【解法解説】2024年度 京都大学 国語
2024年度(令和6年度)京都大学(前期)の国語について、現役生対象の大学受験塾Y-SAPIXが徹底分析しました。
文系
試験時間120分
配点150点
(学部により異なる)
第1問 現代文
奈倉有里『夕暮れに夜明けの歌を―文学を探しにロシアに行く』
文学研究者の筆者が自らのロシア語学習体験を述べた随筆からの出題。文体はやわらかく、本文自体は興味深く読める。問1~問3については、解答根拠となる箇所は傍線部の近くに存在するため定めやすいが、筆者の体験談を自身の言葉で正確に説明する必要があるため、求められる表現力の水準は高い。問4は「本文全体を踏まえて」という指定があり、『祈り』の歌に触れている箇所を過不足なく含める必要がある。問5は『祈り』の歌詞で述べようとしていることを整理したうえで「『言葉』と『意味』はひとつにはならない」という箇所をうまく説明する必要があり、表現が難しい。
第2問 現代文
高村光太郎『永遠の感覚』
永遠という観念と芸術の普遍の美の関係性を述べた随筆からの出題。やや古風な文体であり第1問よりは読みにくさがあるが、現代文の読解力が十分に養われていれば解答には問題ない範囲。文系第2問ではこうした古めの文章が出題されることが多い点には注意しておきたい。全ての設問が内容理解の問題であるが、問2については「ニヒル」という言葉の知識もヒントにしながら解答を組み立てたい。問5は「明滅の美」が何を意味するのかを正確に捉えることが難しい。
第3問 古文
『とはずがたり』
頻出の中世の日記からの出題。出家した筆者が親の和歌の入集に対して貢献できなかったことを悔やみ、それを夢の中の父が「あなたが和歌を頑張れば当家の和歌の伝統は途絶えない」と励ます内容の物語。分量が少なく取り組みやすいが、行間をうまく読み取る必要があり、簡単というわけではない。問1は「つれなし」の意味を文脈を汲み取ってうまく表現する必要があり、難しい。問2はリード文より「世にあらましかば」の意味を捉える。問3は「身はいたづらに」の内容を正確に捉える必要がある。総じて、言葉の省略を補って読んだり文脈を踏まえて換言説明したりすることが必要で、いずれも文法や単語を単に知識として学習しているだけでは対応できない設問であった。
理系
試験時間90分
配点100点
(学部により異なる)
第1問 現代文
奈倉有里『夕暮れに夜明けの歌を―文学を探しにロシアに行く』
文理共通の大問。本文全体を踏まえる文系問4の出題が無い。上述の通り高度な表現力を要するため、理系に求める水準としては非常に高い。
第2問 現代文
石原純『永遠への理想』
芸術の本質的価値を保存するために、科学的方法を応用することを主張するエッセイからの出題。出典は異なるが、文系と同じく「芸術がもつ永遠性の価値」を主旨とした戦前の文章からの出題であり、文理で方針の統一を図ったことが伺える。また、芸術に関わる文章が2022年より3年連続で出題されており、こちらも一定の傾向が見られる。問1は解答の方向性も設定しやすく、確実に得点する必要がある。問2は「骨董的に取り扱」うというのがどういう意味であるのかを本文中の表現で説明するのが難しく、やや書きにくい。問3も解答の軸そのものはさほど読み取りにくくはないが、解答作成には工夫が必要。
第3問 古文
本居宣長『草庵集玉箒』
近世の歌論からの出題。和歌そのものは直接問われなかった。歌の意の解釈が比較的具体的に述べられているため本文はそこまで読み取りづらいものではない一方で、直訳的に解答を書くことができない設問が多く、正確な理解を要する。
問1は「こもる」の意味を正確に捉えていれば解答の方向性は掴めると思うが、直前部を踏まえるべきか切り離して考えるべきかはやや判断が難しい。問2は傍線部以後の内容をまとめるだけではあるが、表現力が必要。「見る心」の意味を正しく捉えたい。問3は「ことわり」がどういうことを指すのかを的確にとらえた上で、「よしなくなる」を文脈に合わせて伝わるように表現する必要があるので、説明が難しい。
■2024年度入試
第13期 在籍者数107名の合格実績
🌸現役合格を果たした先輩からメッセージ(一部)🌸
■東京大学・文科三類
…私は中学生の時、到底東大を目指すレベルではありませんでした。しかし、Y-SAPIXに入室してから大学受験という現実がクリアになり、学校の定期テスト直前には猛勉強を重ね、成績も大きく向上しました。…
■東京大学・理科二類
…私は中1からY-SAPIXに通い始めました。スタッフの方々は、大学受験はまだ先のことと考えていた私に「東大」の魅力や「理科」の楽しさを教えてくださいました。…
\合格実績の詳細とメッセージの詳細はコチラ/
■共通テスト《国語》の解説記事
■大学入試情報を無料でお届けします!
■京大入試について、もっと知りたい方へ