2023年度 京都大学・世界史
出題傾向
京大世界史は例年、大問4題で構成されており、出題範囲は東洋史(東アジア史、イスラーム史など)と西洋史(欧米史)に分かれています。各大問の出題形式は以下の通りです。
2023年度も例年通りの構成で特に変化はありません。
第2問は近現代の東南アジア史と近現代の中国史から、第4問は前近代の地中海世界と米ソ冷戦史から出題されました。
いずれも記述問題は教科書外の知識を問うような難問は少なく、第1問と第3問の長文論述についても比較的書きやすい内容であり、全体として標準的な難易度と言えます。
今回は第1問と第3問の論述問題に焦点を当てて、一緒に確認していきましょう!
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第1問
内容は「5~12世紀におけるモンゴリア史」でした。
モンゴル高原で興亡した遊牧国家の歴史が論述の中心軸ですが、
設問文に
とあるので周辺国家と関連付けて記述しなければなりません。
ほとんどが中国史と関連しているので、世紀ごとに北方遊牧民と中国王朝をセットで整理できていれば難しくはないでしょう。
答案を書く前に、以下のような簡単なメモを作っておくと全体の構成がつかみやすくなります。※「C」は世紀
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第3問
内容は前近代のイベリア半島史。
記述するべき時代の範囲は
という内容から判断できます。
アンダルスとは、この半島におけるイスラームの支配領域と説明されているので、ウマイヤ朝が西ゴート王国を征服した8世紀初頭からナスル朝が滅亡する15世紀末までとなります。つまり、 イベリア半島における諸国家の興亡 がレコンキスタを指していると判断できれば論述の方向性が見えてきます。
ただし、単純にレコンキスタの流れだけを書けばいいというわけではありません。「宗教」に関する状況の変化と「文化」の移転についての言及も忘れないようにしたいです。
半島での宗教的な動きはレコンキスタに関するだけでなく、アンダルスの諸都市でキリスト教徒やユダヤ教徒のイスラーム改宗が進んだことも含まれます。
半島での文化的な動きといえば、都市トレドを中心とするアラビア語やギリシア語文献のラテン語への翻訳活動(12世紀ルネサンス)が想起できますね。他方で、後ウマイヤ朝の首都コルドバに遺された巨大モスク(メスキータ)は、13世紀にキリスト教の大聖堂へ転用されました。この点は、知識事項として理解しておきましょう。
本問や第1問のモンゴリア史のように数世紀にわたる事象を300字でまとめるのは大変ですが、何が答案に必要な要素(事項)なのかを意識しながら過去問演習に取り組むとよいでしょう。
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