だけではなく進路の相談にも活用していただきたいですね。大学入試は高校入試と違って全国規模で考えることになり、選択肢も多岐にわたります。インターネットで情報が手に入りやすくなったとはいえ、各大学が独自に展開している情報を読み解くのは非常に大変です。Y-SAPIXでは全国の大学の情報を集めて分析していますから、より広い視点で生徒さん一人ひとりの志望大学について考えていくことができます。

私たちは勉強を教えるプロです。しかし同時に大学受験のプロでもあるのです。

生徒さんの希望にあった進路に向けて、共に歩んでいければと思います。

―オンラインでもY-SAPIXとして変わらないもの、一方オンラインだからこそできること、それぞれについてお伺いできたと思います。本日はありがとうございました。


■お知らせ

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