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国公立大学・医学部医学科入試の変更点

2021年度入試から大学入試センター試験に代わって大学入学共通テスト(以下、共通テスト)が実施される以外にも、各大学から入試方法の変更が公表されています。ここでは、国公立大学・医学部医学科の一般選抜に関する変更点を見ていきます。

香川大学、愛媛大学で後期日程廃止

2020年度に3大学が後期日程を廃止したのに続き、2021年度は香川、愛媛大学が廃止するため、国公立大学医学部医学科50校のうち、後期日程実施大学は18校となります。また香川、愛媛大学いずれも25人と後期日程としては募集人員が多かったため、後期日程全体の募集人員が1割強減少することになります。香川大学は20人、愛媛大学は15人を前期日程の募集人員に充てる一方、香川大学は学校推薦型選抜を5人増、愛媛大学は募集人員10人の総合型選抜を新たに実施します。

なお、前期日程に関しては東京医科歯科大学、横浜市立大学、名古屋市立大学で合計16人募集人員を減らして学校推薦型選抜など一般選抜以外の募集枠に充てており、一般選抜以外も年々無視できなくなってきています。

2段階選抜の予告を行わないのは名古屋大学のみに

2020年度は、前期日程は49校中47校で、後期日程は全大学で2段階選抜の実施を予告していましたが、2021年度は新たに鳥取大学前期日程で実施が予告され、一般選抜全募集枠のうち2段階選抜の予告を行わないのは名古屋大学の前期日程のみとなりました。

※名古屋大学後期日程について、2020年7月公表の「令和3年度入学者選抜要綱」においては2段階選抜廃止とされていましたが、同年9月に新型コロナウィルス感染症対策として2段階選抜を実施する旨が発表されました。
参考:http://www.nagoya-u.ac.jp/admission/applicant/policy/index.html

第1段階選抜の実施方法は、

①募集人員に対し予告した人数以上の出願があった場合に実施
②共通テストに基準点を設定
③①と②を組み合わせて実施

の3パターンに大別されます。前期日程は48校中42校が①で、後期日程はすべての大学で①です。京都大学は昨年度まで③でしたが、今年度から①に変更し、神戸大学は②から①に変更します。①は第1段階選抜を通過するために共通テストで必要な得点が年度によって異なるため、受験生にとっては慎重な出願が必要とされます。

②は、名古屋市立大学、大阪市立大学、2021年度から新たに実施予告があった鳥取大学の3校です。基準点の得点率は約67%~75%と比較的低めの設定ではありますが、仮に今年度までの大学入試センター試験よりも共通テストの難度が上がり、平均点が大幅に下がるようなことがあれば、基準点のクリアが困難になることもあり得ます。名古屋市立大学では、共通テストの得点平均がこれまでのセンター試験の得点平均と同程度の場合の基準点である旨の注釈を加え、第1段階選抜の基準については、最終的には2021年1月20日ごろに同学ウェブサイトで公表するとしており、状況によっては基準点の変更もあるとみられます。

③は、今年度から第1段階選抜方法を変更した横浜市立大学、大阪大学、徳島大学の3校です。基準点はこちらも約67%~75%と比較的低めですが、横浜市立大学は「原則として750点以上」(1000点満点)として厳密には適用しない可能性を示唆しています。

東京大学、滋賀医科大学は共通テストの英語リスニングを利用へ

国公立大学医学部医学科のうち、東京大学、滋賀医科大学の2校のみセンター試験の英語リスニングの成績を利用していませんでしたが、共通テストではいずれも利用することを公表しています。なお、東京大学はリーディングとリスニングの比率を7:3、滋賀医科大学は4:1と、いずれもリーディングにウエイトを置いた傾斜配点としています。

共通テストと2次試験の配点比率変更は6校で、2次重視の傾向

共通テストと2次試験の配点比率を変更する大学は、前期日程で金沢大学、名古屋市立大学、香川大学、愛媛大学、後期日程では秋田大学(秋田県地域枠のみ)、山梨大学の合計6校で、山梨大学を除く5校が2次重視の配点比率に変更しています。

また、2次試験の変更点として、弘前大学が英語及び数学を廃止し、文章や資料の読解、分析を含め総合的思考力を試す総合問題を課すほか、愛媛大学前期日程では英語を廃止し、英文の文章を読んだ上で、その内容に関連した事項について日本語で記述させる問題や自らの考えを英語や日本語で記述させる問題を出題するという総合問題を課すなど、一般選抜の前期日程においても教科に限定しない試験を課す動きがみられます。受験生にとって、こうした総合問題はどのように出題されるかが予測しづらいこともあり、志願者を減らす要因となる可能性があります。

このほかにも名古屋大学など6校で2次試験の科目等が変更となっていますので注意が必要です。

志望校の入試情報は注視

東北大学、金沢大学、長崎大学では一般選抜においても調査書を重視する姿勢を示すなど、高大接続改革の理念を入試方法に明確に反映している大学もみられます。また共通テスト実施初年度という不確定要素に加え、新型コロナウィルス感染症対策の影響で入試日程等が複雑になっていますので、受験生は例年以上に志望校の入試情報に目を光らせる必要があります。

この記事は2020年10月20日に刊行された『Y-SAPIX JOURNAL』2020年11・12月号に掲載された記事の一部を修正・加筆したWeb版です。
■2021年度医学部入試変更点のまとめ
Y-SAPIXでは2021年度の医学部入試の変更点を情報サイト「医学部研究室」でまとめています。国公立大学、私立大学の変更点を大学ごとに項目別にまとめています。ぜひご活用ください。
URL: https://juken.y-sapix.com/articles/11512.html
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今回の「国公立大学・医学部医学科入試の変更点」の他、東京理科大学の松本洋一郎学長のインタビュー記事や、大学入学共通テストの学習アドバイスなどを掲載した『Y-SAPIX JOURNAL』を配布中です。
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