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数学の部屋

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数学に関する情報を発信しております。受験生・保護者様・学生・社会人・教育関係者の方々など、多くの方々にとって気軽に読めるをコンテンツを目指しております。改めまして、よろしくお願い… もっと読む
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記事一覧

数学と仕事シリーズ#8「深い溝を飛び越えろPARTⅡ」

数学と仕事シリーズ#8「深い溝を飛び越えろPARTⅡ」

このシリーズでは、中高生の皆さんが勉強している数学の知識が、ビジネスの世界でどのように使われているかを紹介します。

数学って、将来必要なの?
と思っている皆さんにぜひ読んでほしいと思います。

■大学受験、決めるなら。

カラーテレビの普及今回のテーマは商品・サービスの普及率です。まずは普及率を定義しましょう。

・時刻tにおける商品・サービスの新規利用者数を$${n(t)}$$とする
・累積利

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数学と仕事シリーズ#7「魔法のツール~対数」

数学と仕事シリーズ#7「魔法のツール~対数」

このシリーズでは、中高生の皆さんが勉強している数学の知識が、ビジネスの世界でどのように使われているかを紹介します。

数学って、将来必要なの?
と思っている皆さんにぜひ読んでほしいと思います。

■大学受験、決めるなら。

かけ算をたし算に、わり算をひき算に変える
対数が考案されたのは1600年代のはじめ、電卓もPCもない時代のことです。大きな数の計算(特にかけ算やわり算)を効率的に行えるよう考え

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数学こぼれ話#18 実社会シリーズvol.2 ~地図を見るにも三角比~

数学こぼれ話#18 実社会シリーズvol.2 ~地図を見るにも三角比~

皆さん、こんにちは。高校数学で現実世界を切り込む「実社会シリーズ」が第2弾を迎えました。前回の記事(#16←読むにはこちらをクリック)では「野球×二次関数」を扱いましたが、今回は「地図×三角比」と題して、GPS(Global Positioning System;全地球測位システム)の仕組みを見てみましょう。

〇GPSと人工衛星道に迷ったとき、スマホの「位置情報」をONにして地図を開くと、いま自

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数学と仕事シリーズ#6「ビッグデータでマーケティングが変わる」

数学と仕事シリーズ#6「ビッグデータでマーケティングが変わる」

このシリーズでは、中高生の皆さんが勉強している数学の知識が、ビジネスの世界でどのように使われているかを紹介します。

数学って、将来必要なの?
と思っている皆さんにぜひ読んでほしいと思います。

■大学受験、決めるなら。

オムツとビール蓄積された膨大なデータから有益な知見を見つける作業をデータマイニングと言います。マイニング(mining)とは採掘のことです。データの山を掘って、お宝を見つけよう

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数学こぼれ話#17 対話シリーズvol.2 ~虚数単位とは~

数学こぼれ話#17 対話シリーズvol.2 ~虚数単位とは~

皆さん、こんにちは。Y-SAPIX数学科がお届けする対話シリーズ、第2弾のテーマは「虚数単位$${i}$$」です。多くの高校生を悩ませてきた「見えない数」を、色々な角度から眺めてみましょう!

Y太とS子は高校2年生。数学IIの教科書で「虚数単位$${i}$$」を予習してみたものの、すっかり混乱中…。

Y太:2乗して-1になる数…。いかにも「目に見えない数」という感じでモヤモヤするなぁ。計算自体

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2023年度 慶應義塾大(医・経済・商)・数学

2023年度 慶應義塾大(医・経済・商)・数学

〇医学部例年通り、大問4つの出題でした。近年は易化傾向が続いており、今年は昨年よりも更に易化しました。分量は昨年と同程度であり、本学部の過去問へ対応できるよう準備を重ねてきた受験生であれば、余裕を持って解き進めることができたと考えられます。大問ごとの難易度の差は小さいものの、要求される計算量にはある程度のばらつきがあります。したがって、速く正確に解く能力が高い受験生ほど有利になるセットであったと言

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2023年度 慶應義塾大(理工)・数学

2023年度 慶應義塾大(理工)・数学

〇概要

例年通り、大問5つの出題です。近年は易化傾向にありましたが、今年は難化しました。分量も増加しましたが、本学部としては標準程度の出題です。

解きやすい問題とそうでない問題の差がはっきりしており、解く順序を上手く見極められたかどうかで、最終的な得点に大きな差が現れたと考えられます。本学部の頻出分野ばかりの出題でしたので、例年よりも「立ち回りの重要性」が高いセットであったと言えます。

第1

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数学と仕事シリーズ#5「未来のお金の価値」

数学と仕事シリーズ#5「未来のお金の価値」

このシリーズでは、中高生の皆さんが勉強している数学の知識が、ビジネスの世界でどのように使われているかを紹介します。

数学って、将来必要なの?
と思っている皆さんにぜひ読んでほしいと思います。

お金がお金を生むまずは質問です。

答えはどのように前提を置くかで変わってきます。

例えば、年利2%と3%(いずれも複利)の金融商品があったとします。

それでは向こう10年の利息を計算してみましょう。

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数学と仕事シリーズ#4「ムーアの法則」

数学と仕事シリーズ#4「ムーアの法則」

このシリーズでは、中高生の皆さんが勉強している数学の知識が、ビジネスの世界でどのように使われているかを紹介します。

数学って、将来必要なの?
と思っている皆さんにぜひ読んでほしいと思います。

1968年設立のアメリカの半導体メーカー、インテルの創設者ゴードン・ムーア氏が亡くなりました。

氏が1965年に発表した「ムーアの法則」はあまりにも有名です。
その内容は『半導体チップの密度は毎年2倍に

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2023年度 早稲田大(基幹理工・先進理工・創造理工)・数学

2023年度 早稲田大(基幹理工・先進理工・創造理工)・数学

〇概評例年通り、大問5つの出題でした。全体として取り組みやすい問題が多く、一昨年と比べて難化した昨年に対し、今年は易化しました。

ただし、近年は減少傾向にあった証明問題が昨年よりも大幅に増え、解く過程での計算や図示が多いことを考えると、分量は昨年と同程度です。

また、本学部の頻出分野である「確率」と「複素数平面」が復活しました。数学Ⅲや図形を重視する早稲田大の理工らしいセットであったため、本学

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2023年度 九州大学(理系)・数学

2023年度 九州大学(理系)・数学

〇概評例年通り大問5つの構成で、うち4題が数学Ⅲからの出題です。文章を読解させる出題形式が継続され、高い発想力を要する問題が多いため、昨年よりも難化しています。

完答しやすい大問はほとんど無く、「取れるところをしっかり取る」という戦略を高い水準で実行できた受験生でようやく合格点に到達する、歯ごたえのあるセットでした。

第1問相反方程式と複素数平面の問題です。

(1)は$${n=4}$$の相反

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2023年度 大阪大学(理系)・数学

2023年度 大阪大学(理系)・数学

〇概評数学は一昨年から易化傾向が続いていましたが、今年は完答しやすい問題が少なく、難化しました。計算量も増加し、高い計算力が問われる阪大数学の特徴がはっきりと現れています。

例年は微積分が2~3題ほど出題されていますが、今年は1題のみでした。さらに、昨年は幾何的な出題が「複素数平面」の1題のみであったのに対し、今年は「ベクトル」と「図形の方程式」の融合問題が2題出題される、図形色の強いセットでし

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2023年度 東京医科歯科大学(医)・数学

2023年度 東京医科歯科大学(医)・数学

〇概評分量・難易度ともに、医科歯科大の数学としては昨年よりも取り組みやすくなりました。しかし、依然としてレベルの高い出題が続いています。
目新しい題材を長めの文章で読解させる第1問、比較的取り組みやすい微積分が出題される第3問は、例年の傾向通りです。

また、医科歯科大の頻出分野である「空間座標」が一昨年ぶりに第2問で出題されました。全体として、非常に医科歯科大らしいセットでした。

比較的取り組

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2023年度 東京工業大学・数学

2023年度 東京工業大学・数学

〇概評180分で5題の形式は変わらず、難易度は近年と同程度でした。昨年とは対照的に小問が少なく、誘導なしに自力で解き進めることが要求されるセットです。

また、5題中3題が数学Ⅲからの出題でした。1題1題が状況把握能力、数式への洞察力と計算力、さらには場合分けを遂行する注意力と忍耐力を要求する重厚なセットです。

全体として東工大らしいセットであり、極端な難問もありませんので、本学に向けて適切に演

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