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リベラル書籍紹介#27『世界の教科書でよむ〈宗教〉』藤原 聖子

この連載ではY-SAPIXのオリジナル科目「リベラル読解論述研究」で使用した書籍について、担当する職員が紹介していきます。

今回は、中学2年生が春期で使用した『世界の教科書でよむ〈宗教〉』です。

『世界の教科書で読む〈宗教)』藤原聖子
(ちくまプリマ―新書、2011)

4月といえば……

新年度を迎え、新しい学校・学年への期待に心躍らせる季節ですね。新しい教科書を受け取り、「今年はどんなことを学習するんだろう?!」とワクワクしながらページをめくってみた人も多いのではないでしょうか?
本書では、そんな「教科書」から宗教とはどのようなものかを考えていきます。

「無宗教」だから「無関係」?

ところで皆さんは、「宗教」と聞いてどのようなイメージを思い浮かべますか?
「自分は無宗教だから関係ない」「宗教についてはよく知らない」という人もいるでしょうか。
あるいは、宗教に関係する紛争や対立のニュースを見て「宗教ってなんだか怖い」と考えている人もいるでしょうか。
このように考えている方には、宗教とはどのようなものか学んでみたい!という気持ちはなかなか起こらないかもしれません。

しかし、著者は本書の目的について以下のように述べています。

「本書は、個人的には宗教に興味はない、自分には宗教は必要ないという人ほど、世界の宗教について知ってもらいたいという気持ちから書かれています。それは、(中略)いわば「異文化」として、宗教とはどういうものかを理解してほしいという意味です」(本書 p.11)

「寛容」のための教育

2001年のアメリカ同時多発テロや過激派組織のテロ行為をきっかけとして、「イスラム教徒は怖い」という決めつけや偏見が広がってしまいました。
この問題に対して世界各国では、他者の宗教に対する理解と寛容の態度を養う多文化教育・異文化理解教育が推進されていきました。
これからの世界の行方は、次世代の教育にかかっていると考えられたからです。

ここでいう「寛容」とは、自分の気に入らない考えも「許してあげる」という上から目線の態度ではなく、他者の信仰を尊重する態度のことです。
世界では宗教に対してどのような態度をとり、どのように教えているのでしょうか?
本書は、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、トルコ、タイ、インドネシア、フィリピン、韓国(注:記載は書籍で紹介されている順)の9カ国で使われている、宗教科の教科書や社会科教科書のなかで宗教に関する部分を取り上げ、それぞれの国、あるいは日本の教育と比較しながら考えていきます。

自分たちと同じように教科書を開いて学ぶ世界中の子どもたちが、宗教についてどのように学んでいるのか。自分たちが受けてきた教育とどこが同じか、違うか。遠い世界の話としてではなくリアルな視点での「宗教」について、ぜひ考えてみてください。


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