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2023年度 一橋大学・世界史

今回は、国立大学のなかでも特に地歴科目が難しいとされる一橋大学の世界史を扱いたいと思います。

〇大まかな出題傾向

その前に、一橋大世界史の特徴について簡単にまとめておきましょう。
構成としては大問が3題、各400字の論述問題が出題されています。
また、大問毎に出題される分野や内容がほぼ固定されています。

以下がその内容です。

第1問 中世ヨーロッパ史(特に中世ドイツ史)
第2問 近世~近現代の欧米史
第3問 近現代の東アジア史

第1問と第2問に難問とされる問題が出されることが多く、
第3問はわりとオーソドックスな問題が出される傾向にあります。

120分という時間内で計1200字を論述するというのはなかなかにハードです。ただ、前述の通りで出題される内容はある程度予想できるので対策は立てやすいと言えるでしょう。


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〇2023年度の出題内容

それでは、2023年度の出題内容をみてみましょう。

第1問 
英仏百年戦争が二国家間の戦争と捉えることが出来ない理由、この戦争がフランスにもたらした変化
第2問 
モザンビークとジンバブエのOAU加盟が遅れた理由
第3問 
ロシアが清を搾取した歴史的経緯とカラハン宣言が中国の社会主義運動に与えた影響

第1問と第3問は例年通りです。
ただ、多くの受験生にとって、第2問は現代アフリカ史という予想外な範囲からの出題でした。

詳しく見ていきましょう。

第1問

百年戦争については、戦争の背景や影響面が定番としてよく問われます。
本問でもフランスにもたらした変化(影響)が問われていますが、この百年戦争がフランスの封建諸侯間の争いであった側面に注目させるあたり、一橋ならではの切り口といえます。

中世ヨーロッパに特有の封建社会のしくみが正しくイメージ、理解できているかどうかも同時に問われているような印象の問題でした。

第2問

今回特に注目すべきは第2問でしょう。
想定外の範囲からの出題であったため多くの受験生が焦ったはず。

まず、地図からAとBの国名を判断します。
A(モザンビーク)の独立は宗主国ポルトガルのサラザール独裁体制が倒された革命、B(ジンバブエ)の独立は白人政権によるアパルトヘイト政策との関係を基本軸にして、これら2国がアフリカ統一機構(OAU)への加盟に遅れた経緯を論じればよいでしょう。

しかし、モザンビークとジンバブエの独立に関しては、ほとんどの教科書では詳しく記述されているわけではないので、指定の400字を満たすのは相当困難といえます。

パン=アフリカ主義や「アフリカの年」と絡めてOAUが設立された背景に言及できたかどうか、さらにモザンビークの独立が隣接する南ローデシアと南アフリカ共和国におけるアパルトヘイト政策に影響を与えたという点まで指摘できれば答案の完成度は上がってくるはずです。

第3問

史料文が掲載されているものの、問われている内容自体は19世紀後半以降の露清関係と中国の社会主義運動という基本的なものでした。

ただし、19世紀後半の露清関係+20世紀前半以降の中ソ関係を時系列順(「タテ」の視点)に継続する事象として捉えることができたかどうか。ここが論述のポイントになります。

〇まとめ

一橋大学に限らず論述問題の答案を書けるようにするためには、歴史的事象を単体として覚えるのではなく、それが起こった背景、結果、影響といった有機的なつながりを常に意識しながら学習をすることが望ましいです。

上記のことを意識したうえで、殊に一橋大学に関しては頻出分野のより丁寧な学習、また、イレギュラーな範囲から出題されても余裕をもって対応できるような広い学習を心掛けてほしいものです。


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