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【Y-SAPIXの数学がSEG古川代表とタッグ】基本原理を学んで数学の本質をとらえ本物の数学力を身につける

 2024年度の新中1生から、Y-SAPIXの数学のカリキュラムとテキストを改訂するに当たり、「科学的教育グループSEG」代表の古川昭夫先生を数学科顧問にお迎えし、お力を借りることになりました。公式の暗記と反復学習ではなく、数学の本質を楽しみながら深く学び、数学力はもちろん論理的思考力をも伸ばすというY-SAPIXの理念と古川代表のお考えが一致し、今回のタッグが実現しました。古川先生とY-SAPIX数学科教科長の山崎啓太にその狙いなどについてお聞きしました。

本質をとらえ
暗記に頼らない数学を身につけましょう

ー2024年度はまず中1生の数学のカリキュラムとテキストを改訂するそうですね。その目的は何でしょうか。
古川 数学を高3になってから受験準備で慌てて身につけようとしても大学受験には間に合いません。早い段階から本質を理解し、積み重ねることが必要です。今回はその視点から Y-SAPIXの中1から高1までの数学カリキュラムの再編をお手伝いしています。

ー数学の本質を身につけるのが目的なのですね。
古川 中学・高校の数学教育の目的は何か。理工系の学部をめざす人は大学での数学の基礎になりますが、医歯薬系や文系に進む人は、大学では数学をほぼ学びません。社会に出てから数学が必要になることもそうないでしょう。では、なぜ中高時代に数学を勉強するかというと、論理的思考の土台になるからです。実生活で数学を使わなくても、数学を通して学んだ論理力が必ず役立ちます。
幾何の証明の補助線なんて何の役にも立たないと発言した作家がいましたが、そうではありません。補助線を発見できるような思考こそが将来役に立つわけで、そうした力をつけることが数学教育の意義なのです。

山崎 補助線を引くとき、実にたくさんのことを考えます。たとえば、「条件から求められることは何か」とか、「この三角形なら面積が求められるからいったんここに線を引いておこう」とか。逆に「何が求められれば答えにたどり着くか」を考えて、「この図形の高ささえ求められれば勝ちだから、高さを実際に書き込んでみよう」などということもあるでしょう。こういった問題解決のための試行錯誤は数学に限ったことではありませんよね。

SEG代表 古川 昭夫 先生(左)
Y-SAPIX数学科教科長 山崎 啓太 (右)

ー改訂により学習進度がゆっくりになるそうですね。
古川 一部の塾は早進みにこだわっていますが、それでは原理を理解するよりも公式を覚えて問題を解くことに傾きがちです。その場合、大学入試は乗り切れるかもしれないものの、それ以降には何も残りません。理工系の人は大学で苦労するでしょうし、文系の人には単なる苦行でしかなかったことになる。論理的に考える、混沌こんとんとした中から規則を発見する、成り立ちを見つけるといった力は、AIの時代にこそ大切です。
中高生のうちに新しい概念の意味を理解し、それを使いこなしながら問題を解いていけば、論理的に思考するトレーニングにもなります。大学での数学に役立つだけでなく、社会に出てからもさまざまな場面で応用が利くわけです。

山崎 もともとY-SAPIXとSEGがめざす理想には共通点が多く、なかでも大きいのが原理の理解です。Y-SAPIXでも単に公式を覚えるようなことはせず、原理が理解できるように授業を行ってきましたが、今回の改訂でそこがさらに強化されます。

古川 原理原則をていねいに解説すると時間がかかりますが、理想に向かうために問題を精選。先生が説明する時間と生徒が考える時間を増やしました。

つまずかずスムーズに
算数から数学に移行

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山崎 SEGでは確率の授業で実際にさいころを振っていました。「原理を学ぶ」というと堅苦しく感じられますが、そんなふうに実感を持たせる勉強がより可能になるような改訂になっています。

古川 数学が実世界につながっていると思えなければ、勉強のモチベーションは上がりません。確率は何となく苦手という人が多い分野ですが、問題を解かなければますます苦手になります。苦手意識を持たせないことも中学での数学教育には必要です。さいころを振るような原体験を積み、考えることを楽しんでほしいのです。

山崎 小学生の皆さんは算数と数学とのつながりも気になることでしょう。中学入試の算数でも考える力を重視していますが、数学ではより体系的に、より精緻に考えていく必要がありますね。

古川 算数と数学とはつながっています。特に計算は一体です。算数で学ぶ比の概念も非常に重要で、ここがわからなければ数学の直線の式などは理解できません。一方、数学の証明では答えを出すだけでなく、相手に説明する力も求められます。その点は算数と数学との大きな違いです。

山崎 算数では何となく解けたものが正解になることもありますが、数学では論証や検証をする力が必要です。どうやってその答えにたどり着いたか、を説明する力がより必要になりますし、出てきた答え以外に答えがないことにも説明が必要になります。Y-SAPIXではこういった説明する、表現する力もしっかり鍛えています。

古川 中学受験をすると中2ぐらいまでの内容を学ぶはずですが、その力に頼っていると高校数学に入った途端に困ります。負の数に負の数をかけると正の数になるという規則を単に覚えるのではなく、なぜそうなるかという原理を理解するように頭を切り替えなければなりません。

山崎 中学に進んでも方程式を使わず、つるかめ算など算数の考え方で解こうとする生徒もいます。Y-SAPIXでは頭ごなしに算数を否定することはせず、中学準備講座の段階からつるかめ算などでは対応できないような問題を出題し、数学の新しい考え方や道具が自然に必要だと思ってもらえるように意識しています。

古川 つるかめ算は否定しませんが、数学では$${x,y}$$を使うんだと気持ちを切り替えていかないといずれ伸び悩みます。その意味では、算数は得意でなくても、数学が得意になることはあります。数学が好きになる唯一の方法は、公式の意味を理解することと実際に興味深い問題を自分で考えることです。

良問にじっくり取り組んで
数学の世界を楽しんでほしい

―今回の改訂の特徴を教えてください。
山崎 ベクトルや三角比が出てくる前のいわゆる初等幾何に多くのページを割き、時間をかけてしっかり学ぶ点です。

古川 初等幾何は子どもたちが自分で考えたり、発見したりするのに最適の題材です。一見当たり前に思えることをきちんと証明するとともに、自分で発見して証明する。この二つのことができる要素を備えているのが初等幾何であると考えています。一直線に答えを出せれば簡単ですが、できない場合は迂回うかいする方法を考えなくてはなりません。補助線を引くのもそうですし、置き換えて考えたり、前に解いた問題を使ったりと、いろいろと試行錯誤することが必要です。その過程で答えを発見していくことが大事で、新しいテキストではきちんと試行錯誤できる問題を用意しています。

山崎 今まではつい欲張って多くの問題を掲載してしまっていたのですが、今回の改訂では問題数を減らし、良問に集中することができるようにしています。

古川 良問の条件は二つあり、一つは試行錯誤できることですが、もう一つは心に残ること。3年後にまだ覚えているような問題に出合ってほしいですね。

山崎 身につけてもらいたい力があり、それがしっかり身につくように作られている問題を良問であると考えていますが、今回の改訂にはよりそういうメッセージ性もあります。

古川 大学入試の難問を解く力は、公式を暗記するだけでは身につきません。問題の本質をとらえることが大事で、それにはより多くの問題に当たるのではなく、基礎を固めた後に少数の良問を解くべきなのです。今回改訂したテキストは基本をしっかり理解できるよう工夫し、そのうえで良問を解くシステムにしました。

―最後に、小学部の皆さんにメッセージをお願いします。
山崎 算数が得意ならもっと楽しめるよう、苦手なら新しい気持ちで取り組めるようお手伝いします。算数から数学への切り替えが自然にできて、数学を楽しめる教材と授業が待っています。ぜひ、Y-SAPIXで一緒に学びましょう。

この記事は2023年12月12日刊行『さぴあ』1月号に掲載された記事のWeb版です。


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