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リベラル書籍紹介#30『違和感の正体』先崎 彰容

この連載ではY-SAPIXのオリジナル科目「リベラル読解論述研究」で使用した書籍について、担当する職員が紹介していきます。

今回は、高校生が6月期で使用した『違和感の正体』です。

『違和感の正体』先崎 彰容(新潮新書、2016)

現代社会を理解するキーワードとして著者は「ものさしの不在」「処方箋を焦る社会」の二つを挙げています。この本に書かれている内容を理解するには、まずはこの二つがどういうことを指しているのかを考えることです。ここは現代文的な力が求められるところです。Y-SAPIXの授業ではそのあたりからじっくりと考えていきます。


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 現代社会は情報が溢れ、人々の価値観が多様化し、「ものさし」にできるような不動の基準が存在しなくなりました。そのような時代において、私たちはどのように生きていけばよいのか、何を信じればよいのか、悩むことがあります。悩みを解決してくれるような「処方箋」をあくせくと探し求めています。特に東日本大震災以降の社会はどのような社会か。私たちは身の回りで起きていることにアンテナを張ることで、そこに何かしらの違和感を覚えることがあるかもしれません。その違和感を大事にし、物事を考える必要があると著者は述べます。
 思想家というのは時代を診る医者のような存在だと著者は述べています。先に述べたように、身の回りにアンテナを張り、時代に敏感である人はそれぞれの領域において「思想家」と呼べるのではないでしょうか。なんとなく過ぎていく毎日でも、日々色々なことが起きています。政治の世界でも色々なことが起きています。私たちが気づかぬうちに静かに大きな変化があるかもしれません。身の回りに起きていることを、なんとなく誰かに任せて、自分は流れるままに生きていけばよいと考えることは危険なことかもしれません。
 この本には何人かの思想家が登場します。時代を生きるヒントはここに紹介された思想家たちが教えてくれるかもしれません。さっそく今日の新聞を見るところから、テレビニュースを見るところから始めてみてはどうでしょうか。色々な情報が入る中で、どこかに何かの違和感を覚えなければ皆さんにとってよくない兆候かもしれません。


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